ピザと、もともと持っているもの
姪が久しぶりに私の部屋にやってきた。
「ピザを食べたい」と言うので、下のスーパーで、焼くだけのピザを2枚買ってきた。
1枚300円くらいの、あのスーパーでよく見かけるタイプのチルドピザである。
焼くだけ、と言っても方法は3通りあった。
レンジ、トースター、オーブン。
こういうときは、もちろん一番面倒なものを選ぶのが最適解である。
なぜか面倒な方法を選んだときほど、ちゃんと報われることがある。
オーブンを250℃に予熱して、5分ほど焼いてみた。
すると、思った以上にクオリティが高くて驚いた。
スーパーのピザが、こんなにおいしくなるなんて。
これは、これからもお世話になりそうだ。
2枚目はクワトロのピザだった。
私はマヌカハニーを健康食品として常備しているので、試しにピザに塗ってみた。
すると、これがまたおいしい。
健康食品として置いてあったはずのマヌカハニーが、急にピザの相棒として覚醒した。
「やっぱり、マヌカハニー美味しいよね!」
姪は、私の家にマヌカハニーがあることを知っている。(笑)
スープは手作りにした。
ほうれん草、新玉ねぎ、豆乳をミックスしたスープ。
ミキサーを買ってから、野菜スープをよく作るようになった。
野菜を4分ほどレンジにかけてから、豆乳と一緒にミキサーへ。
塩を少し入れて撹拌し、ミルクパンに移したら、みりんとオリーブオイルを加える。
だいたい玉ねぎが、いい仕事をしてくれる。
そこに塩を少し足すだけで、本当においしくなる。
新玉ねぎ、台所にいる静かな名脇役である。
姪も「おいしい」と言ってくれて、よかった。
そのあと、姪はレポートの宿題をして、私はその間に用事を済ませた。
夜は、スタジオでカラオケ。
姪は、いつのまにか宇多田ヒカルを覚えるようになっていた。
私が以前、「First Love」を勧めたことがきっかけだったかもしれないが、
きっとZ世代へも宇多田ヒカルは接続し始めたのだろうか。
この日は「Beautiful World」を歌っていた。
姪は声のレンジが広いので、けっこう歌える。
というか、歌を習ったこともないのに、うますぎる。
独特な声がある。
少し震えるような、揺れを持った声。
技術というより、もともと持っているものなのだと思う。
鳥は、鳥の飛び方を習わないのに、いつのまにか飛べるようになる。
もちろん、練習すればもっと広がるのだろう。
でも、その前に、すでに持っているものがある。
声の出し方。
音の揺らし方。
歌の中に入っていく感覚。
それは、誰かに教わる前から、その人の中にあるものなのかもしれない。
300円のピザも、オーブンで焼くとちゃんとおいしくなる。
玉ねぎも、少し火を通すだけで、いい味を出してくる。
姪の声も、歌った瞬間に、もともと持っているものが立ち上がる。
もともと持っているものは強い。
そういう何気ない時間の中で、
「ああ、この人はこれを持っているんだな」と気づくことがある。
姪の歌を聴きながら、そんなことを思った。