【論文】アンモニア酸化細菌由来RubisCOのクライオ電顕構造
株式会社アグロデザイン・スタジオの研究成果として、クライオ電子顕微鏡で構造解析した細菌由来RubisCO構造(2.26Å)についての論文がでました。
論文タイトル:Cryo-EM structure of RubisCO from Nitrosospira multiformis
タンパク名:RubisCO
生物種:化学合成独立栄養細菌のアンモニア酸化細菌 (Nitrosospira multiformis)
Cryo-EM: JEOL CRYO ARM 300
PDB:25HN
論文:Y. Tanaka, Y. Nishigaya, Biochem. Biophys. Res. Commun. Vol 822, 16 July 2026, 153886
要約(日本語訳):
Nitrosospira multiformis は、アンモニア酸化から得られるエネルギーを利用し、RubisCO(ルビスコ)を介して二酸化炭素(CO2)を固定する土壌アンモニア酸化細菌(AOB)である。生態学的および農業的な重要性にもかかわらず、N. multiformis 由来RubisCO(NmRubisCO)の構造は未解明のままであった。本研究では、カラムクロマトグラフィーを用いず、細胞破砕と超遠心分離によって膜画分とともに共精製されたタンパク質の単一粒子解析により、2.26 Å(オングストローム)の分解能で決定したNmRubisCOのクライオ電子顕微鏡(cryo-EM)構造を報告する。構造解析の結果、本酵素は大サブユニットN末端ドメインのβB–βCループ(BCループ)に6残基の挿入配列を持つ、L8S8型16量体のForm IC(赤色型様)RubisCOであることが明らかになった。この挿入配列は、溶媒に露出した整った突出構造を形成している。活性部位では、K206のカルバミ化とMg2+の結合が起きておらず、不活性状態を示していた。また、触媒中心の近傍に、H296、H298、およびH331によって配位された金属イオンの存在が推定され、その配位幾何構造と結合距離から暫定的にZn2+と同定された。このヒスチジン(His)配位型金属サイトは、他のRubisCO構造では報告されていない。さらに、基質が存在しない状態において、ループ6は「閉鎖様(closed-like)」のコンフォメーションをとっており、これはアクチベース(活性化酵素)による構造再編成が必要である可能性と一致する。小サブユニットのC末端延長領域は、ホロ酵素(完全長酵素)を安定化させる二量体間のβシート相互作用を形成している。これらの構造的特徴は、カルボキシソームを持たない土壌アンモニア酸化細菌におけるForm IC RubisCOを理解するための基礎となる枠組みを提供するものである。