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藤村邦と渡辺俊之のブログ

ゴミ捨てと市井の医師

2026.06.01 04:34

 私は20年くらい前から10年間くらい、ヤフーブログを書いていた。ほとんど毎日にように書いた。けっこう内省のために深いことも書いたり、精神医療への思いや、亡くなる母親への思いや、始めて米国に行った時の思い出や、スーザン・マクダニエルとの出会いなど、ずいぶんと書き込んでいた。

 ある学会でシンポジウムか何かの後に「センセイ、昔のブログは閉じたんですか」と聞かれた。ヤフーブログが終わってしまったのだ。ぜんぜん知らない年輩の先生で、名前も言わずに去っていったけれど嬉しかった。

 別な学会の時、「私は市井の精神科医ですが、今日は感動しました」と言ってくれた。

その方も名前を言わずに会場を出て行った。会場で後ろから走ってきて「名刺」をいただいた先生もいる。

 きっと、同じような気持ちで日々、患者さんに向き合っている先生たちなのだ。昔のブログは東海大時代にゼミの子にファイルにしてもらった。あの娘も、きっとどこかで、ソーシャルワーカーやっているのだろう。

 大谷翔平を毎日のように見ている。彼のゴミ拾いや、警備員や、掃除の女性への接し方が動画で流れる。その度に思い出すことがある。

 大学医学部時代、医学部の階段教室の後ろの方は出来ない学生のたまり場で、食い物のゴミ、煙草の吸い殻、ひどい状態であった。ポイ捨てしたり、机の上に吸い殻置いたり、足下には食べ残したパンが転がっていた。私は悲しかったが注意が出来なかった。いつも遅い時間に校内を掃除している「おばちゃん」のことを知っていたが、彼らに怒る勇気はなかった。

 ところが、ある日、学生窓口の横に「誰か」が作ったと思われる、お掃除おばちゃんの一日という写真が貼ってあるのを見つけた。私と同じように思っていたが学生がいたのである。私は「偉い!」「凄い」と思った。「わが大学も捨てたもんじゃない」と思えた時だ。きっとその学生は市井の医師として、きっとどこかの町で、患者のために生きている。