大腸癌の学び
大腸癌についてご質問があったので、私自身の学び・備忘録として書きます。
概念
大腸癌は、大腸粘膜に発生する悪性腫瘍で、直腸とS状結腸で大腸癌の70%を占めます。
99%は良性のポリープから発生します。
症状
・下血:直腸、S状結腸癌の初期症状で、血便、粘血便の形をとる
・便秘:癌が発育し腸管がつまった状態になり、便秘傾向が強くなる。
・腹痛:癌の発育により、腸管がつまって腸閉塞になり、腹痛が起きる。
・下痢:上行結腸癌の場合、腸内容物が液状のため、下痢になりやすい。
・貧血:上行結腸癌の場合、下血がわかりにくく、貧血で発見されることが多い。
初期では自覚症状を認めない場合が多い
分類
早期大腸癌と進行大腸癌
大腸癌は必ず粘膜から発生するため、癌が進行するに従って、下の層に浸潤していく。
癌が粘膜にとどまるものは、リンパ節転移が少なく遠隔臓器転移の可能性は無い。
癌の腸管壁への広がりが、粘膜内あるいは粘膜下層にとどまるものを早期大腸癌としている。
浸潤が筋層以下にまで進んだものを進行大腸癌としている。
浸潤が筋層まで達すると、腹腔のリンパ節への転移や血管への侵入頻度が高くなる。
早期大腸癌は、表面の形状により隆起型、表面型に分けられる。
そのほとんどが大腸ポリープからの癌化である。
大腸癌の肉眼的形態
大腸癌は見た目の形(肉眼的形態)により0型~5型に分けられる。
0型(表在型):粘膜または粘膜下層までにとどまる癌で、隆起型と表面型に分けられる。
1型(腫瘤型):腫瘤全体が塊錠となり、粘膜下層に出っ張っているもの。
2型(限局潰瘍型):腫瘍の中央が陥没し、まわりの盛り上がり(周堤)との境界がはっきりしているもの。
3型(浸潤潰瘍型):2型よりも周堤が崩れて、正常な粘膜との境界がはっきりしない部分があるもの。
4型(びまん浸潤型):癌が周囲に不規則に広がっているもの。
5型(分類不能)
今日の治療
・早期癌は内視鏡的治療
・早期癌での外科的治療は腹腔鏡補助下大腸切除術
・進行癌は外科的治療
・進行癌では化学治療を併用する場合がある
術後の分子栄養学的アプローチ
グルタミン摂取
腸管の絨毛は、腸への刺激の欠如と、腸粘膜細胞のエネルギー源であるグルタミンが供給されないと、扁平化し又非常に薄くなってしまう。そして透過性が亢進し細菌の侵入をおこし、腸粘膜もびらんや潰瘍ができやすくなる。時に細菌が血流内へ侵入する。
従って、術後に腸管を安静に保ち、ブドウ糖を中心とした点滴を行う事でかえって腸管の損傷を助長することになる。手術というストレスによってもグルタミンの消費は激しくなる。腸管栄養剤、経静脈栄養液にはグルタミンはわずかにしか含まれていない。
傾向水分摂取が可能であれば、術後早いうちからグルタミンの経口補給を試みたい。
高濃度ビタミンC静脈注射
手術後のビタミンC補給(特に大量のビタミンC静脈注射)は、基底膜強化が得られ、転移の抑制が期待される。
大腸癌に対する分子栄養学的アプローチ(経口よりのアプローチ)
ビタミンA:粘膜保護、分化誘導療法、
ビタミンD:免疫能の向上、分化誘導療法、粘膜細胞の再生、タイトジャンクションに働く
ビタミンC:癌化の抑制、免疫能の向上、抗ストレス作用、抗酸化、便の緩下作用、コラーゲン合成の促進・粘膜強化、血管強化
ビタミンE:癌化の抑制、粘膜の血流改善、粘膜細胞の保護、抗酸化、免疫の向上
ビタミンB群:腸粘膜修復のエネルギー確保、細胞分裂を促進、抗がん剤使用時の葉酸補給、葉酸欠乏が大腸癌発生に関与説
グルコサミン・コンドロイチン:術後の癒着や腸閉塞の防止、潰瘍部の修復促進、粘膜の整合性、粘液の生合成促進、大腸の分泌液増量
タンパク質:低タンパク質の改善、腸粘膜の再生と修復、腸管のエネルギー源(タンパク質の消化・吸収が難しい場合はアミノ酸で補給)
ヘム鉄:病変部位からの出血による鉄欠乏性貧血の改善、鉄欠乏による易感染症を防ぐ、コラーゲン合成の促進
亜鉛:粘膜の修復に関与、フリーラジカル消化酵素に関与
カルシウム・マグネシウム:カルシウムパラドクスの回避、
グルタチオン:化学療法時の解毒促進