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アクロバット(ナガシマスパーランド)

2020.04.12 08:56

長さ1021m/高さ43m/最高速度90km/h 

Bolliger&Mabillard/Flying Coaster/Manta

 2015年7月にオープンした日本初のB&M製フライングコースター。もっと話題になっても良かったはずが、半年後の2016年3月にオープンしたUSJのザ・フライング・ダイナソーに話題を取られ、挙げ句の果てにパクリとまで言われてしまった不遇のコースター。かく言う僕もダイナソーの方を先に乗ってしまいアクロバットの印象が薄くなってしまったのだが。

 アクロバットは専用のエリアにあり、駅舎もかなり大きく、待ち列も屋内屋外ともに、多すぎるぐらいに用意されていて、開業時の気合を感じる。レイアウトはオーランドのシーワールドにあるMantaというフライングコースターと同じものを反転させて採用している。いわゆるミラークローンというやつ。車両は横4人一列の8両編成。ダイナソーが前方と後方で大きく乗り味が変わるのに対して、アクロバットはそこまで激しい動きではないので、どこに乗っても、あまり違いを感じないように思う。

かなり大きな駅舎
どう考えても多すぎる待ち列(笑)
エントランスに置かれたテストシート
青色のシートが良い
青色で統一された車両
奥にもう1つ乗り場があるが、ほとんど使われていない 

 レイアウトを紹介していきたい。ちなみに、基本的に1台運転なので、乗り場に靴を脱いで置いておくことができる。まず、巻き上げを登り、ファーストドロップは右にゆっくりとカーブするように下っていく。滑空するような動きで激しさはあまりない。その後、すぐに上昇し、いきなりのプレッツェルループ。フライングコースターの代名詞とも言えるエレメントで、頭から地面に突っ込んでいく形で、逆向きのループをする。アクロバットの中で間違いなく、一番激しいパートだ。プレッツェルループの底では激しいプラスGと振動で少し苦しさを感じるぐらいだ。だが、激しいのはここだけ、残りはどちらかと言えば、空を縦横無尽に飛んでいるような感覚や爽快さが重視されているように思う。プレッツェルループを終えると、左に下りながら旋回し、そのままインライン・ツイスト。その流れで、右方向に変わり、駐車場の横を大きく下りながら旋回していく。個人的には、駐車場に止められた車との対比で、高度感が感じられて、一番好きなパート。続いて、プレッツェルループの真ん中をくぐるような形で、左にスクリュー。駅舎の横をかすめるように上昇し、中間ブレーキとなる。残念ながら、ここで割と減速しているのを感じる。

 後半戦の始めは、右旋回しながら、池に向かってドロップ。最下部では、コースターが水を切っているかのように噴水が上がる。下で見ていても楽しい場所だが、乗車していても想像以上に水面と噴水が近くて、ビックリするし、楽しい。後方車両に乗っていると、風向きによっては少し濡れることもあるぐらいだ。そのまま大きく1周右旋回し、先ほどのドロップを越えるような形で、再度インライン・ツイスト。くぼみに飛び込むような形で、地面すれすれに左旋回し、ブレーキとなる。

青空に映える巻き上げ
滑空するように長く落ちるファーストドロップ
いきなりのプレッツェルループ
かなり激しいエレメント
プレッツェルループの底を間近で見ることができる。
乗っていると、それどころじゃないが
左に旋回し、ゆったりとしたインライン・ツイスト
駐車場のすぐ横を旋回する
プレッツェルループを輪くぐりしてスクリュー
こちらもゆったりとした動き
水面を切るような形で旋回
車両が通ると、噴水が上がり楽しい
風向きによっては下で見ていても水がかかる
2回目のインライン・ツイストで戻り、
地面スレスレを走り、フィニッシュ

 あまり比較ばかりしていても良くないが、前述の通り、先にダイナソーに乗っていたので、印象が弱くなってしまったのも事実だ。それでも良質なコースターであることは間違いない。だが、アクロバットにはコースター本体以外の部分で、残念な点が2つもある。

 まず、ロケーション。アクロバットがあるエリアは元々、駐車場だった場所を専用のエリアとして拡張しており、駐車場から見ると、一番近い位置にあるにも関わらず、メインゲートから入って歩いていくと、なぜか一番遠い位置にある。導線が悪くて、大きくグルッと回っていかないとたどり着けない。初めてナガシマに行った人は存在すら忘れてしまうかもしれないような位置にあるのだ。そのエリアには他のアトラクションも全くないので、いつでも過疎化しているように見えるのは、あまりにも勿体ない。ナガシマの他のエリアに比べると、周囲の雰囲気づくりも、リゾート地のような感じになっていて、頑張ってはいるのだが、木が少なめだったり、どこか物足りない印象。あくまでも他に比べたら、というレベルに収まっている。それは乗車していても、感じることだ。

駐車場から見ると、一番近いのだが、実は
遊園地内を大きく回って行かないとたどり着けない

 2つ目はこれが最大のマイナス点だが、オペレーションの悪さだ。大きな駅舎に左右2つのプラットホームがあり、交互運転できるようになっているのだが、ほとんど片方しか使われていない。しかも、ホームの横にあるロッカーに荷物を入れる、金属探知機で検査する、ライド横の列に並ぶ、乗り込む、安全バーの確認をする、という全行程を、1車両分ずつ2、3人のスタッフで順番にやっていくので、恐ろしく時間がかかる。1運転が5分おきなら良い方、悪い時は10分に1回ぐらいしか動かないので、たいして並んでいなくても、タイミングが悪いとかなり待たされてしまう。3Dシアターか何かの待ち列かよ、と勘違いしてしまうぐらい待っている間も、列が進まない。下で写真を撮ろうとしても、一向に車両が走らないので、待つのが大変だ(笑)。おそらく日本でワーストクラスの遅さだと思う。


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