中国茶藝館カメリア

鳳凰山へ

2019.03.15 04:35

潮州 お茶を尋ねる旅

2日目はメインイベントであるお茶農家さん訪問。


潮州に行く、と話したらあれよあれよと話が進み、4人の方からそれぞれ別々のお茶農家さんを紹介していただきました。


各お茶農家さんと連絡が取れたのは良いものの、問題は車の無い私たち、鳳凰山のお茶畑までDidi(タクシー配車サービス)で行けるかどうか。


やはり行き帰りが一番不安だったので、ホテルに迎えに行くよ!行きたいところ案内するし、帰りも送るよ!と仰ってくださった方にお茶農家さんへ同行していただくことになりました。


しかし2日目の朝に電話が鳴り、


「ごめんね昨日飲み過ぎちゃって今日行けないや」


中国のビジネスマンあるある。

この方は私の東莞の知り合いの方が紹介して下さった潮州が地元の方。ではお茶畑までDidiで行きます!ゆっくり休んでくださいね。と言ったのですが再び鳴る電話。


「先程◯◯さんが連れて行けなくちゃったから、代わりに迎えに行ってあげて!と言われたので今から行きます。ホテルどこ?」


なんとなんと、お茶農家さんが直接来てくださることに!


有り難すぎる〜!ので甘えることに。


中国語が全然出来ない為、普段電話に出ることの無い私。そんな私を動かすお茶の力って偉大・・・!



車の窓から流れる茶畑たち。海抜の低い所の茶畑の様子をよく見ておいてね、と言われたのでじっくり観察。海抜が上がって行くにつれどんな変化が出るのか、運転しながら詳しく説明してくださいました。

この日は5日間の潮州の旅の中で唯一晴れた日。


道路脇に干してある摘まれたばかりの茶葉たちを見て「これは間違っているんだ。昨日天気が悪かったから今日摘むのもNGだし、道路に広げるのなんて以ての外。摘んだ後には籠に広げるんだよ、あとで見せてあげるね」と説明してくださる農家さん。


普通に流通している単叢は海抜が低く木も若く、こうやって作られているものが殆どだそうです。


海抜が高く、樹も古く、丁寧に作られた農家さんの単叢を何種類も何リットルも飲ませていただき、私が今まで飲んでいた単叢って・・・とショックを受ける農家さん訪問にもなりました。

山をぐんぐん車で登って到着!

確かにここにはDidiでは来れない・・・。送迎してくださり本当に感謝です。


鳳凰山の中でも質の良い単叢は乌岽山(ウードン山)で生産され、その乌岽山の中にもいくつか村があり、最も質が良く価値の高い単叢を生産している村の中に農家さんがありました。


この村の名前は単叢の勉強をすると必ず覚えるくらい凄い所。


なのに、わたくし、もう乌岽山の中にいるという感動で村がすっぽり頭から抜けていたのです。この後お茶館にて「どこに行ったの?あの村には行った?」と聞かれても「うーん、わかんない・・・。」と答えるオトボケぶりでした。


写真を見せて「あの村よ、ここ!」と言われるまで気付かず(同行の2人は知っていた模様)、大反省するのでした。

単叢の古樹の森。


予想外に晴れたので、山の麓で8元の麦わら帽子を買いました。

単叢は接ぎ木で増やされたものが殆どの中で、種から産まれて大きく育った母樹がたくさん。


まるで単叢の博物館のようでした。

蟹脚と呼ばれる寄生植物。

普洱茶で出会うのですが、単叢にも寄生するなんて。

農薬も殺虫剤も使わない、素晴らしい環境。


茶畑を巡った後は工場で怒涛のテイスティングタイムです。

木の年齢の違いを比べてみたり。


お昼はお茶畑で無農薬栽培された野菜と、のびのびと育てられたチキンとダック。


これがまた絶品でした。


食後もテイスティングタイム!

年輪100年以上の単叢の木の枝で作ったコースター。


電動ノコギリで切るのですが、密度があまりにも高いので火花が出るそう。


街まで送ってもらい、潮州名物の牛肉火鍋をご馳走になりました。


潮州の牛肉火鍋の牛肉はその日の午後に絞められたものしか使わないそう。


お肉も切ってから3分以内に提供するように徹底しているそうです。


食にもこだわるグルメな潮州。


美味しいお茶が生産される理由が分かりました。


生産者だけではなく、一般的な消費者が求める味の要求が高い。そして、生活に「工夫茶」が根付いている為に消費の量が桁違い。


もちろんビジネスであるのは大前提。でも他の中国茶と違い、地元の生活や文化を感じられるお茶が鳳凰単叢。


やはり生産地に直接脚を運ばないと分からないこと、感じられないことって沢山!

出不精の私が他に自力で行きたいと思える単叢以外のお茶にはまだ出会えておりません。


ツアーで行った福建省の白茶の産地のように、行っても学ぶことが何も無くて無駄足になることもありますが、潮州はまた何度も来たい。そう思わせてくれる魅力に溢れていました。


この日以来、何処でどんな単叢を飲んでも「あのお茶ほど美味しく無いな・・・」と思ってしまいます。


そんな単叢に出会えて良かった!