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非情な選考の裏にある苦悩

2026.05.16 03:31

日本サッカー協会は2026年5月15日、来月開幕するFIFAワールドカップ2026およびキリンチャレンジカップ2026のメンバー発表記者会見を開催した。


26人の名前を読み終えて、森保監督の目は潤んでいた。選ばれなかった選手たちのことを考えると、感情がコントロールできなかったと言った。86人が積み上げてきたものを、26という数字に絞る苦しさ。「本人が一番痛い」——三笘への言葉が、会見の空気をしばらく変えた。


監督が最終的なメンバーを確定させたのは、当日の午前11時ごろだった。前夜のコーチ陣とのミーティングでは「今試合をするとしたらこのメンバー」という合意に至っていたが、それでも監督は朝まで考え続けた。26という数字の重さは、選んだ人数ではなく、選べなかった人数の重さだった。


「多くの選手を選べなかったという気持ちの方が大きい。すごく大きな申し訳ない気持ちというのは、正直にあります」— 森保一監督


2023年の活動開始から今日まで、86人の選手が日本代表に招集されてきた。アジア予選を戦った選手、強化試合で汗を流した選手、ピッチには立てなかったが心を合わせてきた選手。その誰もが「日本代表として戦いたい」という意志を持ち、チームの総合力を下支えしてきた。しかし会見の場で名前が呼ばれたのは、そのうちの26人に過ぎなかった。


非情な選考だった、という言い方は正確ではないかもしれない。「今の日本が世界で勝つためのベスト」を突き詰めた末の結論であり、監督自身も「選ばれた26人については、最高の選手を選んだという気持ちでいる」と述べた。ただ、それと同時に、世界と戦えるだけの実力を持ちながらも選ばれなかった選手たちへの思いが、彼の言葉の端々に滲み続けた。


三笘薫の落選は、そうした苦悩の最も象徴的な場面となった。直近の試合での負傷により、メディカルスタッフから「大会期間中の復帰は難しい」との報告を受け、招集を断念せざるを得なかった。最後まで選考を揺るがしたのは、怪我でも調子でもなく、三笘という選手の存在そのものだった。


「誰が一番痛いか、本人が一番痛い。本当にチームへの貢献に感謝したいし、少しでも落ち着いて、早く思い切ってプレーできると思える状態に戻ってほしい」— 森保一監督


心境を四字熟語で表してほしいと問われた監督は、「凡事徹底」と答えた。4年前に口にした「行雲流水」ではなく、地に足のついた言葉を選んだ。特別な舞台だから特別なことをするのではない。これまでのプロセスの先にワールドカップがある。その言葉は、選ばれた26人への指針であると同時に、選ばれなかった者たちのこれまでの歩みを否定しない、静かな敬意のようにも聞こえた。


会見場には、日本代表として世界に挑む期待と、それを叶えられなかった選手たちへの痛みが、同じ重さで漂っていた。


Photo by Akito Mizutani / SportsPressJP 

TEXT  Tomoyuki Nishikawa / SportsPressJP