消えていくことが成功——三重県亀山市の竹林斜面でしがら工法を行いました
三重県亀山市の寺院、法因寺の竹林斜面でしがら工法の施工を行いました。集中豪雨により表土の流亡が進んでいた斜面で、長さ約10メートル、横幅約3メートル、高低差約150センチほどの範囲です。
しがら工法とは、竹や木の杭を列状に打ち込み、枝や竹を横に編み込んで斜面を安定させる工法です。治山技術では柵工と呼ばれます。コンクリートではなく、自然素材だけで作るため、時間とともに土に還っていきます。
この施工で大切にしていることは、土砂を止めることではなく、水の流れを読み、和らげることです。水を透す構造になっているので、雨水は緩やかに斜面を流れ、土は少しずつ落ち着いていく。そのあいだに植物が根を張り始めます。
施工直後は、竹杭が斜面に整然と並んでいます。しかしこれは完成ではなく、始まりの状態です。
半年で草が芽を出し、1〜2年で杭に苔が乗り始める。3〜5年経つと竹杭は柔らかくなり、やがて土に還る。そのとき斜面には、植物の根がしっかりと張っています。
しがら工法が成功したとき、しがらそのものは消えています。杭がなくなったとき、植物が斜面を支えている。人が作ったものが消えて、自然が引き継いだときに、この仕事は完成します。
消えていくことが成功。
コンクリートが何十年も残り続けることが成功ではなく、竹杭が朽ちて土に帰り、植物が根付いたとき、人の手が役目を果たしたことになる。
竹林の斜面に立って、5年後、10年後の姿を想像しながら杭を打つ。植物の種が土の中で待っていて、いつかこの斜面を緑で覆ってくれることを信じながら。そういう仕事です。
施工の詳細は、剪定屋空のブログに掲載しています。
→ 三重県亀山市・法因寺様:手仕事で編み上げるしがら工法 植物が主役になるまでの足場づくり
[URL: https://www.senteiyasora.com/post/chikurin-slope-soil-erosion-shigara]