『GOOD SHABBOS, EVERYBODY』 Mauris Sendak Leonard Weisgard
これまた珍しい絵本が入荷しております。
先日オンラインストアにも更新した『GOOD SHABBOS, EVERYBODY』はillustrations by Mauris Sendak(モーリス・センダック)、Art Consultant, Leonard Weisgard(レナード・ワイスガード)と記された珍しい1冊です。
この二人をご存知の方はこの組み合わせには驚きますよね。20世紀のアメリカ絵本を代表するような二人の絵本画家が、一つ作品の中で名を連ねている…。
こちらの絵本の発行は1951年。センダックはまだ何と23歳ですね。
センダックの初めての児童書の仕事はマルセル・エイメの挿絵の仕事のはずですが(これも1951年です)、それは絵本というよりも児童書の仕事なので、『絵本』としての初めての作品はこの『GOOD SHABBOS, EVERYBODY』なのかと思います。
一方レナード・ワイスガードは1948年に『The Little Island』でコールデコット賞を受賞しており、マーガレット・ワイズ・ブラウンとの仕事でも知られる存在でした。
新人のセンダックを指導するような立場で起用されたのかな?と想像してしまいますが、どうなのでしょうね。
そもそも絵本で『Art Consultant』などというクレジットはこの本以外には自分は見たことがないので、センダックは(ワイスガードも)この仕事に対してどんな思いだったのかちょっと気になりますね。
お話の作者はユダヤ系の作家のRobert Garvey。ユダヤ教の安息日を過ごす子どもたちと家族のお話ですね。
センダックはポーランド系ユダヤ人の親を持つ移民2世なのでこの仕事も頷けるのですが、ワイスガードとの接点はどこにあったのでしょうか。
ただ、1950年頃には後にともに名作を数々生み出したHarper社の編集者Ursula Nordstromと出会っているので、彼女が引き合わせたのかな?とも想像できますね。(ですが本書の出版はHarperでは無くユダヤ系の出版社なのですが)
またエリック・カール絵本美術館で開かれたワイスガード回顧展「Magician of the Modern: The Art of Leonard Weisgard」(2016年)では、本書『GOOD SHABBOS, EVERYBODY』はワイスガードの “mentoring role” を示す資料として紹介されていると言う記事も確認できました。しかし、ワイスガードが具体的にどのような役割を果たしたのか、また、のちのセンダックとの交流についてはすぐには確認が出来ませんでした。センダックの伝記などで触れられている部分があったでしょうか…。知っている方がいらっしゃたら教えてください…。
この絵本のセンダックは、センダックの絵の特徴的な頭身のバランスや指、腕の太さなどは僅かに見られるのですが、作者を明かされないで絵だけ見たときには、自分はセンダックの絵とはわからないような気もします。
翌年1952年のルース・クラウスとの『A Hole Is to Dig』ではセンダックの絵はもう完全に『センダック』になっているので、この絵本の仕事はそういった意味でも(センダックは、どのようにあのセンダックになったのか)興味深く、面白く感じられます。
色々とややマニアックな話を細々と書いてしまいました。
ともあれ、なかなか見ることのない、本国アメリカでも珍しい一冊です。ぜひご覧くださいませ。