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2回目からの体外受精では、1回目が どこまで順調だったか、どこに問題があったか、その検証からのスタートとなります...①

2019.03.18 01:00

峯レディースクリニック院長 峯克也先生のお話

2018年8月発行『i-wish ママになりたい 2回目からの体外受精』

峯レディースクリニック
峯克也院長


体外受精に挑戦するということは、夫婦にとって並々ならない決断です。

 体外受精に挑戦することになる理由は、夫婦さまざまですが、「これで妊娠できる! これで赤ちゃんが授かる!」と思っての挑戦です。

 その思いに応えるためにも、一度の体外受精で妊娠して出産できるのが一番だと医師もスタッフも懸命です。

 しかし、残念ながら妊娠成立しなかった時、次の体外受精治療周期は、どのようにしたらいいのでしょう。また、医師はどのように考えるのでしょう。

 峯レディースクリニックの院長 峯克也先生に伺いました。


悲しい思いは封じ込めない
そして、赤ちゃんにつなげるためのお話を

最初の体外受精で妊娠して出産されることが一番です。しかし、妊娠が成立しなかった場合には、まずは心の傷を癒すことが大切です。

 悲しい思いは封じ込めずに、ちゃんと表に出すこと、そのフォローについては医師だけではなく、看護師も対応しています。妊娠が成立しなかった時、診察の後に看護師が「お話していきませんか?」と声をかけて、別室でお話を伺うこともありますし、患者さんの方から後日でも大丈夫ですので、看護師に声をかけて、お話をしていただくこともできます。

 悲しい思いは封じ込めないこと。それは、とても大切なことなのです。

 そして、私からは「赤ちゃんにつなげるためのお話」をします。

 「今回の体外受精は、ここまで順調でした。けれど、ここから先に問題があったと思います。

 なので、次回の治療周期は、こうしましょう」というように次の治療に関するエビデンスに基づいたお話をして、前を向いて考えられるようにサポートします。お話した時に、すぐに気持ちの切り替えができる状況ではなくても、次の治療方法があること、赤ちゃんにつながる道があることをお話することで、悲しい現実を受け止めながら、次のことを考えるきっかけになっていただけるようにと思っています。


次の体外受精治療周期をはじめる前に検証をしましょう

次の治療周期をはじめる時に大切になってくることは、先ほどもお話したように「どこまで順調だったか」「どこに問題があっただろうか」ということを探し、次の治療につなげることです。患者さんが自分自身で検証することは大変ですので、ぜひ、主治医に尋ねてみてください。

 例えば、排卵誘発から治療周期を始める場合には、前回の卵胞の成長の様子や採卵できた卵子の数などを考えます。たくさん卵子が採れると思って卵巣を強く刺激したけれど、採卵できた卵子の数が少なかった場合、また、卵胞数は多かったけれど、変性卵や空胞が多かった場合も排卵誘発方法を変えたほうが良いかもしれません。

 卵子は採れたけれど、コンベンショナル IVF(卵子に精子を振りかける)で受精できなかった場合、次回は顕微授精(ICSI)に変更したり、複数の卵子があればスプリット ICSI(卵子を約半々に分け、コンベンショナルと顕微授精で受精させる)で受精を試みたりするのも良いでしょう。こういったケースの場合には、同じ排卵誘発方法を繰り返してもいいと思います。

 当院では コンベンショナル IVFを行う場合、数時間後に受精兆候を確認し未受精の可能性の高い卵子にのみ顕微授精を追加するレスキューICSIを行う体制を整えております。

 また、受精はできたけれど、胚の成長が途中で止まってしまったという場合には、排卵誘発法を見直したほうが良いかもしれませんし、もう一度同じ方法でトライしてみても良いかもしれません。これについては、個々の卵巣機能や年齢などが検討材料になるでしょう。どのように次周期の治療方針を立てて計画するかは、どのような治療周期だったか、1つ1つ段階ごとに検証していくことが大切です。


胚移植ができた でも妊娠しなかった

排卵誘発、採卵、受精、胚培養、そして胚移植と、ここまでが順調だった場合、妊娠への期待も一層膨らみます。

 ですが、妊娠判定が陰性だった場合、そのほとんどの原因が胚の問題によるものだといわれています。

 しかし、何度良好胚を移植しても妊娠しない場合には、培養液を変更してみたり、特殊な培養液を使ってみたりして胚培養をすることで、胚が順調に育ち、妊娠に至ることもあります。

 培養液は、メーカーごとに少しずつ組成が違い、人や胚によって合う合わないがあるのではないかと考えられるからです。

 また、着床時期が適切でないことが考えられる場合には、ERA検査で着床時期を調べてみるという方法もあります。

 ERA検査の結果から着床時期がズレていることがわかったら、それに見合った時期に胚移植することで妊娠が期待できます。でも、結果にズレがなかった場合には、やはり卵子の質、胚の質に問題があるのだろうと判断できるでしょう。ここには年齢も関係してきますが、あらゆる方法からアプローチをしてみることが大切です。


2回目からの体外受精では、1回目が どこまで順調だったか、どこに問題があったか、その検証からのスタートとなります...②


峯レディースクリニック 峯克也先生のお話

2018年8月発行『i-wish ママになりたい 2回目からの体外受精