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【第31回】台本なしのガチトーク。命の現場で見えた「後悔しない生き方」──林と早川の死生観(前編)

2026.05.14 06:56

今回は普段の腸活から少し離れて、リスナーさんからの深〜いご質問に台本一切なしでお答えします。テーマはズバリ「二人の『死生観』」。がん専門医として何千人もの命のドラマを最前線で見つめてきた林の価値観を決定づけた、父との別れとは?綺麗事抜きのリアルな死生観から「ああ、面白かった」と言って人生を終えるためのヒントを探る前編です。


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📖今週のよりぬき

・父と同じ50歳で、自分も命を落とすと思った

・何十年もリアルな命のドラマを目の当たりに

・「患者さんの気持ちに寄り添う」は嘘

・医師=三途の川に配属されたガイド役

・亡くなる前に「ああ、面白かった」と思いたい


📖第31回テキスト版


「パパは50で死ぬからね」
父の言葉と、使命感の原点

早川:先生、お父様が亡くなられてちょうど50年ということで、5月17日がその命日だったんですよね。


林:そうなんです。だからちょうど50年ですね。


早川:『日本で一番大切にしたい会社』の中にも、お父様が亡くなってから1年以上、毎日お墓参りをされていたと書かれていましたね。


林:異常な父親っ子だったんですよ(笑)。もうパパ大好き少年で、いなくなってから途方に暮れて毎日お墓参りして……完全にそういう状態でしたね。それだけ大好きだったので。


早川:ちょうど今日のお便りが、この話題と重なるんです。


【ご質問】林先生、早川さんの死生観を教えてください。(はるりさん)


早川:第9回で短鎖脂肪酸の質問をしてくださった方からの質問ですね。クリスマスに合わせて神グルトを贈ってくださって、ご家族みんなで喜んで食べていただいたとも、お便りに書いてくださっています。


林:毎回番組の中で取り上げるご質問って、打ち合わせなしで、早川さんからぶっつけ本番で読み上げてもらうんですよね。だから、父の命日が近いこのタイミングでこの質問……ドンピシャのタイミングですよね。


早川:やっぱり先生の原体験として、お父様のことがあると思うので。ぜひ聞きたいですね。


林:父はよく、畳の上で胡座をかいて、私を膝の上に乗せて話をしていたんです。その時に「パパはね、50で死ぬからね」といつも言っていた。なんでそんなことを言うのか聞いても、いつもお茶を濁していたんですが、ある時ちゃんと説明してくれて。

父のお父さん、つまり私のおじいちゃんが50で亡くなったんです。そのおじいちゃんのお父さんも、50で亡くなった。で、その2人とも次男で、自分も次男だから「パパは50で死ぬ」と言っていたわけです。


早川:それが本当に50歳で……。


林:本当になってしまったんです。普通はありえないことですよね。でも、そうなってしまった。私はもう頭がおかしくなってしまいそうで、PTSDみたいな状態になりました。ただ、その時にもう一つ考えたのが「3代続いたわけだけれど、私も次男じゃないか。だったら、次は自分だ」という気持ちだったんです。


早川:なんと……。先生も次男なんですね。


林:「50年しかないとしたら、思い切りやらないと間に合わない」という気持ちになれた。そこから今日まで走り続けてきた感じです。それが勢いづいた感じですね。遊ぶのも勉強するのも運動するのも、それまでにやらないといけないという感じがして。


早川:そうだったんですね。医師として、がんの患者さんと向き合い続けてきた中で、死生観はどう育まれていきましたか?


林:外科からがんの抗がん剤、緩和ケアへと専門が変わっていく中で、毎日治らない方、再発してしまった方、手術できない方と向き合うことになった。外来は全員が命のドラマで、ご本人も家族も、命をかけた戦いの場を私と共有してくださるわけです。それを全身全霊でやっていると、毎日ヘロヘロになる。だから現役の頃は、医療ドラマとか医療を扱う映画や小説が観られませんでした。


早川:それは、どうしてですか?


林:毎日本物のリアルなドラマを見せてもらっているのに、フィクションはどこかに嘘があるわけですからね。そこにまた感情を乗せる気になれないんですよね。でも逆に言うと、何十年もリアルな命のドラマを毎日見続けたという経験は、誰にも負けない財産だと思っています。現実は小説より奇なりという言葉がありますが、本当にそうで、いわゆる御涙頂戴的な映画やドラマにあるような「死」ってほとんどなくて、もっと泥臭くて、きな臭くて、でも思いっきり頭が痛かったり、思いっきり楽しかったりする。そういうものだと思っています。


早川:なるほど。


林:そういう経験を重ねてきて思ったのは、死生観に正解はないということです。今も世界のどこかで戦争が起きていますが、どちら側にも正義があってどちらも正しいと思っている。たとえば、はたから見れば最低と言われるようなご主人でも、奥さんが亡くなる時に「あなたと結婚してよかった」と言いながら逝ったなら、それはその人にとっての正解じゃないですか。

逆に、傍から見れば羨むような裕福な生活をしていた方が、たった1人でひっそりと亡くなっていくこともある。あるいは、ずっと甲斐甲斐しく面倒をみていた奥様だと思っていた人が実はパートナーで、ご本人がなくなる最期の1週間は、実の奥様が最期を看取るというケースがあったり……。そういうことが毎日のように目の前で展開するんですよ。


医師として、より良い形で
三途の川のガイド役を努めたい

早川:となると、軽々しく死生観なんて言えない、ということになりますよね。


林:その通りです。せめてその人が最期の少しでも後悔のないように見送りたい、というのが唯一思うことですね。

若い先生によく言っていたのが、「患者さんの気持ちに寄り添う」「患者さんの立場に立つ」というのは、まったく嘘だということです。患者さんにならないと患者さんの気持ちは絶対に分からない。ご家族にならないとご家族の気持ちは分からない。しかもそのシチュエーションや病状は人それぞれ全く違うんだから、同じになれるわけがない。

私のイメージは、三途の川に配属されたガイドです。私たちプロなので、三途の川の地形も気候も川の流れの特徴も全部分かっています。そこに来た人が「渡りたくない」と泣いていたら、「道は悪くて遠回りだけど、こちらに行きますか」と案内する。逆に「思い残すことはない、行かせてくれ」と晴れ晴れした顔でいらっしゃったら、「じゃあ」と言ってすぐ船を出して一緒に渡ってあげる。それが役目だと思っています。


早川:よく見るシーンで、患者さんやご家族と一緒に泣くお医者さんがいますよね。


林:一見共感しているように見えるし、感動的なシーンかもしれない。でも私は違うと思っていて。自分がその河原に投げ出されて不安でいる時に、寄ってきた人が一緒に泣いていたら、余計に不安になりませんか? ただ不安や恐怖を倍増させるだけになるかもしれないですよね。プロのガイドとして、その人が本来思っていることを実現できるように導く。それが私たちの仕事だと思っています。

そう思い続けてきたんですが、実は奥さんが病気だと分かった時に、思い知らされた。何十年もがんの専門医としてやってきたのに、いざ奥さんの採血結果を見ると、患者さんには「こんな数値は全然気にしなくていい」と言えるようなものでも、もう心配でしょうがなくなる。ただのオロオロする中年親父でした。「どうしよう、どうしよう」と(苦笑)。


早川:そりゃそうですよね……。


林:でもある時、奥さんが泣き出して「なんであなたは外来で患者さんにしているように、私に接してくれないんだ」と言ったんです。日々外来でどんな話をしたかを帰ってから報告することがあって、奥さんは「こんな話をしたら患者さんが大丈夫だと言ってくれた」「ちゃんと説明したら笑顔になってくれた」という話を聞いてくれていました。「外来のあなたは毅然としていて、患者さんの不安を少しでも軽くしようと一生懸命している。どうして私にはそうしてくれないの。あなたがオロオロしたら、私まで心配になるじゃない」と。


早川:それは……深いですね。


林:そうだよなと思って。やっぱり患者さんのご家族の気持ちには絶対なれないんだなと、その時に結構考え直しました。奥さんからすれば、夫の林ではなくて医師の林でいてほしかった。それは難しい部分もあるんですが、そこで改めて気づかされましたね。


早川:そうですね。何千人もの患者さんを見てきた中で、先生個人として生き方に取り入れたことはありますか?


林:うーん、「こんなことならもっと奥さんを大事にしておけばよかった」という言葉を、本当にたくさんの方から聞きました。間近にいると気がつかない。近くにいる大事な人ほど、見えなくなってしまうんだと思うんですよね。


早川:それはイメージ通りですね。うーん、やっぱり、そうなんだなぁ。


林:それと、亡くなる前って「自分の人生は何だったんだろう」という評価をするじゃないですか。その時に、地位とか名誉とかお金というものが、亡くなる時には何の役にも立たない、というところには誰もが行き着くと思う。あの世に持って行けないんだから。

だから自分自身の理想としては、亡くなる時に「ああ、面白かった」と思えるといいですね。ずっとそう言っていますが、本当にそう思っています。「みんなのおかげでこんなに楽しめた、ありがとう」と言って死ぬのが理想。そのためには、全力で生き続けないといけない。怠けたら後悔が残りそうじゃないですか。全力で生き切ったと思えれば、「面白かった」という気持ちで逝けそうだと思っています。

早川:今回のクラウドファンディングの終わりを5月にしたのも、お父様への思いが関係しているんですよね。改めてお知らせをお願いします。


林:現在挑戦中のクラファンであるMakuakeを5月末で終了するのは自分の中での区切りです。父が亡くなった50年前の5月から、ずっと頑張ってきた。「50年頑張ってきたよ」、という報告ができるということでもあるんじゃないかと思っています。今回たくさんの方に支援していただけたとしたら、自分が何に向かって頑張ってきたか、そしてその頑張りを認めてくださったたくさんの方が支援してくれるんだから「まだ走らないといけない、走れる」という気持ちになれる。私が死ぬまで、走り続けるための心構えができる。そういう思いも込めて、5月末まで実施予定です。


早川:神グルトプレーンという無糖タイプの商品がご購入いただけますので、ぜひURLからぜひチェックしてみてください。(了)