世界遺産である富岡製糸場の入場者数について、 「ピークの頃より減っているのではないか」 毎週何かイベントをやったらどうなのか? という声をよく聞きます。
確かに、世界遺産登録直後の勢いと比べれば、
入場者数は大幅に減っています。
ただ、今年度の動きを見ると、
大きく跳ねるわけではないものの、
ゆるやかに右肩上がりの傾向が見えてきており
派手さはありませんが、
少しずつ関心が戻り、
着実に歩みを進めている、
そんな数字だと私は受け止めています。
富岡製糸場は、
単なるイベント会場でも、
人を集めるためだけの場所でもありません。
何より大切なのは、
貴重な歴史的資産を良い状態で未来へ引き継ぐことです、保存整備は目立ちにくい仕事ですが世界遺産である以上、重要な役割の一つだと考えています。
建物を守り、価値を正しく伝え、
安心して見学していただける環境を整える。
この土台があってこそ、
にぎわいづくりにも意味が生まれるのかなと。
イベントを増やすこと自体を
否定するつもりはありません。
人に来ていただくきっかけとして、
有効な場面もあると思います。
一方で、イベントには
会場設営のリース料や警備費、
運営に関わる人の負担など、
見えにくいコストが必ず伴います。
また、頻繁なイベントが、
日々努力を重ねている
地元の民間事業者や商業活動を
圧迫してしまわないかという視点も欠かせません。
イベントはあくまで手段であり、
保存整備や地域とのバランスを
常に意識しながら進める必要があると感じています。
今の状況を踏まえ、次のような考え方が大切ではないかと思っています。
・保存整備を最優先に考えること
・イベントは数よりも内容と持続性を重視すること
・民間や地域が主役になれる形をつくること
・小さく始め、無理なく続けること
今見えている「ゆるやかな回復」を
一時的なものにせず、
長く続く流れに育てていく。
そのための判断が求められていると感じています。
にぎわい、保存、暮らし、どれも大切で、どれか一つだけを選ぶ話ではありません。
今の富岡製糸場の雰囲気をどう感じますか。
イベントはどのくらいがちょうどいいと思いますか。
保存と活用、どこに重きを置くべきでしょうか。