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校則と児童生徒指導を考える地方議員連盟 ホームページ

4月関西研修を開催しました。

2026.05.19 01:29

2026年4月24日(金)に大阪府泉大津市で研修会を開催しました。

午前中は、泉大津市立図書館「シープラ」を見学しました。この図書館の空間は明るさに満ちており、心地よい場所になっています。そして、時折動き回るロボットが図書館員の仕事を手伝っていました。そして、単なる読書スペースを提供する施設にとどまらず、あらゆる人が心地よく過ごせる場所を目指していることが分かります。

また、他の図書館ではあまり見たことがない取り組みがあり、勉強になりました。

例えば

1.「オープンセミナースペース」と呼ぶスペースで、企業との連携セミナーや様々なイベントを開催している(ビール講座、相談会、セミナー、オールディーズバンドの演奏など年間200を超える企画を仕掛けてきた)

2.「つくるん」と呼ぶスペースでは、簡単なプログラミング教室や様々な工作ワークショップ等が開催される。

3.ビジネス支援も充実しており、起業サポート、企画を提案するための調査や資料探しも図書館員が手伝う。また、ノートパソコンを持ち込めば、オンラインでの会議や作業も可能で第三のオフィスとして利用できるエリアがある。(飲み物の持ち込みも可能)

4.「ここリソース」と呼ぶスペースには、最新の泉大津の産業などにまつわる情報をチェックできる。

最後になりますが、ご案内いただいた図書館長様のお話の中で最も印象に残った言葉「(私たちは)図書館から一方的に提供する『for』(~のために)ではなく、お客様とともにつくりあげる『with』(~と一緒に)な図書館を目指します」という姿勢が全てを物語っていると思いました。

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午後は、泉大津市立小津中学校を視察させていただきました。

小津中学校では、生徒たちに「答えを覚える力」ではなく、予測困難なこれからの社会を生き抜く資質と能力を育成するために、「問いを立て、自ら道を切り開く力」をつけることを目指し、「生徒たちが考えた学校の運営方針」(学校のコンパス=羅針盤)を学校側も最上位の学校運営方針に位置づけたカリキュラムの構造化、スリム化、個別化、および教育課程に関する研究と実践を行っているそうです。

  具体的に特に注目した点をいくつか列挙します。

1.この取組みは、「ルールメイキング・プロジェクト」(生徒主体の校則見直しの取組み)から始まった。

生徒会長からの呼びかけに応じて集まった各クラスの有志による「ルールメイカー」と呼ばれる生徒たちは、「生徒の 生徒による 生徒のための校則」というスローガンのもとに活動を始めた。

2.その流れは、制服についても全校生徒・教員・保護者それぞれとの対話を重ね、標準服の一つであるブレザーの他にユニクロで自分たちが決めた色や服をも標準服として認めるという極めて自由度の高い標準服を完成させた。その組み合わせは100種類以上になる。入学式、卒業式などの式典でもユニクロで購入した標準服を着用してもよい。(学校側も保護者も理解して認めている)

そして、新標準服お披露目のために「オヅ.コレ」(世界中に有名なファッションショーの「パリコレ」をもじった?)と名付けたファッションショーを開催した。

これらによって、学校の雰囲気は以前の学校とは見違えるほど良くなっていった。

3.次に、(中心になって意見を取りまとめた)チーフルールメイカーKは「今学校に生まれつつある、生徒と教員が前向きに対話し合う雰囲気を(一過性に終わらせず)仕組みや文化として残したいと考えた。

一方、教員側も生徒たちが学校や社会に対する当事者意識が育っていることを感じ、このような「生徒主体の活動の場」が一層広がることを期待した。

4.先生方の賛同を得たチーフルールメイカーKは、次に(小津中のこれからを考える全校会議)「おづこれ会議」を開催、「自分たちが卒業時に目指したい姿」を話し合い、意見を取りまとめ、「学校のコンパス」(コンパス=羅針盤=方向性を確認する道具)と呼ぶ「学校運営の指針」を作成した。

2023年度~2024年度の生徒が考えた「学校のコンパス」は

①自芯をもつ(『踏み出す』をくりかえして身につけた自信と自分の芯をもちたい)

②認め合う(周りを見て考え、人のために行動できるようになりたい)

③「やわらかさ」で0から1を創る(遊びを学びに・学びを遊びにしたい)

学校側も、これを学校運営の最上位の方針とすることを打ち出し、授業・行事・学校生活、学校のすべての活動場面でこの力が育成されることを確認した。

それ故、4月1日の年度初めには、この「学校のコンパス」を考えた生徒2名が職員室でプレゼンテーションをして、新転任を含めた全職員にプレゼンテーションをする。先生方は、それを受け止め、カリキュラムを作成していく。

また、新入生を対象とした保護者への説明会でも、この「学校のコンパス」を説明している。

5.次に、生徒たちは「おづこれ会議」で「学校のコンパス」の実現を目指すために、今後自分たちは、学校でどのような授業を受けたいかも議論し、「共創プロジェクト」(総合的な学習の時間の一部を用いて1~3年生全員での活動)と名付けられた生徒の願いに基づく課題や、実際の社会課題等について協働・探究する活動)が始まった。2023年度では、65件のプロジェクトが実施された。

これらの一連の流れによって、生徒たちは、自分たちの願いと学びたいことが実現に向かっていくという満足感と達成感を感じた。

 例)AI企業と中学生が中学生向けの英会話AIの共同開発

「リカちゃんデザイナー」プロジェクト

「泉大津市に眠る文化財の一斉公開を企画するプロジェクト」

「究極に美味しいたこ焼きづくりを追求するプロジェクト」

「(乳幼児向け)布でおもちゃづくりを進めるプロジェクト」

など

6.次に学校の方針づくりを担う中心生徒たちから「私たち生徒に(対して)、先生たちからどんな風に関わってほしいかを話し合いたい」という意見が出され、全校生徒から意見を集めて「先生からのプラスの関わり」(嬉しかった・成長につながった関わり)と「先生からのマイナス関わり」(嬉しくなかった・成長につながらなかった関わり)を整理した。

   この意見を基に教員を中心に話し合う「教員版おづこれ会議」が実施され、「先生のコンパス」は、教員が作成することとした。令和7年度版「先生のコンパス」は

①成長の場を与え  任せ、見守り、ともに喜ぶ

②あなたを認める-先生が「認め合い」の連鎖の起点になる

③生徒と先生の壁をなくす  生徒・先生双方の、好きと遊びを大切に

7.現在は、同様に生徒たちと保護者との対話をとおして「保護者のコンパス」も作成しつつある。

8.2024年度に、先生方は「生徒も先生も教科の本質でワクワクする授業」というテーマを掲げて自分の教科の授業において「各教科のコンパス」を作成し、実践している。

9.生徒たちの中から「生徒も先生も時間の余白、余裕が大事ではないか?」

という意見も出された。それもあって、総授業時数を約85%(3年生は90%)にスリム化し、教員一人あたり月15時間の超過勤務時間を削減した。

10.職員室は、学年や教科の垣根を越えた対話を生み出すために先生方の固定席を完全に廃止した。先生方はその日の気分や連携したい相手に合わせて毎日自由に席を選ぶ。これによってアイデアが自然に生まれ、「対話が日常化する職員室」になった。

  また、職員室の中央に廊下を通し、フリーアドレスにすることによって、生徒はいつでも気軽に先生に声をかけることができる。

最後に

他にも定期テストの廃止、生徒たちが提案した「今の時代にあった新しい通知表の形」、校舎内の広いスペースを生徒たち自ら(居心地の良い)居場所に変えるプロジェクト)など革新的な取り組みがあります。その成果として「中学生の主張大阪大会 伝えよう!君のメッセージ」では、小津中学校の生徒が2023年度と2024年度連続で1・2・4位を独占したそうです。

そして、2024年12月9日、小津中学校の生徒の皆さんはOECD Education 2030パリ・サミットに日本代表として参加して2つの発表をし、「共創プロジェクト」が高い評価を受けたそうです。日本の代表にふさわしい数々の革新的な取り組みを行っている公立中学校を視察させていただいて、とても勉強になりました。