お子さまの描画発達について
子どもの芸術発達は、感覚に基づいた無作為な落書き(1~3歳)から、象徴的な表現(3~7歳)、そして最終的には写実的で詳細な物語表現(7~13歳以上)へと進みます。
オーストリア出身の代表的な美術教育学者 ローエンフェルド(Viktor Lowenfeld、1903–1960)は、子どもの描画発達段階を提唱し、美術教育が子どもの創造的・精神的成長に不可欠であると主張しました。
また、アメリカの児童描画の心理的研究者 ローダ・ケロッグ(Rhoda Kellogg 1998)は、人間は生まれて初めての描画、スクリブル(様式段階)に始まり、ダイアグラム(単体図/形態段階)コンバイン(結合図/デザイン段階)アグリゲイト(集合図/デザイン段階)そして4~5歳頃よりピクチャーステージ (絵画期)へと発達していくと論じています。
ローウェンフェルドやケロッグといった研究者によって定義されたこれらの発達段階は、とても興味深いものです。
無秩序な動きから、この世界に対する理解を反映した計画的で詳細な絵へと移行する過程は、私たち大人が注意深く見守っていくべきものだと思います。
1. 落書き段階(約1~4歳)
特徴:最初は、意図的な表現というよりも、身体的な楽しみ(運動感覚)が中心です。
発達:目と手の協調性が向上するにつれて、無秩序で無作為な落書きから「制御された落書き」へと移行します。
発達段階:3~4歳になると、たとえ似ていなくても、自分の落書きに名前をつけるようになります(「これは犬だ」など)。これは、意図的なコミュニケーションへの移行を示すものです。
2. 前図式期(約3~7歳)
特徴:自分にとって意味のある形を意識的に作り出します。
発達:最初のシンボルが発達する。多くの場合、「オタマジャクシのような人間」(足を表す線のある円)が描かれます。
色:現実ではなく、感情や好みに基づいて色が選ばれます。
空間:物体は紙の上にランダムに浮かんでいるように見えます。
3. 図式期(約5~9歳)
特徴:人、家、木などの物体を描くための明確な「図式」(繰り返し使える公式)を確立します。
発達:絵には明確なベースライン(地面)とスカイラインが現れます。
色:色がよりリアルになります(草は緑、空は青など)。
空間:空間的な関係性がより整理され、子どもの世界認識が反映されます。
4. 写実主義の萌芽期/集団期(約9~11歳)
特徴:細部への意識の高まりと自己批判。
発達:図式が崩れ、より詳細な描写、正確な比率、衣服のディテールが重視されるようになります。
空間:ベースラインがなくなり、重なり合う物体を用いて奥行きを表現します。
5. 擬似自然主義期(約11~13歳以上)
特徴:最終的な作品に重点を置き、大人のような写実性を目指すようになります。
発達:遠近法、光、影の理解。
危機:多くの子供が自分の能力に自己批判的になり、望む写実性を達成できないと絵を描くことをやめてしまうことがあります。
6. 決断期(13~17歳)
特徴:独自の芸術スタイルを確立しようとします。
発達:技法と表現に焦点を当て、芸術スキルを磨き続けることを意識的に選択します。
いかがでしょうか?これらの段階は発達の目安であり、お子さまによって個人差があるかと思います。私たちが指導にあたる場合は、これらが「個々の経験」や「励まし」によって異なる場合があることを頭に入れておくべきでしょう。特に写実性を目指す時期には、お子さまが自信を失ってしまい描くことをやめてしまうことだけは絶対に避けなければなりません。私たち「おうちキャンパス」は、お子さまの大切な時間に寄り添いながら、一人でも多くの方が人生を楽しんで生きるために、その未来をともにつくっていきたいと考えています。
Image by Mari Kanezaki from Pixabay
参考文献:The Stages of Artistic Development(芸術的発達段階)、Drawing Development in Children(子どもの描画発達)