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テマヒマ

分業

2026.05.27 02:10

おはようございます。


民藝と発酵をモノサシに食を通して健やかな暮らしを提案する古民家セレクトショップ&カフェ テマヒマ プロデューサー,バイヤーの太田 準です。


3月に、ステンレスのキッチンツールブランドconteさんのPOP UP SHOPを開催しましたが、そのプロデューサーの一菱工業・江口さんに1日在店、お話会をお願いしました。現地燕三条に行って実際に工場見学するのが理想的ではあるのですが、テマヒマで直接お話をうかがうことが出来、製品の解像度・理解度が上がり、お客様へのご説明も説得力をもってお話出来るという経験がありました。


小島紗和子さんの螺鈿作品について、これまで百貨店催事出展時などでスポット的にお取り扱いさせて頂いてきましたが、9月の某百貨店の某催事を前に、理解を深めておきたいと思い、丹波にある(ご自宅兼)工房を昨日訪ねました。conteさんのご紹介をした際に「分業」ということについて書きました。分業は生産効率を上げるもので資本主義の主要な構成要素だが、極度に細分化が進むと人間は部品の一つのようになってしまう問題がある。一方、人と人、社会を結びつける役割もあるということをアダム・スミスの言葉(を解説した品川皓亮の「資本主義と、生きていく。」)を通して書きました。紗和子さんと1日お話していて「分業」ということを改めて考えていました。

若き民藝研究家・佐々風太さんは、民藝における無名性/無銘性を語る時それは分業と不可分で、伝統というものは死者との分業ということが言えるのでは?といった趣旨のことを書いてらっしゃいます。小鹿田焼で、例えばテマヒマでお取り扱いさせて頂いている黒木昌伸窯だと、黒木昌伸さんの名前ですが、父の富雄さんの仕事もあれば、土づくりや釉掛けなど奥様の直子さんの役割もあり、家族の仕事。紗和子さんや父の小島雄四郎さんのお仕事もお母さまの役割があり、紗和子さんは個人名ではなく小島工房と称することにこだわってらっしゃるのも分かります。今もお父様の遺した仕事の続きをして完成した作品があったり、お客様からお父様の作品のお直しの依頼があるそうです。佐々さんの死者との分業という言葉を、先日ご紹介して共感している小泉今日子さんの時間感覚で解釈すれば、受け継いだ今を生きる我々が輝けば、受け渡し亡くなった人も輝き、それをつなぐ伝統という存在も輝く、そう感じます。

お父様に弟子入りした後も、作業場は別だったこともあり、直接的に教えてもらった記憶はないと仰っていましたが、見たり、音で覚えたりしたことは大きいと。同じく漆のお仕事をされている岡山の仁城逸景さんの工房にお邪魔した時にも感じましたが、お仕事場と居住スペースが隣り合わせ、職住一体の暮らしだと、子供の時から親の仕事を見たり、聞いたり、感じたりしながら育ちます。自然と跡を継ぐということを考えたり、継がないにしても何か継承されることがあるのでは?と思います。僕もそうですが、サラリーマン家庭で育つとそうはいきませんね。


分業ということについて申せば「螺鈿陶額」の仕事に触れないわけには参りません(ちょっと柳宗悦っぽい言い回ししてみました笑)。外側の陶器の額は伊勢の山口和声さんが作り、内側の螺鈿は紗和子さんが施す協業の作品。普段作っている食器には実用性が求められるので陶額では和声さんの作家性・創造性が発揮されます。陶額が先で螺鈿が後、というのは伺っていて知っていましたが、陶額だけの状態で見て、ここから生み出すのって本当に大変だなぁと思いました。陶額に導かれて浮かぶデザインもあるとのこと。共鳴し合い、高め合う仕事。


螺鈿陶額シリーズは大変人気で、展示会ごとにほとんど売り切れてしまうほど。なので毎回展示会向けに新たな作品を生み出す必要があり、納期との戦いで、千本ノックではないですが、短期集中で作るよう鍛えられてきたと仰ってました。同じ敷地に兄で椅子職人の小島優さんの工房がありますが、優さんのウィンザーチェア(テマヒマのカフェにも特注のウィンザーチェアが3脚ございます!)も大変人気で在庫が殆どないので、直近の個展でも短期集中で作らなければならない椅子があって、邪心がないせいか、いい仕上がりになって、不思議とそういうものから順に旅立って行ったというお話をして下さいました。


これまで2-3人しか見せていないという紗和子さんの作業部屋をご案内頂きました。漆では先述の逸景さんや岩手の艸工房・玉山保男さんのお仕事場を拝見したことがありましたが、それとは全く違う雰囲気でした。紗和子さんが蒐集したモノが並び、好きに囲まれながらお仕事をされています。紗和子さんは私の脳内ですと表現されていましたが、展示会や書籍などで見た故・柚木沙弥郎のお部屋の一角や考え方を彷彿とさせ、その好きなモノが紗和子さんのクリエイティブの源なのだなぁと感じました。今回、螺鈿のお仕事の工程や材料についてご説明頂きましたが、実はこの仕事部屋を拝見したことが一番説得力があって伝わってきました。


お昼ごはんは、お母さま、優さん、紗和子さんとご一緒させて頂きました。ご自身で作った旬のお野菜中心のお食事(特に山椒入りポテサラが絶品でした!)、日常に螺鈿の器やお盆、お箸、箸置きが並ぶ豊かな食卓。親しい作り手のものが中心の陶磁器も使い込まれ美しく育っていました。とても穏やかな時間が流れ、とても豊かな暮らしを感じました。我々夫婦が「暮らし」ということを考えるようになったきっかけ(そこからテマヒマ起業につながるわけですが)となった鳥取の岩井窯・山本教行さん・房江さんのことも話題に出ていて、雄四郎さん時代から家族ぐるみで懇意にされてるとのことでした。


1日雑談を含め本当に色々なお話をしましたが、寧ろその雑談の中から、紗和子さんのモノ作りの考え方や想いが伝わってきてとても貴重な時間でした。小島家の皆様、お忙しい中、ありがとうございました!


次に関西で、小島紗和子さんの螺鈿をご紹介する機会は、9月の某百貨店某催事のテマヒマブースでとなります。ご期待下さい!


テマヒマは今日は水曜日で定休日です。明日11時オープンで皆様のお越しをお待ちしております。ランチの11時半,12時のお時間はご予約で残り9席とお席に余裕がございます。


それでは明日も好いモノ、好いコト、好いトキをテマヒマで。

今日も好い1日を!