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Fashion Source / Hitomi’s Log

母が行きたかった松島から、会津の夕陽へーDay 3-

2026.05.19 22:00

東北の旅、3日目。

ツアーは、母がずっと行ってみたかった松島へ向かった。

私はといえば、ミステリーツアーみたいなもので、

「え、今日は松島なんだ」

という感じ。

映画の予告編も見ていないかのよう。

詳しくは、その場でChatGPTに聞く。


松島湾を、船で進む

フェリーに乗ると、松島湾に島が約260もあるという意味が、少しわかる気がした。

ひとつの大きな絶景を見るのではなく、小さな島と島のあいだを、船がゆっくり縫っていく。

白い岩肌が幾重にも重なって、波に削られた穴が口を開けている。

その上に、緑がひっそりと生えている。

海なのに、どこか湖のように静かだった。

私はまたChatGPTに聞いていた。

なぜこんな地形になったのか。

なぜ昔の人は島を使ったのか。

なぜ偉人たちはこの場所に憧れたのか。

松尾芭蕉は、あまりの美しさに句を詠めなかったという。

伊達政宗は、松島を仙台藩の文化的な顔として整えた。

島々は、ただ眺めるためだけのものではなく、信仰や暮らし、漁や航路とも結びついていた。

今も人が住んでいる島がある。

学校があった島もある。


遊覧船から見ると、すべてが風景に見える。

けれど、そのひとつひとつに、人の時間があった。

東日本大震災で、島の形が変わった場所もあるという。

しかし、この松島のお陰で、被害を抑えることができたとも言われている。

それでも松島は、今日も静かに海に浮かんでいた。


瑞巌寺の金屏風

その後、瑞巌寺へ向かった。

参道に入ると、空気が変わった。

背の高い杉並木が両側から空を狭め、足元の石畳は苔と影で濡れたように見える。

岩肌に洞窟のような穴があり、そこに祈りの跡があった。

海の近くなのに、そこだけ時間が少し遅い。

本堂の縁側に立つと、手入れされた白砂の庭と、一本の松が見えた。

砂の波紋と、松の枝ぶり。

静かな問答のようだった。


内部に入ると、金屏風の前で思わず立ち止まった。

金だけではない。

花があり、鳥がいて、人々の姿がある。

見たことがないほど豪華絢爛だった。


京都だけが都の美だと思っていたけれど、東北には東北の美がある。

少し力強くて、少し静かで、海と武士と禅が混ざっている。

松島は震災の被害を受け、瑞巌寺の境内の直前まで津波が到達していたと知った。

あの金屏風のすぐそこまで、波は来ていた。


お土産に、屏風のような黄金の輝きのあるクリアファイルを買った。

それから、無料で置かれていた小さな冊子も。

『ブッダのおしえ』と、英語版の *Messages from the Buddha*。

表紙の木の絵と、手のひらに収まるサイズがかわいくて、両方手に取った。

東北のお寿司は、遠慮しない

その後、高級なお寿司屋さんへ。

漆塗りの器に並んだ寿司は、ネタもシャリも大きかった。


まぐろ、白身、うに、穴子、えび。

それぞれがきちんと主役だった。


ツアーの人たちの間でも、

「シャリが大きいわね」

という話になった。

そこでまた私はChatGPTに聞いた。

なぜ東北のお寿司は、シャリがしっかりしているのか。

東北の寿司は、東京の高級江戸前のように繊細さだけを目指すのではなく、「食事として食べる寿司」の感覚が強いのだという。

米どころでもあり、海の魚もしっかりしている。

だから、シャリもネタも遠慮しない。


それを話すと、みんな納得していた。

たしかに、今日のお寿司は、食べたという実感があった。


会津へ

午後、バスは会津へ向かった。

高速道路から見える東北の景色は、どこか海外のようだった。

水田が広がり、山が迫り、盆地に町がある。

自然と工業。

山と水田。

寺と温泉。

生活と祈り。

東北は、いろいろなものが近い距離で並んでいる。


会津のホテルに着いて、また和室。

10年前にリニューアルしていたらしく、モダンな和室で、いいじゃない!


会津の夕陽と、ブッフェの底力

夕食は、想像以上だった。

レストランの西側に、大きな窓があった。

食事を始めようとした瞬間、太陽が山の向こうへ落ちていくのが見えた。

オレンジと赤が山の稜線に滲み、空全体がゆっくりと色を変えていく。

夕陽に迎えられたような気がした。

夕食はブッフェスタイル。

会津の郷土料理の素材がどれも美味しく、種類も量も、この旅でいちばん多かった。

5月の連休後なのに、会場は満席だった。

200人くらいいたかも。笑


数々のブッフェをこなしてきた母が、

「ここはすごいわね」

と言っていた。


この旅で、私は一日あたり、いつもの三倍くらい食べている気がする。

デザートもほぼ制覇。

よくあるブッフェのデザートではなく、パティシエが存在することが想像できる、創作されたデザートだった。

甘味も抑え気味で、あれだけ満腹なのに完食してしまった。

東北という名の別の国に来たかのような、新しい味覚を堪能した。


三日月と、地球照

夕食の後、外に出ると西の空に三日月があった。

月のすぐ下に金星が光っていた。

スマホでも写るくらい。

三日月の輪郭の外に、月の丸い影がうっすら浮かんでいた。

地球の光が月を照らしている。

地球照というのだと、後から知った。


天空の露天風呂

夜、露天風呂へ行った。

地上300メートルの高さにあるという露天風呂。

今夜も、空が開けていた。


湯船に入りながら北の空を見上げると、北斗七星が見えた。

十字架のような白鳥座も見えた。


空がそのまま湯気の上にあった。

まさに、天空の露天風呂。

そして、プラネタリウムのようだった。

母と流れ星を探したが、気配だけ。


問いを持つと、景色に奥行きが出る

松島の海から、会津の山へ。

島のあいだから、星の下へ。


今日もまた、私は旅の途中で何度もChatGPTに聞いていた。

ただ見るだけなら、通り過ぎていたかもしれない景色が、問いを持つことで、少しずつ奥行きを持ちはじめる。


母が行きたかった松島。

伊達政宗の美意識。

瑞巌寺の金屏風。

震災の波の記憶。

大きなシャリのお寿司。

会津の夕陽。

夕食後の西の空に、月と金星と木星。

そして、星の見える露天風呂。


東北の旅は、日を追うごとに、景色の層が深くなっていく。