Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

弁護士の言いぐさ

犯則調査

2019.03.14 03:22

 国税局に脱税を疑われた場合は、犯則調査の対象になりえます。

 犯則調査の対象になっている、つまり犯則嫌疑者となっているというのは、

札幌国税局だと調査査察部の係官が強制調査に来ているような場合のことです。


 犯則調査の対象になった場合は、●●税法違反の犯罪を疑われているということですから、

行政指導とか、税務調査の場合よりも、

刑事責任を問われるという点で危険な立場にあります。


 刑事責任を問われるというのは、懲役や罰金などの刑罰を科されるということです。

 単純にいうと、犯罪の被疑者となっている状況です。


 警察が来たわけでもないし、逮捕されたということでもないので、犯則被疑者になっただけでは危機感は低いのかもしれません。

 また、税金の問題なので、申告等を頼んでいた税理士に相談する等で犯則調査に対応している人も少なくないかもしれません。


 税理士には、税務官公署に対して主張する権限があるので、犯則調査の段階では国税局に対応する権限はあるといえるのかもしれません。

 しかし、犯則調査が終わり検察庁に告発がされて事件が検察庁に送られてしまうと、税理士は「弁護人」になれるわけではないですし、検察庁は「税務官公署」ではないので、検察官に対して被疑者の主張を税理士が代理代行することはできません。


 そのため、検察庁に告発された段階で弁護士に相談する場合もあるでしょう。

 しかし、「捜査」の段階である国税局の犯則調査のときから弁護士に依頼をして、検察庁への告発を避け、告発後の検察庁の捜査や起訴後の弁護に備えておく方が、

検察庁に告発されたり起訴されたりした後になって弁護士を探したり相談するよりは、

調査の対象になった人にとって、とても有利です。

 逆にいうと、告発された後で弁護士に依頼するのは、告発前に依頼するより不利です。検察庁に告発された段階で、国税としては脱税の刑事責任があるというストーリーが固まっているからです。


 犯則調査の段階で弁護士に相談するというのは、犯則嫌疑者となった人は気付かない点かもしれません。弁護士に相談するというアドバイスを税理士もしてくれない場合もありそうです。

 

 犯則調査の事案の依頼を受けた弁護士としては、できれば従前から関与していた税理士と協力して対応したいものです。

 ただ、その税理士が税法違反の共犯者として疑われているケースもあるでしょうし、

共犯とならなくてもクライアントに税法違反の問題が生じるような税務処理を行っていた税理士には問題がないとはいえない場合もありそうです。

 


 国税局から犯則調査を受けた場合は、できるだけ早期に相談・依頼できる弁護士を探すことをお勧めします。



(2018年3月23日 公開のマイベストプロ北海道のコラムを加除修正しました。)