【第26回】「酒は百薬の長」は嘘か?──21世紀の「メディカル・アルコール」という未来図
「アルコールは体に悪いのか?」というリスナーからの問いに対し、健康と文化のバランスについて考察。お酒が持つ価値や、人間にとっての“本当の健康”とは何かを語ります。また、「健康になるお酒は作れるのか?」という未来の可能性にも言及。メディカルフードという視点から、新しい食品のあり方を探ります。
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📖今週のよりぬき
・麹菌には、いわゆるヨーグルトの風味は出せない
・アルコールは一滴も飲んじゃいけないの?
・忙しすぎる林和彦の、ホットする瞬間
・健康に役立つお酒造りで、コラボしましょう!
・ヨーグルトはほんのり温めて食べても大丈夫
📖第25回テキスト版
乳酸菌ではなく、麹菌で
ヨーグルトは作れない?
早川:前回「教えて!神グルト」のコーナーで、麹菌と乳酸菌の違いについての質問をいただきましたが、時間が足りず途中で終わってしまったので、改めて「麹菌と乳酸菌の違い、麹菌でヨーグルトは作れないの?」というご質問の回答をお願いしたいと思います。
林:麹菌はカビの一種で、いろんな酵素を出すんですよ。タンパク質を分解したり、糖を分解したり、油を分解したりして、いろんな風味を生み出していく。
一方でヨーグルトに一番必要なのは“酸”なんです。乳酸菌というのは、乳酸を作る能力を持った菌のことで、牛乳の中の糖や成分を食べて、どんどん乳酸を作っていく。その乳酸が牛乳のタンパク質を固める、それで、ヨーグルトが出来上がっているんです。
麹菌でも酸を作れば固まらないことはないんですが、ヨーグルトの魅力って、乳酸菌が作り出す風味や味にあると思うんですね。それはやっぱり乳酸菌にしか出せない。麹菌ではその風味は作れないんです。
たとえば「甘酒ヨーグルト」というような商品もあって、それは麹が糖を作って、それを乳酸菌が使うという組み合わせなんですが、皆さんがイメージするヨーグルトの風味とはちょっと違うものになります。
早川:なるほど。私自身、豆乳にレモンを入れたり、お酢を入れたりするんです。そうすると、それらの“酸”の影響で豆乳がヨーグルトっぽく固まるので、それを食べたりしているんですが。
林:それはそれで成立するんですが、私が目指しているメディカルフードという観点からすると、「何かを固めればいい」というわけじゃないんです。食べた方が本当に健康になれる、そういう食品を作りたい。
極端な話、レモンを入れれば牛乳は固まりますし、そもそも別に固める必要もなくて、究極を言えば、お腹の中で混ざれば固まるよ、みたいな話でもあります。
早川:先生のこれまでの発信を伺っていると、神グルトは貴社のメディカルフードの第1弾で、今後もっといろんなものを作りたい、という想いが伝わってくるんですが、その辺りで今お話しいただけることってありますか?
林:そうですね。たとえばジェラートはもう作って出していますが、「食べると健康になれるアイス」を目指しているんです。罪悪感なく食べられるスイーツって、なかなかないじゃないですか。そういうものができたら最高だなと思っていて、割と本気で作りたいと思っています。
早川:そうなんですね。
宗教的なことを言うつもりは全くないんですけど、「神楽坂」「神グルト」と、なんというか先生には、“神”というワードが近いところにありますよね。
林:ああ、たまに言われます。宗教的な意図は全くないんですが(笑)。
それでも常に「神様に見られている感」というのはありますよ。怠けたら絶対うまくいかない。真面目にやっていると、ご褒美がある、というような。
そういう感覚で毎日過ごしているかもしれないですね。
早川:そう聞くと、常に気を張っていらっしゃる印象を受けますが、ホッと一息つく瞬間はあるんですか?
林:ありますよー。家に帰って奥さんと話したり、ワンちゃんとゴロゴロしたりとか、そういう時間がかけがえないと感じますね。
別にもうキャバクラに行きたいとか思わないし(笑)、それから私、旅行に行きたいとかも全然思わないんですよ。昔学会でヨーロッパに行ったこともありましたが、有名な観光地に行っても、「あ、テレビで見たのと一緒だな」って考えてしまって。
早川:小説や旅よりも先生の日常の方がエキサイティングだから、旅にそこまで魅力を感じないんじゃないかな、なんて思います(笑)。
「酒は毒」とは、
一概に言い切れません
【ご相談】
以前番組の中で「アルコールは1mmでも体にとっては良くない」というお話がありました。私は冬場に酒造で日本酒を作っています。麹と酵母という微生物と共に、米から日本酒を醸していくのは、ユネスコ無形文化遺産に登録されたようにとても魅力ある仕事ですが、できあがったものがヨーグルトと違い体に良くないということで、社会的意義をあまり感じられません。どこにモチベーションを求めればいいんでしょうか?(長野県・カノウさん)
林:「何のプライオリティを上げるか」という問題だと思います。1日でも長生きすることが究極の優先事項という人は、アルコールは飲まない方がいい。でも、アルコールにはメリットもたくさんあるじゃないですか。ストレス発散できたり、家族や知人とのコミュニケーションの潤滑油になったり。人類が何千年もかけて世界中で紡いできた文化で、それが今も続いているということは、それなりの価値があると言えるわけです。
それが「健康に悪い」という一言で否定されてしまうのはどうか、ということですよね。
たとえば80歳のおじいちゃんが、仕事も引退して、毎日の楽しみが晩酌という生活を送っていたとして、「体に悪いからやめなさい」と言うことに意味があるか、と。私はないと思う。その人にとって晩酌は生きる喜びで、それがあるから生きられるなら、何の問題もないと思います。
ただ、タバコも文化ではあるんですが、こっちは依存性が非常に強いので、できればやめてほしいというのは正直なところです。受動喫煙で周りの人にも影響が出ますし。お酒も、酔って迷惑をかける・お酒が犯罪のトリガーとなることもありますが、タバコとは少し違うと考えています。
さらに言うと、とにかく今の時代って、何かが「体に悪い」と言われると、オセロのようにパタパタっと世論がひっくり返って、禁止令が出る勢いにまでなってしまう気がしていて。その点は、危惧しています。
早川:いやあ、そうですね。
林:理想を言えば、誰かに“健康に役立つお酒”を作ってほしいです。
早川:おぉ、“メディカル・アルコール”ですか。確かに、養命酒とかありますもんね。
先生のお話を聞いていると、健康ってなんだろう、と考えるきっかけが生まれる気がします。健康って、数値や医学的な側面だけじゃなくて、人と一緒に楽しく過ごすこと、場の空気、そういうものも全部含めてのものなんですね。
林:そうです。お酒で救われている人がいるなら、それでいいと思うんですよ。
なので、今回せっかくご質問をくださったのですから、ぜひ一緒にコラボしましょう!
21世紀の大発明として、健康にプラスになるお酒ができたら、それこそ世界制覇ですよ。みんな飲みますよね(笑)。現時点で知る限りそういうものは存在しないけど、できないとも誰も言えない。ゼロじゃないなら、やってみる価値はあるんじゃないでしょうか。
早川:またお便りいただければ何かきっかけになるかもしれません。
ご質問、ありがとうございました!
🐮教えて!神グルト
〜ヨーグルトを温めても大丈夫?〜
【ご質問】
冬など寒い時期は、ヨーグルトを電子レンジで少し温めて、ほんのり暖かくなる程度にして食べているのですが、健康効果に変化はありますか?(福島県・さつまいもこ)
林:温め方にもよりますが、100℃にしてしまえばもちろん菌は全部死んでしまいます。ただ、生きたまま腸に届くことが、ヨーグルトの効果を出すのに絶対に必要かというと、そうでもないんです。たとえば免疫反応というのは、リンパ球たちが菌の外側を見て判断する。だから菌が死んでいても、外側の形がそのままの状態で流れてきたら、同じように反応してくれるわけです。
ただ、死んだ乳酸菌は乳酸を作れなくなるので、腸内環境を弱酸性に保つ働きとしては弱くなります。でも、何も摂っていないよりはプラスになる面もある。だから、温めたからといって絶対ダメというわけではないと思いますよ。
早川:逆に凍らせる場合でも、乳酸菌は死んでしまうんですか?
林:そう思うじゃないですか。でも凍らすときの環境を整えてあげると、休眠してくれるんですよ。だから温度変化への対応という意味では、乳酸菌はなかなか頑張ってくれる。
今回の質問に対する回答としては「ちょっと温める分には、あまり心配しすぎなくていい」とお伝えしたいと思います。(了)