好きな冗談の種類の違い
夏かと思うくらいの暑さが急にやってきたものだから、春野菜にかけていたビニールトンネルをあわてて剥がし、息つく間もなく防虫ネットへと衣替えをしました。
この時期は油断すると暑すぎたり寒すぎたりで、数時間のうちに作物をダメにしてしまう可能性があるので、天気予報を欠かさず確認しています。歌手の斉藤和義の、なんという曲か思い出せないのですが、「天気予報なんて誰が見るのよ?余計なお世話よ。雲の流れを見ればいいじゃない。明日になればわかることじゃない?」という歌詞があって、この大胆な態度にぼくもこんな風にありたいなぁと感心してしまうのですが、実際はちょっとした気温のゆらぎと、少しの対応の遅れで、あっという間に穏やかだった日常に暗雲立ち込めるものだから、ぼくら農家にとってだいぶデリケートな問題で、天気予報を二つも三つも見比べて、小心な自分を感じてしまいます。
一方で日経平均株価なんかは一度も気にしたことなく、こちらに関してはどこ吹く風で、「誰が見るのよ?余計なお世話よ。」という憧れの態度をとることができるのですが、ぼくら農家にとっての天気予報と一緒で、やっぱりこの情報が重要な人も世の中にはたくさんいて、とにかく、それぞれ色々気にするところが違って色んな生き方があるなって感じです。
小説家の保坂和志さんが、「考え方の違いっていうのは、好きな冗談の種類の違い」って小説の中でいっていて、ぼくもこの言い回しにえらく共感していて、違う意見や思想に出くわすと笑いのポイントが自分とは別なだけで、そうとなれば文句のつけようもなく、好きにやって各々笑っていればいいなと思います。
春キャベツや、新玉ねぎ、カブが採れだし、今週の野菜セットに入ります。いつもこちらの好きに野菜を入れて、なおかつ喜んでももらえる野菜セットという売り方はなんて素敵な売り方なんだろうかと思います。たぶんきっと似たような冗談が好きな人たちに支えられているのだと思います。(ニュースレター記事より)