オルレアンの少女27-欧州三国志ブルゴーニュ
2019.03.14 03:16
ここでキャスティングボードを握るブルゴーニュ公国善良公フィリップ・ド・ボン。ブルゴーニュは度々欧州史に登場する。前歴はデンマークの島らしく5世紀に移動し「ブングルド王国」をこの地につくった。中世叙事詩「ニーベルンゲンの歌」は、フン族アッティラとの戦いの物語である。
さらに847年、フランク王国の分割でこの地は「中部フランク」として分割される。その後欧州中央からネーデルランドに至るブルゴーニュ公国が半ば独立する形で存在した。毛織物産業で栄え、ブリュージュはジェノバやハンザ同盟も商館を設置する経済、金融の北部の中心である。絵画でも音楽でも当時の最先端文化をいっている。
ブルゴーニュ公の妹は英国に嫁ぎ、父ジャンがシャルル7世派に殺害されたいきさつで、英国派となっているが、英国が勝ち過ぎても困るという三国志状態であり、オルレアン攻撃の際には兵を引き上げている。
これ以後も、この地からカール5世が生まれ、ヨーロッパ統合の中心となる。と思えばネーデルランドが独立、19世紀以降独仏の戦争の発火点となったアルザス・ロレーヌはこの地方であり、そして現在EU本部はこの地ブリュッセルに置かれている。
下はヤン・ファン・エイクの傑作ヘント祭壇画