母と娘の間にある「声なき叫び」と「心の傷」/ 前編
『母と娘』という繋がりは
本来とても特別なものであり
そこには慈愛が満ち溢れています。
ただ、全ての母娘が
幸福な関係性を築けているとは限りません。
私が敬愛して止まないポーランドの映画監督である
故クシシュトフ・キェシロフスキの作品に触れながら
『母と娘』を見つめていきたいと思います。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
聖書の十戒が題材となっている「デカローグ」は
1989年から1990年にかけてポーランドで放映された
全10話のテレビドラマシリーズです。
【デカローグ第7話 / ある告白に関する物語】では
少しばかり歪んだ母と娘の関係が描かれています。
あらすじの方を簡単にご説明させて頂きます。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
マイカは高校生(16歳)の頃
学校の教師と男女関係になり妊娠します。
それを知ったマイカの母親・エヴァは
学校の校長という自身の立場と世間体を優先して
生まれてきたマイカの娘を自分の子供として育てます。
実の娘・アンカから「お姉ちゃん」と呼ばれることに
虚しさと苦悩を覚えるマイカ。
6年後、22歳になったマイカは
『母親に娘を奪われ続ける現実』に耐え切れず
大学を中退し、アンカを連れてカナダ亡命を計画します。
ある日、人形劇を観劇しているアンカに
マイカは「内緒の冒険に行こう」と囁いて誘惑します。
劇場からアンカを連れ出すことに成功したマイカは
アンカの父親・ヴォイテクの元に身を寄せます。
ヴォイテクに、アンカとの亡命の協力を求めるも
彼の消極的な態度にマイカは失望してしまいます。
マイカは公衆電話からエヴァに電話をかけて
「アンカのパスポートを私に渡しなさい」
「アンカの母親は私だと認めなさい」
「アンカのパスポートを渡さなければ
アンカには2度と会わせない」と激しく詰め寄ります。
ですがエヴァは
マイカの要求を受け入れようとはしません。
アンカの手を引き、駅に行ったマイカの目に映ったのは
ふたりを追ってきたエヴァとマイカの父親の姿でした。
マイカの思いを裏切ったヴォイテクが
マイカの父親へ密かに報告をしていたのです。
突然、目の前に現れたエヴァを見て
「ママ!」と嬉しそうに叫びながら抱きつくアンカ。
いたたまれなくなったマイカは
ホームに入ってきた列車へ、ひとり飛び乗ります。
エヴァとアンカ、そしてマイカの父親は
マイカを乗せて遠ざかる列車を、ただ見つめるのみでした。
この【ある告白に関する物語】は
旧約聖書の十戒 / 第7戒『盗んではならない』が
モチーフとなっているようです。
- マイカからアンカを盗んだエヴァ
- エヴァからアンカを盗もうと試みたマイカ
キェシロフスキは恐らく
マイカとエヴァというふたりの人物を通して
『盗む側』と『盗まれる側』の愛憎劇を描きながら
『盗んではならない』との十戒のテーマに
着地したかったのかもしれません。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
キェシロフスキが織りなす独特な世界観に
ひたすら心酔していただけの当初の私は
「悲しい、切ない、でもどこか美しい」という
極めて浅い感想しか持っていませんでした。
ですが・・
ツインレイセッションやインナーチャイルドセラピーで
ご相談者さま達のチャイルドに触れさせて頂いている現在
また違った感想と解析を見出しています。
【ある告白に関する物語】は
マイカとエヴァ、それぞれの抱えているチャイルドが
声なき叫びを上げているように思えてなりません。
(実は、幼いアンカもその予備軍です)
そして、この『声なき叫び』を
お心の内側へ抑え込んでおられる方々に
これまでのセッションで多く出会ってまいりました。
後編に続きます。
* インナーチャイルドについて綴っております *
* 個人セッションと各種講座について *