グリーグ 春に寄す Op.43-6
2026.07.10 01:00
Grieg, Edvard Hagerup(1843-1907)
Lyriske smastykker No.3 "Til foraret" Op.43-6
グリーグの「春に寄す」は、抒情小品集 第3集(作品43)の最後を飾る一曲で、グリーグの作品の中でも特に親しまれている名曲です。
この曲が生まれたきっかけは、グリーグがデンマークへ旅行していたときのホームシックだったと言われています。厳しくも美しい祖国ノルウェーの自然が恋しくなり、その思いを音楽に託したのだそうです。友人への手紙には「特に目新しい作品ではないが、心からの率直な気持ちを込めた」と記しているそうで、まさに彼の素直な感情がそのまま音になったような一曲です。
実際に弾いてみると、はじめは静かに、ppの中に何かを秘めたような穏やかな雰囲気で始まりますが、そこから少しずつ高揚していき、和音が重なり合いながら春の喜びがあふれ出すように広がっていきます。冬の間ずっとためていた光や生命力が、一気に解き放たれるような感覚があり、聴いていても弾いていても心が満たされる曲です。
この曲、調号は♯が6つもついていて、譜読みの段階でまず一苦労します。さらに途中からは三段譜になる箇所もあり、どの音を拾えばいいのか戸惑う生徒さんも多いです。加えて、右手と左手で2対3のリズムが重なる部分もあり、ここでつまずく方が本当に多い印象です。
レッスンでも、こうした譜読みの難しさやリズムの合わせにくさをどう乗り越えていくかを、生徒さんと一緒に試行錯誤しながら楽しく進めています。
楽譜は 国際楽譜ライブラリープロジェクト グリーグ 抒情小曲集作品43