清朝中期 CHINA POT
こんにちは。
お天気の良い五月晴れの月曜日
皆様いかがお過ごしでしょうか?
GW過ぎて、日常に慣れずに体調を崩す人も多いシーズン。
少し自分を甘やかしながら、のんびり目に過ごしたいですね。
アンティークはゆったりとした時間を作るのが得意です。
忙しない日常に、呼吸を整える時間をふと産んでくれる、そんなアイテムだと思います。
ぜひ、特別な日に重点を置くのではなく、
日常を特別な時間へ作り変えるお手伝いができれば幸いです。
そしてアンティークは一点もの。
世界情勢によって、時代は刻一刻と変わっていきます。
徐々に希少性が高くなり、入手困難なものも出てきていますので、
今あるアンティークたちを大切に扱いたいですね。
アンティークの修理も承っておりますので、ぜひお気軽にご相談くださいね。
さて、本日は少し変わり種のアイテムをご紹介いたします。
今回ご紹介するのは、19世紀中頃の清代、中国・広東(カントン)の窯から海を渡り、遠くイギリスの社交界を彩ったローズメダリオン(粉彩手描人物花鳥文)のティーポットです。
万博ブームも手伝い、18世紀から19世紀にかけてのヨーロッパ、特にイギリスでは東洋への強い憧れ、シノワズリが空前のブームを巻き起こしていました。
その中心にあったのが、広東の港から輸出された広東彩(カントン・エナメル)と呼ばれる磁器です。
このローズメダリオンの特徴は、器面を窓枠のような丸枠で区切り、その中に物語を閉じ込める独特の構成にあります。
咲き誇る大輪の牡丹や、舞い遊ぶ蝶や水鳥、当時の優雅な生活を営む人々の風景。
これらが、驚くほど緻密な手描きで、鮮やかな色彩と共に描き込まれています。
特にカラフルな色彩を巧みに描いた華やかさは、当時のヨーロッパ貴族たちの目に、東洋の神秘と富の象徴としてこの上なく魅力的に映ったはずです。
また、アンティークの世界では、裏印(バックスタンプ)の有無が真贋の手がかりとなりますが、このティーポットにはあえて裏印がありません。
実は、これこそが19世紀当時の「輸出磁器」としての正統な出自を物語っています。
1890年以降、アメリカの関税法(マッキンリー関税法)によって原産国表示(Made in Chinaなど)が義務付けられるようになりますが、それ以前の19世紀中期から後期にかけての製品には、こうした刻印がないものが一般的でした。
かつて東インド会社の船に揺られ、大洋を越えてきたであろう、このティーポット。
19世紀の広東の職人が筆を振るい、英国の貴婦人がその美しさを愛でた、、
そんな壮大な物語に思いを馳せながら、眺める時間は、時空を超えた至福の時です。
それは、アンティークという”物”を手にするだけでなく、その背後にある”時間”を味わうという贅沢な体験です。
また、西洋に携わる仕事を長年していると、そこには東洋との結びつきも無視できなくなってきます。
それは長い歴史の中で、文化というのは国境を超えて育まれるからです。
イギリスらしさ、ヨーロッパらしさ、の中にあるオリエンタルな要素。
VIEW ANTIQUESは、そんな国境のない美しさや美意識を通して暮らしに豊かさを届けたいと思っています。