「小さき勇者たち ガメラ」
角川映画の社長に黒井和男氏が就任し、旧大映の権利も取得した直後に製作された角川版ガメラ映画。
映画冒頭で、複数のギャオスと戦うガメラは、徳間大映作品「ガメラ3 邪神(イリス)覚醒」(1999)の続編っぽくも感じられるが、時代設定から見て「ガメラ対深海怪獣ジグラ」(1971)で終了した旧大映の昭和ガメラの流れにあると解釈できる。
脚本家も女性になり、内容も子供とガメラの心の通じ合いを描く「大怪獣ガメラ」(1965)と言うよりも、「E.T.」(1982)や「アイアン・ジャイアント」(1999)などに近い、ハートウォーミングなファンタジーっぽい設定になっている。
昭和ガメラに登場した、大人のドラマに無理やり子供を差し込んだようで、話の展開に邪魔に見える子供描写とは違っており、ちゃんと子供の心理をメインに話が進行しており、「子鹿物語」などに通じる少年の成長ドラマとしてはそれなりに良くできているが、角川側に昭和ガメラへの帰還という企画意図があったとすれば、それ自体が疑問で、昭和ガメラはゴジラのようにヒットしていた訳ではないし、本作製作当時、そういうムーブメントがあった記憶もないからだ。
母親の死、友人の病気…と、御涙頂戴の定番要素を使っているのも今一つ乗り切れない部分があるし、アバンタイトル以降の展開が緩やかすぎ、前半の緊迫感が弱い辺りも気にならなくはない。
タイトル後、最初に怪獣が登場するまで40分程度もかかっているのも、怪獣映画を期待している客からするとテンポが悪すぎる。
さらに、人間を守るために自爆してしまうガメラという設定は疑問を感じ、「簡単に自殺してはダメだ」という子供透へのメッセージ性はわかるものの、「怪獣は戦って死んじゃう生物」などと定義してしまうのは、怪獣バトルや怪獣ヒーロー映画自体の否定になりかねないだろう。
「安易に死を選んではいけない」はわかるにせよ、「喧嘩や争いごとはいけない」みたいな、PTAや母親みたいなことを言ってしまうと、「怪獣映画」の魅力の大半は成り立たなくなるからだ。
ひょっとすると、当初三部作構想だったと言われるこのガメラ、二作目以降は、ウルトラマンのカラータイマーのように、ガメラのピンチを知らせるサインがわりにするつもりだったのかもしれないが、戦いを盛り上がる要素にはならなかったような気がする。
ガメラが人間を守る動機に関し全く触れていないのもどうかと思う。
また、敵怪獣ジーダスが、ガメラの対戦相手としては個性が弱く、普通の恐竜に近い造形なのも、もう一つインパクトを感じない理由かもしれない。
動きもあまりに人間に近いし、着ぐるみ感が半端ない。
トトガメラの方も幼児体型で、愛嬌はあるが、応援したくなるかっこ良さとは言い難く、感情移入も難しい。
クライマックスの透とトトの再会シーンも感動的とも言えるが、説教臭くも感じないではなく、見ていてまどろっこしい。
そもそも後半になるにつれ、主役の少年が大人を困らせる厄介な昭和ガメラ少年っぽくなるのも苛立ちを深める要因のような気がする。
ちなみに主人公の少年の実家である食堂で、トトが包丁に炎を吹きかけるのは、昭和ガメラを見ていない人には意味不明の演出だろう。
公開当時、徳間「平成ガメラ三部作」の続編を期待していた層も、昭和ガメラ世代も、子供透も、その新たな世界観には満足しなかったのか、興味が持てなかったのか、配給が松竹だったこともあり、成績的には全く振るわず、以後、KADOKAWAによる実写新作ガメラは実現していない。
【以下、ストーリー】
2006年、「小さき勇者たち~ガメラ~」製作委員会、龍居由佳里脚本、田崎竜太監督作品
1973年、三重県 志摩
夜 燃える民家
スタッフロール(逃げる民衆を誘導するパトカーと警官の姿を背景に)
逃げる群衆の中にいた少年が何かを見上げる。
森の黒い上空を飛ぶ火球を受け、炎上しながら落下するギャオス。
森を進むアバンガメラに別のギャオスの光線が直撃し、緑の血がガメラの左肩から迸る。
上空を飛ぶ複数のギャメラが、倒れたアバンガメラに接近する。
立ち上がったガメラの腹部の紋様が赤く光る。
ガメラの目も赤く光、異変を察知したギャオスが逃げ出そうとするが、真っ赤に全身が灼熱したガメラはその場で大爆発を起こす。
大王町消防団の法被を着た男が、自爆?人間のために…と驚く。
ガメラ!俺たち、助かったんだ!と周囲の避難民も叫び出す。
避難民たちがゾロゾロを引き上げる中、少年だけはその場に残り、爆発したガメラの方角を見つめていた。
2006年 同じ島が見える海岸にやってきたのは、大人になった少年相沢孝介(津田寛治)だった。
花束を抱え一緒についてきたのは、その孝介の息子相沢透(富岡涼)だった。
堤防に体を押し付けた透が、お父さん!と呼びかけると、振り返った孝介は、うん、行こうかと頭を掻いて、その場から立ち去る。
相沢親子が来ていた理由は側にある、亡き妻であり母親の墓参りのためだった。
墓に花を供えた孝介は、透、一緒にお参りするぞと息子に声をかける。
透は、良いよ、父さん先で…と遠慮するので、そう言うなよ、今日からまた店開けます、また頑張る…ってさ…、な?一緒に報告しよう?その方が母さんも喜ぶから…と孝介は勧め、ほら!と急かす。
渋々透が先に墓の前に立つと、お水あげてな…と孝介が指示する。
母さんな、ちゃんと空の上から見ていてくれっからと、水を墓の上から駆け出した徹に話しかける。
すると透が、良いよ、別にそんなの…と小声で答えたので、なんだよ、そう言うのって…と孝介は戸惑う。
別に…と透が答えたので、別にって、お前…と孝介は釈然としないまま、透と一緒に墓に手を合わせる。
僕のお母さんは交通事故で死んだ…、母さんは空にいるのではなく、小さな骨になってこの下にいる…(透のモノローグ)
母さんのいない初めての夏休みが来た!(立ち上がって海を見る透)
タイトル
灯台近くの海辺を飛ぶトンビの姿を背景にキャストロール
父の孝介と帰る途中、透は小島に光る赤い光を見つけ立ち止まる。
孝介も立ち止まり、どうした?と聞くと、透は別に…とだけ答え、また歩き始めたので、孝介はまたしても戸惑う。
古びた港の通り沿いにある食堂「あいざわ食堂」の店頭には、「営業再開のお知らせー長い間臨時休業をさせていただいておりましたが、7月23(金)より営業を再開する運びとなりました。この度は誠にご迷惑をおかけしました。「今後ともよろしくお願いします。 あいざわ食堂店主 相沢孝介」の張り紙が貼ってあった。
店内には客がたくさん入っており、店内のテレビでは「巨大生物審議委員会33年の歴史に幕」というニュースを流していた。
委員会の解散式の模様が放送され、それを常連の西尾治(寺島進)が見入っていた。
西尾はチャーハンを作っていた幸助に、やっぱこうじゃなくちゃあなと声をかけ、えっ?と中華鍋を振る孝介が答えると、久しぶりに孝介の姿がよ~、嬉しいなと思ってなと西尾は言う。
飯を食っていた他の客(南方英二)たちも嬉しそうだった。
いや、そう言われると思ってさ、本日は大盛り大サービスだといい、孝介は西尾にチャーハンを差し出す。
その時、テレビニュースで連続海難事故の話題になったので、何だよ、また事故かと客が呆れたように呟く。
孝介もテレビ画面に注目するが、沖縄近海で7月になって1日、4日、10日、15日、20日と海難事故が続出していると言う内容だった。
その頃透は、友透2人石田勝(石川眞吾)、石田克也(成田翔吾)と島の海岸で水の掛け合いをしてふざけ合っていた。
しかし透は、自分のズボンを脱がせようとする2人気切れて、止めろって言ってるだろう!と向きになったので、勝と克也は冷めてしまい、ごめんと謝るが、透は黙ったまま、その場を立ち去ろうとする。
しかし、途中で立ち止まった透はため息をつき、振り返って、本当に怒っていると思った?引っ掛かっちゃった?と笑顔で言ってくる。
それを聞いた友透は、何だよと安堵した笑顔で答える。
透は2人に近づき、自ら相手の海パンを脱がそうとし出し、3人はまたふざけ合う。
帰宅して食堂の隅で夕食を食べていた透は、メニューに書かれた母親手描きのイラストを見ながら、「トト…、トト…」と呼びかける母親の声を思い出していた。
ふと振り返った透は、そこに「トト、おかわりは?」と自分に問いかける亡き母親美由紀(小林恵)の姿絵を見て驚く。
しかし隣のカウンターで客がビールのコップをひっくり返した瞬間、その幻影も消える。
2階の自室に戻った透は扇風機をつけて涼を取る。
その時、隣の窓から身を乗り出した西尾麻衣(夏帆)が、透?いるの!いるよね?と声をかけてくる。
面倒くさそうに立ち上がった透は窓辺に寄り、何?と聞くと、なんかテンション低いな~と麻衣は返事し、これでどうだと言いながら雑誌を袋から出してみせたので、あっ!と透は驚く。
13巻本日発売!と麻衣が言う本は「ケロロ軍曹」のコミックだったので、出たんだ!貸して、貸して!と透も窓から身を乗り出す。
どうしよっかな~と麻衣が焦らすので、早く貸せよ、麻衣!と透も苛立つ。
すると麻衣は、あ、そういう態度、じゃあと言って部屋に帰って行こうとしたので、あ!麻衣さん、お願い、貸してください!麻衣さん!とカーテンを閉められた隣の窓に向かって透が態度を改めると、にわずか100だいをアーテンが開いて、よ~し、良いだろうと言いながら麻衣がコミックを差し出してきたので、透はそれを受け取って、部屋の明かりをつけると読み始める。
おい、透君、元気そうじゃんと食堂で西尾が店を終えた孝介に話しかけると、ああ、けど、何だかね~と孝介の返事に力はなかった。
なんか問題あるってのかいと?西澤がビールを注いでやりながら聞くと、俺とはそんなに喋ってなかったってのもあるんだけどさ、俺も店とかで忙しいし…、その分みゆきと喋ったけどなと、西尾の隣のカウンター席に座った孝介は答える。
いきなり親父と子供の会話が盛り上がるわけもなくか…、あ、みゆきちゃんは透君にベタ惚れだったもんな~、ほら、ちっちゃい頃、なんだ?トト!トトちゃん!なんてな~、まるで恋人みたいだったもんな~と西尾も納得する。
笑いながらも、あいつ、透のことは心残りだったろうな~と呟きながら、孝介がビールを飲むと、お前のこともな…と西尾は答えて笑う。
それを笑った孝介は、あ、そうだ、兄ちゃんどうした?と聞くと、漁師に決まったよというので、そうか…と孝介は答える。
ある日、登校日なので朝から子供透が出かけていく中、一緒に出掛けていた透は、あちゃ~!忘れたと途中で気づく。
その時、また、離小島から赤く光るものを見たので、好奇心に耐え切れず、透は笑顔でその島を目指して走り出す。
泳いでその小島にたどり着いた透は、赤い光のそばに近づいてみる。
赤く光っていたのはボールのように丸い卵のようなものを支えたドーナツ状の台の部分だった。
透は卵のようなものを取り上げ手のひらに乗せて指で転がしたりするが、突然卵にヒビが入ったので驚く。
殻の破って出てきたのは小さな亀の赤ちゃんだった。
透は、まじ!と驚きながらも空を捨てて亀を手のひらに乗せる。
亀が右手から転げ落ちたので、慌ててひらり手でさせた透は、ばか、気をつけろよと笑顔で注意する。
裏返った亀の腹の部分を見た透は、へえ、この模様、カッコ良いじゃんと気に入る。
その頃孝介は、「あいざわ食堂」の隣の「西尾真珠店」に行き、治!回覧板と呼びかける。
西尾は、あ、その辺置いといてと答え、「緋色真珠」を大事そうに扱っていたが、それに気づいた孝介が、やっと売れたか、最後の緋色真珠…と言いながら近づいてくる。
ところが、これ、売るの止めたと西尾が言うので、ええ?だってそれこの商店の目玉商品だろう?と孝介が驚くと、麻衣にやろうかなってと西尾は答え、売り物の緋色真珠を真っ二つに切断してしまう。
そうだよな、幸運を呼ぶ真珠だものなと孝介も納得する。
ガメラが人間守るためにさ、ギャオスと戦って死んだ、あの年にだけ撮れた貴重な真珠だからな~と西尾が指摘し、昭和49年2月1日の志摩新聞にその写真が載っていた記事が店内に飾られていた。
うちら真珠業者は助けられたんだよなと西尾が言うと、赤い真珠が話題になって観光客や取材でまちが復興できたってさ~、死んだ親父が昔よく言ってたもん…と孝介も当時を思い出す。
ああ…、その幸運を麻衣にもってわけ…と西尾も答える。
ま、難しくない手術って言われてもさ~、何たって心臓だろ?と西尾は続ける。
そこにただいま~と帰ってきた西尾の妻晴美(奥貫薫)に、お帰りとこうすけが呼びかけると、いらっしゃいと妻は答える。
回覧板!と西尾が声をかけると、晴美さん、今、良いお守り作ってもらってるじゃないと孝介も話しかける。
私は店で売れって言ってるんだけどね、お守りなんかなくてもあの子は大丈夫って…、楽勝、楽勝!と晴美は答え、店の奥へと消える。
一方、麻衣は、夕暮れの町はずれの丘で夕陽を眺めていた。
帰宅していた透は、亀の卵の下にあった赤い石をスタンドの明かりに透かして観察していた。
床には小さな亀の赤ちゃんが歩いていたので、お前歩くの下手だな~、もっとトトトトト…って行けないわけ?と近づいた透が言葉をかける。
だから、もっとトトトトトってと、歩みの遅い亀を掴んで透が始動する。
やがて、亀を捕まえた透は、お前の名前トトな、名前に恥じないよう成長しろと言い聞かせる。
孝介は、食堂でテレビを見ながら楽しそうにしてる透の姿を見て安堵してた。
夜、うちは食堂だからさ、ペット禁止な訳よ、父さんがそう決めてる訳、だから、絶対この部屋から出るなよ、って言ってもわかんないか…、良いか…、トト…と、2階のベッドの上で、透はトトに言い聞かせて、いつしか眠っていた。
翌朝、目覚めた透は、枕元にいたトトに、お前、大きくなった?と聞いていたが、下から幸助の、おい、起きろ!と言う声に気づく。
掃除するから下行って飯食えと言いながら、孝介が掃除機片手に階段を上がってきたので、透は慌ててトトを背中に隠すと、ベッドの上に置いて、タオルケットを上に置いて隠すと、掃除なら自分でするからと言い出す。
孝介が、え?と不思議がると、僕、宿題、自分の部屋とか自分でするとか…と透が言うので、へえ?と孝介は戸惑いながらも、うん、それは良い宿題だなと感心し、じゃあ、宿題、頑張ってなと言いながら掃除機を透に渡すが、干しとくか…と言いながらタオルケットをいきなり取り上げたので、慌てて透が奪い取り、何?と孝介は驚く。
急いでタオルケットを探した透だったが、父が見当たらないので、でもない…と答え、寝ぼけてるのか、お前?と孝介も呆れながらタオルケットを窓から干す。
その時、孝介の背後の窓の外に、トトが浮かんでいるのを発見した透は悲鳴をあげかけて、おぬしぎ追わず自分の口を押さえる。
その時、隣の窓が開き、外を眺めた麻衣が飛んでいるトトを見て悲鳴をあげたので、孝介はどうした?と聞くが、肝心のトトは透の部屋に飛び込んで、透がキャッチしていた。
どうした?と孝介が聞くが、麻衣は透が必死に口を指で押さえているのに気づき、なんでも…と答えてごまかす。
まあ、何でもないなら別に良いけど…とぼやきながら、孝介はタオルケットを窓辺に干すと、良し、あと、掃除やっとけよと亨に指示すると下に降りていく。
それを見送った麻衣は、ちょっと、何よ、今の?と透に聞いてきたので、やむなく透は手に隠していたトトを差し出して見せ、亀…と打ち明けるが、トトはまたしても空中に浮かび上がったので、驚いた麻衣は、どうすんの、これ?と聞く。
流石に透も困って、頭を掻くだけだった。
トトを海岸に持ってきた透は砂浜の上に置いて、お前、やばすぎだから…と言い訳する。
そしてその場を立ち去りかけた透だったが、振り向くと、トトが後を追いかけてきたので、思わず,来るな!と呼びかける。
それでもトトが近づいてきたので、来るなって!と言うなり透は走って帰宅する。
途中、立ち止まった透は、トトがついて来てないか期待半分、不安半分の気持ちで待っていたが、諦めて進みだし、ふと振り返ると、期待通り、トトが近づいて来ていたので驚く。
さらに、その奥から軽トラが接近して来たので、トト!と叫びながら、透がタイヤに廃棄飛ばされたトトをキャッチすると、運転手から、こらっ!危ねえな!と怒鳴られる。
軽トラックが走り去ると、堤防に背をもたれかけた透はトトに、バカ!轢かれたらどうすんだよ!死んじゃうんだぞ…と叱りつける。
しかし、お前さ~、こう言う時に飛べよなと透は笑顔になっていた。
仕方ないな~というと、透はトトを頭に乗せて歩き出す。
その後、スケートボードをしに出かけた透は、あのさ~、亀好き?と勝に聞く。
はあ?と勝が聞き返すと、僕好きだよ、亀!と克也が答える。
亀?と勝が聞き返すと、そう、亀!部屋に隠してるんだ!と透は教える。
その頃、トトは2階から階段を転げ落ち、孝介が調理中だった食堂内に近づいていた。
孝介は移動しかけてトトを踏みつけ盛大に転んでしまう。
透たちがスケートボードをしている間、食堂にいた孝介は、空中に浮かんだトトをオタマで気づかず叩いてしまい、中華鍋に落ちたトトは、スケートボードのように跳ね返る。
透たちがスケボーに乗って帰宅している間、食堂の調理台から落ちた包丁が、床を這っていた父の目の前に落ちて刺さったので、トトはギロンを連想したのか、火炎攻撃をする。
床に刺さっていた包丁に気づいた孝介は拾い上げ、包丁の焦げた理由がわからず見つめる。
スケボーで遊び疲れた透たちは突堤の地面に寝そべっていたが、イシマル、亀見にうち来る?と透は勝にあだ名で呼びかけ聞く。
夕方、西尾真珠店に帰ってきた麻衣は、隣の透の部屋から聞こえてくる、おお!お兄ちゃん、これどうなってるの!と騒いでいる子供透の声に気づく。
透の部屋ではトトが空中に浮かんでいたので、見に来た勝も、すっげえ、初めて見た!まじ、すげえ…と興奮していた。
克也は、ねえ、僕もトトと友透になれる?と聞いてきたので、秘密を守れるんならなと透は偉そうに答える。
克也は、守る、守る!と約束し、勝も、俺も!と言うので、じゃあ、友透なと答えるが、その時、隣の窓が開いて、透、なんでいるのよ?捨ててきたんじゃないの?と麻衣が聞いてくる。
振り返った透が、だからと言い訳しようとすると、父が頭に乗ってきたので、慣れると可愛いもんだよ透は答える。
な?と同意を求められた勝も克也も、めっちゃ可愛いと答える。
頭の上をトトに引っ掻かれた透は、もう、引っ掻くなよ~と半分嬉しそうにトトに話しかけ,
克也が僕にも貸して!と呼びかけていたが、その様子を見ていた麻衣は不安そうだった。
その頃、海面に浮かんだ浮き輪に捕まり漂流する男(渡辺哲)がいた。
そのそばに、ポカリ、ポカリと、中身のない救命具や船の備品が浮き上がったので、男は焦ってその場から泳いで離れようとするが、すぐに海中に引き込まれる。
その直後、第9海洋丸と書かれた浮き輪とともに、大量の血が海面に湧き上がる。
東京・霞ヶ関
巨大生物審議委員会災害応急対策担当一ツ木義光(田口トモロヲ)参事官が会議部屋の中央に到着すると、一ツ木参事官、雨宮教授からまたこれが…と、秘書の戸畑 裕二(正名僕蔵)から書類を渡される。
書類には「連続多発海南事故と巨大生物出現の可能性についての考察」と題がついていた。
筆者は「名古屋理科大学応用生物学科教授 雨宮宗一郎(石丸謙二郎)」と記されていた。
そこ書類を机に叩きつけた一ツ木は、巨大性鬱審議会は解散したんだ、長年ご苦労様でした、憶測に過ぎないレポートを受け取る部署はもう存在しません…と、先生にお伝えしろと戸畑に告げる。
それを戸畑がメモすると、時間だ、大臣はどうした?と一ツ木が聞くので、戸畑は少々お待ちくださいねと言い、その場から立ち去る。
一ツ木はイラついた等に、両手を机に音を立てて置く。
「巨大生物審議会」のトップに「ガメラ」のレポートがあった。
身長35m、体重40トン、甲羅長径29m、甲羅短径22m
1973年に三重県志摩地方に出現した巨大生物である。同じく出現したギャオスの2時間後に現れたなどと概要欄に書かれてあった。
それを夜の神社で麻衣から渡された資料を見た透は、そこに書いてあるでしょう?空飛ぶ亀ってと麻衣に教えられる。
この怪獣?トトが?と、資料に載っているガメラの成獣の写真を見ながら透は苦笑する。
ない、ない、だって、こんなにちっちゃいんだよ、火だって吐かないし…と言いながら、透はそばの石灯籠の中に置いていた父を外に出して見せる。
麻衣はいらだったように、これから大きくなるんだよ、これからビュンビュン飛ぶようにもなるし、火を吐くようにもなる…、そしたらあんた、どうすんのよ?と言い返す。
それでも透は、あり得ないよ、麻衣だってずっと一緒にいればわかるよ、トラックに轢かれそうになったの助けてやったんだものな、友透だもんな?とトトに話しかける。
それでも麻衣は、何かあったらすぐ私に言うんだよ、何か変わったことあったら…と透に指示する。
それを聞いた透は、黙っててくれるんだと嬉しそうに言うと、ないない、変わったことなんて、絶対!…と言い切る。
が、翌朝、透は愕然として、あったよと呟く。
トトがさらに巨大化し、畳の上で腹を上にして眠っていたのだった。
まだ夜明け前の店の前に、麻衣と2人でタオルケットに包んだトトを運び出していたら、連絡を受けた勝と克也も駆けつけてきて、これを敷こうとスケボーを取り出す。
寝ぼけた克也が、お兄ちゃん、どこどこ?などと声を出したので、慌てて黙らせた勝が、懐中電灯か勝てに先導し、透と麻衣が、スケボーに乗せたトトを押して進み出す。
トト、ちょっとの我慢だからなと透は、タオルケットに包まれたトトに話しかける。
海辺の漁師の納屋に連れてきた子供たちは、そこでタオルケットを剥いで、初めて成長したトトを見ると、すごい!急に大人になったんだ~と驚きの声を上げる。
透は、うん、これが大人だよ、きっとこれ以上大きくならないと言い訳する。
勝らと別れ、透と2人で帰ってきていた麻衣が、ねえと話しかけると、違うよ、父はガメラなんかじゃない!と透が言うので、だって…と麻衣が言い返そうとすると、トトは怪獣なんかじゃないと透は主張する。
だって、怪獣は戦って死んじゃうんでしょう?トトは死なない、死ぬなんて絶対嫌だ!と透は悲しげに言う。
タオルケットを抱えて帰ろうとする透に追いついた麻衣は、透!今度何かあった時は助けてあげられないかもしれないんだよと麻衣は、自分の手術を念頭に言い聞かせる。
え?と驚いた透に、だから何にもない…、帰ろうと言い、麻衣は言葉を濁す。
食堂の仕入れから帰ってきた孝介は、あれ?どこに行くんだ、お前、こんなに早くから?と、2階から降りてきて出かけようとする透に気づいて声をかけると、ちょっと…と透は言う。
ちょっとって、どこ行くんだ?って聞いてるんだよと孝介が聞き返すと、だからちょっとだってと透は相手をせず出掛けてゆく。
外へ飛び出した透は、待ちなさい、麻衣!と呼び止める、隣のはるみの声で思わず足を止め振り向いてしまう。
出かけようとする麻衣を引き止めた晴美は、昨日の夜のことをちゃんと話しなさいと迫る。
だからちょっと散歩していただけと麻衣は答えるが、だったら今日はウチでゆっくりしてなさいと晴美は言い聞かせる。
大丈夫だってとセーラー服姿の麻衣はそのまま出かけようとするが、明日から入院なの、すぐ手術なのと晴美は言う。
そんな晴美に対し、だから出かけるの、しばらく見れない景色見とくの!と麻衣は言い返す。
それを聞いていた透は、麻衣の事情を初めて理解する。
もう、見れないかもしれないし…と麻衣は悲しげに晴美に言うので、そううこというと、母さん、怒るよ!と晴美は叱りつける。
だって…と麻衣が言い返すと、そこに西尾が出てきて大丈夫だよ、麻衣にはちゃんと母さんとお父さんついてっからと麻衣に告げ、緋色真珠がついた腕輪アクセサリーを差し出す。
その会話を聞いていた透は、また亡き母親のことを思い出す。
トトの母さんはどこにいるんだろうな?と、納屋のトトの元にやってきた透は語りかける。
なあ、あの赤い石だけどさ…と聞いた透は、その後麻衣と再開した時、借りていたケロロ軍曹のコミックをありがとうと礼を言いながら返す。
で、トト大丈夫?と麻衣は帰りかけた透に聞くと、頷いた透は、後さ、これ…と持ってきた赤いトトの卵の敷石をリュックから取り出して見せる。
え?と驚く麻衣に、お守り、病気のと言いながら、透は赤い石を麻衣に手渡す。
麻衣が、知ってたの?ありがとうと言いながら、赤い石を受け取ると、トトの卵の下にあったんだととるは教える。
すると麻衣は、じゃあ、トトのお守りなんじゃないの?私がもらっちゃったら…と麻衣が気づくと、トトにはちゃんと言っといたと透は教える。
じゃあ元気になって、ちゃんとトトに返さなくちゃねと麻衣は嬉しそうに微笑む。
運と透が返事すると、ああ~、でも、心配だな~と突堤に登った麻衣は海に向かって言うので、何が?と透が聞くと、決まってるでしょう、あのトトとと海辺の納屋の方を指差した麻衣は、このトトが…と言う。
それを聞いた透は、大丈夫、最強のトトコンビですからと笑顔で答える。
翌日、ヘリが、志摩市大王崎の南、北緯34度、東経136度49分の海域で、会場に浮かぶ救命胴衣を発見、その後周辺海域で遭難者の捜査を開始する。
その頃、海辺でトトと会っていた透は、なあトト、お前ガメラなのか?んなわけないよな?と話しかけていた。
その時、トトが海の方に向き直ったので、どうした?トト…、何見てるんだ?トト!と透が聞く。
名古屋中央総合病院
雷鳴が轟く夜中、麻衣は入院部屋のベッドで寝ていたが、その枕元に置かれていた赤い石が光っていた。
雨の翌日、納屋に行った透は、ガメラの姿がないことに気づく。
トト!と呼びながら、納屋の中や外に飛び出て見た透だったが、トトの姿は見つからない。
トト!どこだよ!と呼びかけながら雨の中を探していると、傘を差した勝と雨合羽を着た克也も合流し、こっちにもいない?というので、透はああと答える。
どこ行ったんだろう?と克也は心配し、トト!トト!と周囲を探し出し、勝も、鍵、昨日かけたんだよな?と勝も透に確認する。
かけたよ、ちゃんと、いつもより厳重にかけたんだと透は答える。
誰かに見つかっちゃったのかな?と克也が不安そうに言う。
けど、トト、俺が呼んでも見なかったんだ、俺のこと、見てくれなかったんだ…とと透は寂しげに打ち明ける。
その夜、透は寝付けず、夢の中でトトとの思い出に浸っていた。
夢の中でもトトが飛び去って行ったので、トト…と呼びかけながら、透は寝ながら泣いていた。
食堂で働いていた孝介は、2階の様子を気にするが、客が、コウちゃん、サメ焼いてくれるか?と注文してきたので、サメ、あいよと答え仕事に戻る。
納屋で通ると会っていた勝は、誰かに見つかったんなら、少しは騒ぎになるなと落ち込みながら言う。
その時、何か外で異変を察知した勝は、トトか?と呟き、透とともに飛び出していく。
街では、大勢の人々が何かから逃げていた。
高台から随所に立ち昇る白煙の様子を見た透と勝は、何だこれ?まさか…と驚く。
そこに、おい!と孝介が近づいてきたので、何があったの?と透が聞くと、とにかく学校に逃げろって!と孝介は教え、2人を誘導して先に走り出す。
後方を見ると、他の避難民と一緒に逃げてきた克也が転倒
それに気づいた勝が、克也!と叫び透や孝介と一緒に近づこうとすると、灯台の一部が落下してくる。
そして丘の影から怪獣ジーダスが出現する。
避難民と克也はジーダスが接近したので逃げようとするが退路を絶たれているので逃げようがなかった。
勝や透、孝介は克也や避難民を助けようと、道を塞いだ灯台の瓦礫をよじ登ろうとするが、孝介は無理だと感じ、勝と透を引っ張り下ろすとやめろ!逃げろと叫ぶ。
ジーダスが避難民を食い始めると、思わず、見るな!と孝介は、勝と透の顔を自分の胸に押し付けて言う。
孝介が手を緩めた時、透が瓦礫の隙間から見えた克也に気づく。
立ち上がった子供たちに、待て!と言った孝介は、お前たち絶対ここを動くんじゃないぞと命じ、瓦礫を登って、克也を救出に向かう。
克也を肩に背負い、脱出しかけた孝介だったが、それを見ていた透が、お父さん!と叫び、孝介が振り返ると、ジーダスの顔が間近に迫っていたので、もはやこれまでかと思われたが、その時、ジーダスに何かがぶつかってくる。
思わず目をつぶっていた孝介も、異変を感じ目を開けて振り向くと、そこにいたのは以前より遥かに成長し巨大化した亀のトトだった。
それを見た透と勝は意味が分からず唖然とするが、孝介はガメラ!と呟く。
トトとジーダスの戦いが始まった隙を見て、克也を抱えた孝介は行くぞ!と声をかけ、透と勝と一緒にその場から逃げ出す。
ジーダスの足に噛みついてたトトは蹴飛ばされるが、民家にぶつかって止まった途端、両足で立ち上がる。
途中立ち止まった透は、父の胸の模様を見てとと!と叫び、勝も、本当だ、トトだ!と叫ぶ。
透が父の方へ駆け戻ったので、透!と呼びかけ、肩に担いでいた勝也を勝に託した孝介は後を追う。
33年前のガメラとはちょっと様子が違うようですと戸畑が一ツ木参事官に、トト出現の情報を教えていた。
旧ガメラは体長約35mでしたが、現ガメラは約8m!と戸畑は指摘するが、一ツ木参事官は興味なさそうに歩いてゆく。
ですから、体重をもとに飛行およびぼわーっと、火球攻撃ですか?は、今の時点では見せていませんと続けた戸畑に、雨宮教授と連絡ついているのか?と一ツ木参事官は歩きながら問いかける。
え?雨宮教授?と驚く戸畑に、すぐご連絡しろ!現地で合流だ!と一ツ木参事官は命じ他ので、戸畑は、はい!と答える。
ジーダスは志摩パールブリッジ(志摩大橋)に近づき、トトは後ずさっていた。
ジーダスは長い尻尾で、トトを橋の上に弾き飛ばす。
トト〜!と叫びながら怪獣たちに駆け寄る透を掴んで止めた孝介は、お前、何やってるんだ!と叱るが、だって、トトが…と透は答える。
ジーダスはトトに近づこうとするが、アーチ部分に遮られ前に進めないので、アーチの両端を掴んで登り始める。
そしてジーダスは口を開けると、紫色の長い舌を突き出し、トトを攻撃してくる。
次の瞬間、トトはジーダスの舌を掴むとそのままジーダスの顔に近づき火球を発射する。
顔を焼かれたジーダスはそのままアーチ部分から海中に落下する。
トトはその水飛沫を被るが、父の首には先ほどのジーダスの舌攻撃でできた傷があった。
とと〜!と叫びながらトトに近づこうとした透と、それを追う孝介だったが、その横を通り過ぎた自衛隊の車両が通行を邪魔する。
その頃、病院に入院中だった麻衣が手にしていた赤い石が光り出す。
その時、西尾さんと看護師たちが声をかけて部屋に来ると、赤い石は光るのをやめ、さあ、行きましょうねと別の看護師は勧める。
晴美と父親も来ていた。
舞ははいと答え、ベッドに備え付けのテーブルに赤い石と緋色真珠のブレスレッドを置いていく。
麻衣が病室を出ると、テーブルに置かれていた赤い石は再び光出す。
避難場所の学校のジャングルジムに腰掛けて遠くを見ていた透の所に、勝が駆け寄って来て、透!トトが名古屋に運ばれるって!もうすぐ下の県道を通るらしいと教える。
勝と一緒に県道の歩道橋の上に来てみると、すでに野次馬が集まっていた。
やがてトラックの荷台に積まれたトトが接近してくる。
透と勝は、通り過ぎてゆくガメラを追って側道を走る。
トト!トト!と透が呼びかけると、トトはつぶっていた目を開ける。
トトを乗せたトラックは、警備のパトカーを後尾に遠ざかって行く。
夜、大王町の名前が入ったテントが貼られた学校に、自衛隊のジープが来る。
講堂ではラジオ放送が流れ、新聞記事などを読んでいた避難民が、政府がこの怪獣をジーダスと名付け、解散したばかりの巨大生物審議会を再結成したなどという放送を聞いていた。
そんな行動に避難し、号外を呼んでいた孝介は、昔のガメラって、父さんが小さい頃見たガメラのことか?と透に聞く。
父さんもトトのことを昔見たガメラだと思うの?けどもっと大きかったんでしょう?大きくてすごく強かったの?と透は逆に聞く。
孝介は、なあ…、まずは透とトトのことを父さんに話してくれないか?と孝介は水を向ける。
名古屋理科大学
巨大な部屋にがトトが安置されており、多くの学者に混じって一ツ木参事官もその場にいた。
これが…と、赤い液体を見た一ツ木が言うと、ええ、我々が長年かけて研究し、緋色真珠から抽出したガメラのエネルギー成分ですと、応用生物学科教授雨宮宗一郎(石丸謙二郎)は答える。
雨宮先生、確実にガメラは成長するんでしょうね?と一ツ木が聞くと、雨宮教授は注入準備!と助手たちに命じる。
人間の味を覚えたジーダスはまた必ずやって来ます、ガメラを成長させないと大変なことになる!と雨宮教授はいう。
ねえ、どうすればトトはジーダスと戦わずに済むの?どうすればトトを助けられる?と透はこうすけに尋ねていた。
お前の気持ちはわかった、卵から孵したんだ、そりゃ可愛いよな〜、けどなと孝介が言うので、けど?と透は聞き返す。
さっきの戦い見たろう?ぐっちゃぐちゃになった街見たろう?もう子供がどうこうできる問題じゃないんだと孝介は教え諭す。
トトは!トトはまだ子供だよ!と透が大声をあげたので、しっ!でかい声出すな、寝てる人だっているんだ!と孝介は叱る。
お前のトトも、父さんが昔見たガメラも、なんでかわかんないけど人間の味方になってくれる。父さんの知ってるガメラはな、自爆までして父さんたちを助けてくれたんだと急に正座した孝介は話す。
透、でかくなったトトは、ありゃもうお前の知ってるトトじゃなくて、ガメラなんだよと孝介は続ける。
その時、携帯のバイブが鳴ったので、席を立った孝介が、はいもしもし、ああ、晴美ちゃんか?麻衣ちゃんの手術どうだった?と言いながら席を立った後、透は、違う、トトはトトなんだよと考えていた。
その時、透!ちょっと来い!と小声で手招きする孝介に気づいたので、透が立ち上がって近づくと、麻衣ちゃんの手術うまく言ったってよと孝介は教える。
本当?と透が喜ぶと、それでおばちゃんがお前に伝言あるってとこうすけが言うので、携帯を受け取った透がもしもしと呼びかけると、透君?大変だったね、大丈夫?と晴美が言うので、うんと答えると、麻衣がね、まだ半分寝ているようなものなんだけど、トトに…、トトにって…、トトに赤いお守りって、何度も言うのと晴美が伝えると、うん、何言ってるかわかるから、ありがとうと透は答える。
翌朝、透、勝、克也の3人は「志摩神明駅」から、怪獣騒ぎで一時運転を休止後再開していた電車で名古屋に向かうことにする。
トトにはきっとあの赤い石が必要なんだ、それを知ってるのは俺たちだけ、だから俺たちがちゃんと届けてあげなくちゃ…と透は感じていた。
勝が、克也、本当に行くんだな?と弟に確認すると、うん、トトの友達だもんと克也は答える。
電車に乗り込んだ透は、席から立ち上がってドアの窓から遠ざかって行く風景を見つめながら、トトのことを思うと、不思議と全然怖さを感じなかった…、母さんは僕のことをこんな風に心配してくれていたのかな?今は母さんが空から見守ってくれてるような気がする…と考える。
避難所にいた孝介は「麻衣の病院へ行きます。用事が終わったら、すぐに帰ります。透」と書かれた置き手紙を読み、急いで後を追うために外に走り出す。
名古屋駅に着いた透は、地下街で全く方向性を失い、すみません、名古屋中央病院ってどこですか?と通行人のおばさんに尋ねる。
ここまっすぐ行くとね、15番出口があるのと教えてくれたので、礼を言うと、そばで待っていた勝と克也に、あっちだと指差し、3人は走り出す。
トトに、赤いエネルギー水を注入していた大学内では、先生、まだ結果はわかりませんか?と一ツ木参事官が雨宮教授に聞いていた。
ええ…、体力が落ちすぎてるのかもしれないと雨宮教授は、眠っているトトを見ながら答える。
しかし、トトは目を開き、頭を動かし出したので、一ツ木参事官は、どうした?と驚く。
校内に警報が鳴り響き、駆けつけた戸畑が、ジーダスが名古屋港に上陸しましたと一ツ木参事官に報告するが、まだ無理だと一ツ木が答えた途端、校内は停電する。
すぐに非常灯がついた途端、父が鳴き声を放ち、次の瞬間、壁が壊れてジーダスの体の一部が出現する。
倒れ込んだ雨宮教授は、逃げろ〜と研究員たちに叫ぶ。
ガメラは壊れた壁越しに大学の外を通過するジーダスの姿を見て唸るが、一ツ木参事官と雨宮教授は、戸畑が運転する乗用車に逃げ込むが、戸畑が避けて!と叫んだ次の瞬間、巨大な瓦礫が車の天井に直撃する。
地下街から地上に出た透たちは、名古屋市の中心付近に向けて進行しています、死者、負傷者の情報はまだつかめていませんという報道を聞く。
港区熱田区ではすでに建物や道路などにすでに被害が出ている模様です…、先ほど名古屋区全域に緊急避難命令が出されましたという巨大モニターを透たちも見上げるが、「ジーダス、名古屋に出現」のテロップと、街を破壊するジーダスの姿が映し出されていた。
避難する市民の混乱が予想され、交通機関が…、あ、火が立ち上がりました!大きな建物が崩れていきます!街が、街が崩れていきます!とアナウンサーの動揺が聞こえてくる。
野次馬たちの一部はその場から逃げ始めた中、透は勝に、急ごう!と声をかける。
今日午前10時半頃、愛知県に怪獣ジーダスが現れました、ジーダスは今、熱田区を北に進行しています、現在、名古屋市全域に緊急避難命令が出ていますとカーラジオを聴きながら、孝介は車を飛ばしていた。
中央病院では、スタッフたちによる患者の避難作業が始まっていた。
晴美と西尾は、麻衣の避難をしに病室に駆けつける。
ベッドに寝ていた麻衣は、手に持っていた赤い石が光り始めたのに気づく。
戸畑は、破壊された車の中で気を失っていた一ツ木3時間を揺り起こし外に連れ出す。
車の横では先に出た雨宮教授が、破壊された大学の様子を呆然と見ていたが、その時、瓦礫の中からトトが立ち上がったので、一ツ木参事官も戸畑も唖然と見上げ、ガメラ!と雨宮教授は驚愕する。
街中は進行するジーダスから逃げる人々で混乱していた。
商店街もジーダスによって破壊される。
逃げ惑う市民の中、ジーダスは大通りで何者かに倒される。
トトがやってきたのだった。
トトに向き直ったジーダスは、怒りの表情を浮かべ首の襟巻きを威嚇するように広げる。
透と勝、克也らは、逃げる群衆と逆らうように走っていたが、目の前にさらに巨大化してジーダスと組み合っているトトを発見する。
倒れ込んだトトに、トト!と透が呼びかけると、トトは透を認識したように目を向ける。
立ち上がったトトだったが、ジーダスから蹴られたので、克也が、トトがやられちゃう!と案じるので、早く行こうと透は話しかける。
しかし道路は瓦礫で行き止まり状態になっていたので、ダメだ、やっぱり地下で行こうと透は提案する。
しかし地下街も避難者が大勢逃げており、透はそんな避難民とぶつかって転んでしまう。
勝が助け起こし、透たちは、逃げる避難民たちとは逆の方向へと走り出す。
外ではトトとジーダスの格闘が続いていたが、トトは劣勢だった。
病院に到着した透たちだったが、すでに全員避難した後で、誰もいないよ…と克也は気づく。
とにかく麻衣の部屋を探そう、俺はあっちの階段から行くからと透が提案すると、じゃあ俺たちはこっち!と勝は答える。
トトは左手のひらをジーダスの舌で貫かれ、緑色の血を噴出させていた。
麻衣の病室にたどり着いた透は、すでにそこはもぬけの殻で、赤い石もなかったが、ケロロ軍曹のコミックだけが残っていたことに気づく。
通路に足音がしたので、イシマル?と呼びかけながら病室を出た透は、そこに来たのは父の孝介だったことに気づき驚く。
透!と駆け寄った孝介は、父さん!と答えた透の頬を叩き、心配かけんな!と叱りつける。
ごめんと詫びた透だったが、でも麻衣が持ってる赤い石がないとトトが…、でももうダメだ…、トトに元気をあげてもジーダスと戦うだけできっと逃げられない…と落胆する。
昔のガメラみたいに自爆しちゃうかもしれないと透は絶望する。
孝介は、もう良い…、お前は良くやったと透の頭を撫でて慰め、けどこれ以上もう関わるな、お前が辛くなるだけだ…と言い聞かせ、行くぞと言う。
俺だけが逃げるの?と透が聞くと、違う!みんなが逃げるためにガメラは戦ってくれているんだと孝介が答えると、何でトトだけが戦わなくちゃいけないの?と透が聞くので、トトじゃないんだ、あれはもうガメラなんだ!と孝介はいうが、その時、病室の窓から、遠くで戦っているトトとジーダスの姿が見える。
その姿を見た透は、あれはトトだよ、トトが苦しんでる…と呟くと、またその場から走り出したので、孝介は、透!と呼びながら後を追いかける。
そこにダメだという子がしたので、イシマル!と気づいた孝介は、良いか、克也連れてこの避難所に行け、おじさん、おばさんと一緒にいるんだぞと、廊下に落ちていた避難所の地図を渡して孝介は指示すると、自分は透の後を追いかける。
克也がどうするの?と聞くと、とにかくこの避難所だと勝は言う。
透は外に飛び出し、トトに近づこうとする。
避難所になっていた広い建物にストレッチャーで運ばれて来ていた麻衣は、手に持った赤い石が光り続けるのを気にしていた。
大きな窓から、遠くで戦うトトとジーダスの姿が見えていたからだった。
父の苦しそうな戦いに耐えかねた麻衣は、トト‥…と呟くと、点滴のチューブを自ら剥がし、起きあがろうとする。
それに気づいたはるみが、何してるの?麻衣!と呼びかけるのを、窓からトトを見ていた少女(小野ひまわり)が気づいて振り返る。
行かなきゃ、トトの所に行かなきゃと、晴美に体を抑えられた麻衣は、赤い石を持ったまま抵抗する。
まだ寝てなきゃダメでしょうと叱る晴美に、トトが…と麻衣は呟き、西尾もどうしたと声をかけながら近づいて来て、看護師も来る。
その様子を見ていた窓際にいた少女がストレッチャーに寝かされた麻衣の側に近づいてくる。
お願いトトに!と訴えていた麻衣は、持っていた赤い石を掴んだ少女がいることに気づくと、少女は窓の外を見て、トトにだね?と聞いてくる。
麻衣が必死に頷くと、少女は赤く光る石を持って、避難所から駆け出してゆく。
外に出た少女は、逃げてくる避難民の間を掻い潜ってトトに近づこうと走る。
同じようには知ってトトに近づこうとしていた透は途中転んでしまい、後を追ってきた孝介に捕まり、透、逃げるんだ!と言われる。
嫌だ、トトはまだ子供なのに、ちょっと前に俺の前で生まれた子供なのに、逃げないで戦っているんだ!だから俺も逃げない!と透は抵抗する。
馬鹿野郎!それでお前が死んだら、トトが喜ぶと思ってるのか!と孝介は怒鳴る。
その時、トトがジーダスから足げにされ、ビルに倒れ込む。
歩道橋のところで、避難民の多さに進めなくなった少女は、橋の外にいた少年に、トトに!と告げて赤い石を託す。
少年は頷くと、トトに向かって走り出すが、すぐに警官に捕まってしまったので、近くにいた少年に赤い石を渡す。
その少年も鉄門に行手を阻まれると、近づいてきた少女に赤い石を渡す。
少女はさらに別の少女に赤い石を手渡す。
トトはジーダスの尻尾に噛み付くが、ジーダスはそんなトトをぶら下げたまま、近くのビルの屋上に這い上がり、体を前に落下した反動で、尻尾のトトを跳ね飛ばし、トトはツインタワービルに激突する。
それを見た透は思わず、トト〜!と絶叫する。
その頃、勝と克也は、避難所の場所が分からず、こっちかな?と迷っていた。
その時、克也がお兄ちゃん!と叫び、そちらを見ると、赤い石を持った少女が駆けつけて来ていた。
お〜い、待ってくれよ〜と呼びかけ、勝と克也もその少女の後を追いかけ始める。
透はツインタワービルに近づくジーダスを見て近づこうとしたので、孝介が必死に抱き止める。
やがてジーダスは、トトが頭から突っ込んで動けなくなったツインタワービルのもう片方をよじ登り始める。
透は浩介に、俺…、やっぱり赤い石取ってくると言い出す。
かけ出した透を孝介は追いかけようとするが、その時、透!と呼びかけながら近づいて来たのは、赤い石を持った勝と克也だった。
お前ら、避難所で待ってろって言ったろ!と孝介は叱るが、勝は道に迷って行けなかったんだと息を切らせながら説明し、でも石を、みんながこの石を!順番に、トトにって!みんながトトにって!と言いながら光る赤い石を差し出したので、透はそれを受け取ると、倒産、俺トトに会いに行ってくると言うので、良いんか?お前の手で殺すことになるかもしれないんだぞと孝介は忠告する。
ビルに突っ込んだまま動けないトトの様子を見上げた透は、トトは自爆なんかしない、俺たちがさせない!と言い切る。
それを聞いた孝介は、分かった、父さんも行くと答える。
透は驚くが、孝介が頷いたので、すぐさまトトの方へとかけ始め、孝介もその後を追う。
透はトトが突っ込んだビルの中に入り階段を登り始めるが、26階付近で体力がついていけなくなる。
そんな透の肩を叩いて孝介が励ますと、また透は階段を登り始めるが、やがて、瓦礫で登れなくなる。
一方、隣のビルの外壁に登って来たジーダスは、長い舌を突き出して父の腹部を突き刺したので、トトは苦しむ。
孝介が瓦礫を持ち上げ、その隙間から透は上に登ってゆく。
しかし直後、また瓦礫が道を塞いだので、透は驚いて振り返るが、行け、透!前だけ見て走れ!と下から孝介が呼びかける。
頷いた透は1人で階段を登り始める。
透は苦しみながらも階段を登り、ようやくトトが突き刺さった会にくると、トト!と呼びかけてその顔に近づく。
トト、届けに来たよ、トト!今のお前にはこれが必要なんだろう?と言いながら、透は光る赤い石を差し出す。
みんながお前にこれを届けるために来てくれたんだぞと伝える透。
でもそれはお前が死ぬためじゃない…、お前が自分の命と引き換えに、あの怪獣を倒すためなんかじゃない、そんなのダメだ…と透が訴えかけると、トトも表情を動かす。
死んじゃうなんて嫌だよと透は泣きながら訴える。
大好きなのに…、大好きなのに死んじゃうなんて…、もうそんなに嫌だよ!と透は続ける。
これは生きる為の石だ、自分で死ぬなんて絶対に許さないからな…、生きるんだぞ!と透は赤い石を持って訴える。
その時、隣のツインタワービルの屋上からガメラのいるビルにジーダスが飛び移ったので、透とトトが対峙していた部屋も揺れる。
ジーダスは、ビルの屋上から長い尻尾を振り下ろし、トトの尻を叩いたので、トトは悲鳴をあげる。
そのトトが外に引き摺り出されかけた時、行くよ、トト〜!と言いながら透は赤い石をトトの口の中に投げ入れる。
トトはそのままビルから地面に向けて落下してゆく。
地面に激突したと思われた瞬間、トトは四つの手足の穴から噴射をして体を浮遊させる。
それを見た透は驚くが、トトはジェット噴射で体を上昇させ、回転飛行を始める。
それを見た赤い石を最初に運んだ少女が微笑む。
石を運んだ少年、少女たちも喜びあう。
勝と克也も、やった〜!トト、すごいと興奮する。
避難所の窓から見ていた麻衣も、トト!と喜ぶ。
回転ジェットでトトは。ジーダスに体当たりし、地上に落下させる。
ビルの下に降りてきた通ると孝介も地上戦を見守る。
トト〜!と透が呼びかけた時、父の腹の紋様が赤く光りだすが、その時駆けつけて来た自衛隊員が早く逃げなさい、聞こえないのか、あれは自爆の兆候なんだ、早く!と孝介や透に伝える。
しかし透は、トトは自爆なんかしないと言い返し、孝介も離してやってくれと自衛隊員に頼む。
トトは自分の首に絡みついたジーダスの長い舌を引きちぎる。
父の身体全体が灼熱したかのように光だし、首に突き刺さっていたジーダスの下は解け、トトの口から火球が噴き出す。
それに触れたジーダスの体は大爆発を起こして飛散する。
その爆風を受け、透も孝介も一瞬吹き飛ばされそうになるが、顔を背けるが、トトが自爆しなかったので透は喜ぶ。
トトは四つん這いになったので、ガメラを確保しろ!ガメラ確保!と一ツ木参事官は雨宮教授と同じ車に乗り込んで運転する戸畑に命じる。
自衛隊車両やパトカーと共に、トトに近づこうとした一ツ木たちの車だったが、急ブレーキがかかったので、なんだ?と驚くと、車両の前に立ちはだかって手を広げていたのは透、摩擦、克也ら3人だった。
どうした?どうして止まったんだ?と文句を言いながら車を降りた一ツ木参事官と雨宮教授だったが、やめろと勝が叫び、俺らのトトに近づくなと叫ぶ透は、後ろで倒れているトトに向かって、逃げろトト!と命じる。
邪魔をするな、どきなさい!と一ツ木参事官は叱りつけるが、そこに近づいた孝介は、あいつらはどかない、それにあの子たちも…と一ツ木に語りかけたので、周囲から他の子供達も透たちの周囲に集まって来たのがわかる。
子供達は透たちの前に何重ものバリケードのように手を開いて自衛隊たちに立ち向かう。
透は飛ぶんだ、トト!と背後に向かって呼びかけ、勝も、トト、早く行け!と呼びかけ、克也も、トト〜!と呼びかける。
その呼びかけに呼応するかのようにトトは目を開いたので、透は指を伸ばし、赤ん坊時代のトトの頭を撫でるような仕草をする。
トトもそのしぐさに気付いたように目を細める。
トト、忘れないから…、絶対忘れないから、だから行け…、行け、トト!と透が呼びかけると、トトは立ち上がり、ジェット噴射で上昇し、回転ジェットで飛び去ってゆく。
トト、また会えるよね…と、避難所の屋上に両親に連れて来られていた麻衣も呼びかける。
それを見送った透は、さよなら…、ガメラ!と呟く。
エンドロール(回想シーン映像とともに)