ひきこもりの支援の大きな変化
ひきこもり支援は2025年の1月に大きな変化を迎えました。厚生労働省策定による『ひきこもり支援ハンドブック~寄り添うための羅針盤~』の登場です。
今日はこのハンドブックについて少し説明したいと思います。
<従来の支援方針との大きな違い>
その1:「医療モデル」から「社会モデル」へ
これまでのひきこもり支援は「医療モデル」によって導かれていました。医療モデルとは「病気や障害を背景としたひきこもりを対象とする考え方」です。当然、ひきこもりには医療が必要であり有効であるということになります。個人が抱える問題に原因を求めて、個人を変えることで解決を目指すものです。それに対して、「社会モデル」とは「病気や障害を背景としない、あるいは背景が明確ではないことを含むひきこもり全般を対象とする考え方」です。社会モデルでは、問題とは個人とその個人を取り巻く環境・社会との関係性の上にあるものであり、環境・社会を調整することによってその問題の改善・解消を目指します。
その2:「ひきこもりの定義」から「支援の対象者」(定義なし)へ
医療モデルでは、ひきこもりが定義されていました。ひきこもりとは、「様々な要因の結果として社会的参加(義務教育を含む就学,非常勤職を含む就労,家庭外での交遊など)を回避し、原則的に6カ月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態(他者と交わらない形での外出をしていてもよい)を指す現象概念」、です。それに対して、社会モデルによるハンドブックでは、「ひきもり支援における対象者とは、社会的に孤立し、孤独を感じている状態にある人や、様々な生きづらさを抱えている状態の人・・・本人やその家族(世帯)」、とされており、ひきこもりそのものを明確に定義していないことが特徴的です。また、家族(世帯)も新たに支援対象に含まれているのも従来とは異なる点です。ひきこもり状態にあるかどうか、支援を必要とするかしないか、を決定するのは、支援者を含めた関係者ではなく、ご本人やそのご家族となります。
その3:「自立」から「自律」へ
「自立」とは、端的に「就労や社会参加をゴールとすること」です。それに対して、「自律」とは、「本人は自分で目標を決められるようになること。決めた目標に向かって歩む/挑戦すること」、です。就労や社会参加をするかどうかは、あくまでも本人が決めることであり、外野が口出しすることではないということになります。
以上、ひきこもり支援ハンドブックにもとづき、ひきこもり支援の変化について説明しました。大きく変化した支援の在り方を私なりに表現すれば、①本人の自己決定を妨げている要因をできるだけ取り除くこと、②本人のその後の歩みや挑戦を継続してサポートすること、になります。「自然治癒力(回復力)を応援する支援」と個人的に呼んでいます。