提案『発想力の要素 No.4疑う力』
発想力には4つの要素の『視点を変える力』(こちら)、『組み合わせる力』(こちら)、『広げる力』(こちら)、『疑う力』がありますが、今回は最後の『疑う力』について記してまいります。次回はお母様方からの問い合わせが多くあった幼児期に発想力を養う具体的方法と環境設定についての記事を予定しています。
1、疑う力とは
発想力における「疑う力」とは、当たり前だと思われていることや既成概念をそのまま受け入れず、「本当にそうなのか?」と問い直す力のことです。これまでの人類の歩みからも分かるように新しいアイデアが誕生する際には、既存の考え方を疑い壊すことから始まることが少なくありません。つまりこの「疑う力」は、発想力の中でもかなり重要な要素です。
例えば私が常日頃から感じていることをお話ししましょう。
「子供の学びは子供がすべき」という親御さんがおられます。確かに学習するのは子供ですが、単に宿題をしなさい勉強しなさいと子供の尻を叩くだけでは子供が大きく伸びることは難しいと私は考えています。「勉強しなさい」と伝えても子供が行動に移せないのであれば、『その言葉掛けを続けて効果があるのか?』と親は疑って欲しいのです。そして子供が学ぶ行動に踏み出すには、『先ず親が手本を示してみよう』とこれまでの行動とは異なる行動を起こし、または「勉強しなさい」という既存の行動を根底から覆す発想を実践してほしい、つまり「勉強しなさい」を否定する実践するべきだと考えています。そして何よりも子供以上に親が学ぶ姿や楽しむ姿を子供達に見せてほしいのです。
以前はおもちゃ店に行ってレゴを購入するだけだったのが、今では体験を提供するレゴの学び場があったり、レゴを用いたテーマパークやホテルで非日常の中レゴに没入できる空間があったりと、これまでの既存を壊した新しい事業が次々誕生し、子供達は ワクワクしながら挑戦をし新たな考え方に繋げられる経験や体験ができる環境にあります。教育的学習もまたそのようなワクワク学べる環境設定が重要で、その最小単位は家庭にあると考えます。
私が子供の頃は遊びと学習が完全に切り離されていましたが、現代では遊びの中から学習に繋がる要素が多く存在している事実が次々と世の中に出ています。多くの研究者が『遊びが学習に結びつくのではないか』と疑い、研究データーに則った証明がなされてきたからです。その事実を多くの家庭が当然の如く家庭内に取り入れる事ができれば、確実に親子関係の繋がりが強くなり、楽しい家庭環境が生まれ、自ずと子供の興味関心、そして学習も生きる力も向上するはずです。
上記のことを踏まえた上で疑う力とは何かを親が考える事が重要です。疑う力は単に否定することではありません。「なぜそうなっているのか」と考え、「他の方法はないか」を探り、「もし逆だったらどうなるか」を想像するという思考の出発点です。その考え方を親が実践すると自ずと子供の考え方もその方向に引っ張られます。
子供がなかなか学習に向き合ってくれない、習得ができない、楽しんで学んでくれないとなっているのであれば、親は「なぜ子供はそのような行動に行き着いているのか」「学習が身につかないのか」「渋々学んでいるのか」を逆発想で考えてみるということをすると、「楽しさを取り入れるヒントが見つかると私は確信しています。なぜならレッスンで子供達が渋々教室に来ても、帰りには笑顔で帰ってていくからです。私の役目は子供達が楽しくレッスンを受けられる手法を繰り出しているからです。もしご家庭で「子供だけに学ばせる」という既存の考え方を根底から覆す事ができれば、自ずと道は開けます。
2、子供は皆疑いの力を有している
発想力の高い人は、常識を疑う、前提を疑う、自分の思い込みを疑うことで新しい見方や考え方捉え方ができるようになり、新しいアイデアを生み出しています。念押しをしますが「疑う力」とは固定観念や既存の概念を見直し、新しい可能性を見つけるための思考力と言えます。偉人の中でも技術的開発が行き詰まり問題解決を強いられる場合には「本当にこの道でいいのか?」「別の見方や捉え方はないか?」「これまで正しいと考えていたことが違うのか?」という一度常識を外して見る考える捉えるという事がなされてきました。実は子供には発達上この疑う力の芽は自然に持っています。子供を育てているとお分かりになると思いますが、「なんで空は青いの?」「なんで大人は働くの?」「どうしてルールを守るの?守らなきゃならないの?」「どうして勉強しなければならないの?」などと多くの「なぜ?どうして?」を言葉にするものですが、これは単なる質問ではなく、子供自身が自分自身の中の身の回りで起こっている世界の前提を確認している状態です。実は幼い頃のこの疑う力はかなり高度な思考といえます。しかし成長と共に「そういうものだから」「普通はこう」「決まりだから、ルールだから」だけで終わる経験が増えると同時に、「物事を正しく理解する」ことが増えるために、残念ながら多くは成長の途中で疑う力は弱くなるのです。よってその疑う力をある程度残しながら成長させる必要があるのです。
3、疑う力がある子の特徴
疑う力の小さな芽は子供は幼いながら持っていますが、その力の大きさには幅があります。常に「なんで、どうして」が止まらない子供もいれば、その言葉が出てこない子供もいます。できるだけ疑問をもって物事の本質を見ようとしこれは正しいのかと疑い、確かめる発言が多く出てくる事が望ましいといえます。それでは疑う力のある子供の特徴を3つ挙げます。
1. すぐ納得しない
「なんで?」「どうして?」「本当に?」「他の方法はあるの?」などの発言が自然に出てきます。すぐに納得ができない子に備わった疑う力は本当に素晴らしいものです。よってとことん親周りの大人が付き合うことが重要です。
2. ルールを変えたがる
遊びやゲームの途中に「逆のルールにしようよ」「こうした方が面白いと思う」という発言が出てくる子供の場合には構造を見ています。「こうしたらどうなるだろうか」「このような方法もあるかもしれない」など次の発想に移行しやすい高い能力です。
3. 大人の矛盾を見つける
大人の矛盾を見つける子供は卑しいと捉える親御さんがおられますが、実は観察力が高く創造性との関係が深いことが多いものです。「大人の揚げ足を取るな」と言いたくなる大人の気持ちもわからなくもありませんが、その時には子供の思いや感じたことに耳を傾け、大人に火がある場合には素直に子供に頭を下げる事が必要です。
4、親がどのように接すればいいのか
子供の疑う力は既存の前提を一度壊す発言が多く出てきます。親ができる関わりで真っ先にすべきことは、「いい質問だね」という声掛けを増やすことであり、すぐに子供の質問に答えるよりも「たしかに不思議だね」「〇〇ならどう思うの?」「逆にどうしてだと思う?」と返すことを行います。つまり疑問を価値あるものとして扱う姿勢を示すことです。
そして親がやってはいけないことは「絶対こうなんだよ」という発言や「普通はこうなんだ」「みんなこうしている」「これが当たり前だよ」という押し付けばかりになると、子供の思考が固定されて発想力に必要な疑う力は育たなくなってしまいます。
何より大事なことは親子で一緒に考えることで「ママやパパも分からない」という発言は大事です。子供は大人にもわからない事があるんだということを学び先々で人生は学びの連続であることを理解し確信することに繋がります。何より「そう考えていいんだ」と感じる事ができるようになります。つまり疑う力の伸ばすにあたり大事なことは、「一度問い直して、自分で考えるさせる」ことです。
つまり発想力の流れで見ると、気付いて → 広げる → 組み合わせる → 疑う → 試す → 修正するに繋がり、この中で「疑う力」は思考を普通という既存の概念から外すスイッチの役割があります。また場合によっては「口ごたえ」と誤解されやすい面もあるので、親が理性を持って子供のこの疑う力を理解しなければなりません。
5、まとめ
これまで提案記事で記事化した発想力の4つはバラバラではなく実は繋がっています。今回取り上げた『疑う力』は前提を外す、『視点を変える力』 では別の見方をし、『組み合わせる力』は新しい形にし、『広げる力』ではアイデアを発展させるという流れがあります。この流れが回り始めると発想がどんどん豊かになります。
そして大事なのは、発想力は特別な才能というより環境や習慣で伸ばせる力だということを親が認識していなければならないことです。すぐに正解を求めないことや自由に考えていい雰囲気を与えること、そしていろんな体験や知識に触れるといった条件がそろうと自然と引き出されます。