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NikuQ Life

こどもを表彰する

2016.03.04 00:00

娘が1歳の誕生日を迎えた頃から、6年間お世話になった保育園。この春、娘はその保育園を卒園し、小学生になる。


そろそろ卒園の祝い、一般的に言えば卒園式だなと思っていたところ、娘から卒園式の招待状をもらった。保育園を卒園するにあたり、こどもたちから、何らかの成果の発表があるらしい。


そして先生からは、「子どもを表彰してあげて下さい」ということで小さな額縁をもらった。


実は、娘が保育園で何かの成果を「発表」するというのは、この卒園式が初めての機会。


というのも、娘の保育園は独自の考え方に基づき、運動会や発表会などの行事を開催していない。

それは、子どもの生活を大切にしたいから、という理由による。

もう少し具体的に言えば、幼児期の子どもたちにとって、特別なスケジュールを組んで、生活リズムを崩してまで何かの練習をする必要が無いと考えているから。もうひとつは、発達の進度も様々な子どもたちに、画一的に何かをさせることが、子どもにとって必要な働きかけではないと考えているから。


要は、

発表会なんて大人の自己満足

ということ。


明文化された何かがあったり、資料が配られたりするわけではないけれど、懇談会などの場で先生方から教えてもらった。


初めて聞いたときは、方針として打ち立てることの意味がよくわかっていなかったけれど、振り返ってみるととても有り難かったと思う。


体調、お友達との関係、親の仕事の状況などなど、周りで何があっても、保育園での生活が安定しているから子どもの生活は保証されている。無理に何かをやらされたりすることはなく、その時やりたいことにとことん取り組める。娘はお友達との関係で、「人生最悪の毎日」だったこともあったけれど、二人とも成長して、楽しく遊べる親友になるまで、そっと見守ってくれた。

親の目線からは、歌やダンス、体操ができたということではなく、生活ができるように自立していく、周囲とコミュニケーションをとれるようになる、人間として成長することそのものを成長として捉えることができた。


そういう保育園生活を経て、今、娘を表彰するとしたら。

​お姉さんになった

この冬になって特に成長したこと、成長してきていることとして

自分の力、相手の力を推し測って対応することができるようになった。


(ここでいう力は、powerではなく能力、力量のようなことを想定している。)


例えば保育園で、まだ幼くてゲームのルールに従えない子がいるとき、以前ならなんで分からないの!と怒っていたと思う。

今は、小さいからまだできないんだと理解して、責めることなく、許しながら一緒に遊ぶことができる。


何でも自分の思い通りにしたい相手、こちらの要望をすんなり受け入れてくれない相手がいたときに、仕方ないなと許したり、次は私に譲ってね、と交渉ができる。


弟の「自分でやりたい」気持ちを尊重しながら、必要なところだけ選んで手伝ってやることができる。


一言で言えば、お姉さんになったと思う。


あなたなら、助けられる


一時期、あるお友達と毎日喧嘩して、ぶつかっていた娘が、壁を乗り越えられるか、どうかなという時。

2つに分かれる幼児クラスで、どうして彼女と同じクラスにしたのか。その理由を、乳児期を見てくれていた園長先生が、こっそり(親ではなく)娘自身に教えてくれた。

りなちゃんなら、彼女を助けられると思ったの

ささやくように優しい話し方の、園長先生のことば。


娘にはとても心に残ったようで、時々思い出しては今もその意味を考えている。

いつも自分を困らせる、難しい彼女を「助ける」というミッションが自分に期待されていたというのは、驚き、困惑、納得、誇らしさ、色々な気持ちを娘の中に呼び起こしたのだと思う。


園長先生のことばを受け止めて、自分で考えられる、本当のお姉さんになった。


そんな貴女を、表彰したいと思います。