116年目の春(留萌本線)
1910年に開業を迎えた留萌線。残念ながら2026年3月31日で116年目の桜を待たずに廃線になりました。私はその5日前に最初で最後の訪問。沿線は田園地帯。まだ雪に覆われた田んぼでは、所々フキノトウが顔を出していました。石狩の山々に背に走るキハ54気動車。この素晴らしい鉄路の四季を撮れなかったことを悔いました。来し遅れ 四季を残して 線路消ゆ(2026年3月26~27日)
途中、日高線、岩苫線を撮りながら、岩見沢から高速に乗って、正午前に北一已駅に到着しました。小さな駅ですが、小さな駐車場や道路は車が停められ、そこそこの混雑ぶりです。天気が良いのがいちばんです。
駅と反対側の田圃から試し撮りをして、雰囲気を確認しました。その後、駅巡りをしました。駅巡りといってもこの北一已駅以外には、石狩沼田、北秩父別、そして秩父別の3駅だけ。
終点深川へ向かう午後の列車です。これからもずっと鉄路が続くのではと錯覚してしまうほど、長閑な景色です。
秩父別駅は、秩父別町の中心駅。往時は賑わったのでしょうね。列車が到着すると下車する人が数名いました。「ありがとう留萌本線」の文字が無ければ、完璧な日常風景です。
秩父別道の駅には、火の見やぐらを大きくしたような展望塔があります。勿論エレベーターはありません。頑張って登りました。上から見ると、地元胆振とは季節が違います。まだ田圃は真っ白。
いちばん小さな駅、北秩父別駅。ホームは一両分。それでもこの駅を利用した方々には貴重な駅、思い出の場所であったと思います。
そろそろ、日没に近づいてきました。廃線間近らしい景色も記録としては大切ですが、私は、どんな時でも、「季節らしいその土地らしい鉄道風景」をフォトジェニックに撮ることをモットーとしているので、この日の天気に大いに期待しながら、先ほどロケハンした北一已駅を望む田んぼに向かいました。
背後の石狩の山々がよく見えます。駅の背後の山に日が沈みました。
日没、空が一番美しいタイミングで、石狩沼田行きが到着しました。窓の灯りにジーンときました。
いつも出掛ける時は、こんな景色が撮れたらと期待しますが、期待を上回る情景でした。
昨今のミラーレスのような高感度撮影できない私の古いカメラ。窓の灯りがしっかり見えるようにと、止むを得ず流し撮り。
駅に戻ると、素晴らしい空色。一番星も見えました。「北一已駅」のホーロー看板も残り5日間。この瞬間を記録できたことに満足です。
この日は、石狩沼田唯一の温泉宿「ほろしん温泉ほたる館」に宿泊しました。部屋は広く、温泉は良いお湯でした。撮影旅において良い宿に泊まると、写真の出来に関係なく、その旅全体の印象が良くなります。宿は重要です。
そして翌朝の石狩沼田駅です。
北一已付近。雪解けの地面にはフキノトウ
締めの1枚です。最後まで、日常の鉄道風景的な構図に徹しました。
深川駅の第三ホーム。このホームから発着していた深名線が無くなって30年。今度は隣の留萌線も無くなります。ジャンクションだった深川駅は、函館本線だけのシンプルな駅になります。
白老鉄日記vol.279「116年目の春」でした。
留萌線、最初で最後の訪問となってしまいましたが、道民となり、ここで暮らす者として、115年の歴史に幕を下ろす鉄路を訪ね、見届けられてほんとうに良かったと思います。