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組織の力で、一人では出せない大きな成果を生み出す――「マネジメント」として歩むエンジニアキャリア事例

2026.07.01 08:00

 アプリボットでは、エンジニアのキャリアパスとして「マネジメント」と「スペシャリスト」の双方を評価・支援する仕組みを整えています。執行役員CDOの大洞に、マネジメント視点から見たスペシャリストへの期待と、マネジメントのやりがい、それを支えるアプリボットの組織のあり方について話を聞きました。

後編では、スペシャリストとして第一線で活躍する技術統括本部の向井に話を聞いています


<プロフィール>

大洞 祥太(Shota Obora)

2018年サイバーエージェントに新卒入社。 アプリボットに配属後、Unityエンジニアとして「BLADE XLORDーブレイドエクスロードー」や「NieR Re[in]carnation(※)」などで新規開発から運用までを経験。直近では運用中スマートフォンゲームタイトルにて開発責任者を担当し、リリースとヒットに貢献。2025年からはアプリボットの執行役員としてエンジニアやPM、QAなど開発に関わる組織づくりに従事。他にもゲーム事業部のエンジニアボードメンバーとして他子会社プロダクトの開発品質の向上や推進のサポートを担っている。

※開発:アプリボット、企画・制作:スクウェア・エニックスによるスマートフォン用ゲームアプリ。現在はサービス終了。


キャリアの複線化を、どう設計しているか


———アプリボットでは、エンジニア個人のキャリア形成にどう向き合っていますか。

 ベースの仕組みとして、サイバーエージェントグループ全体で運用されているエンジニアのグレード制度(JBグレード)※があります。一人ひとりに技術評価者がつき、業務の評価とは切り分けたかたちで技術的な成長やキャリア形成をアシストする仕組みです。

 さらにアプリボットでは「個人の強みをより伸ばす」マネジメントを意識しています。後編に登場する向井のように、強みを活かしてスキルを突き詰めることで会社と組織に貢献するというキャリアも高く評価しています。

 これはアプリボットの事業フェーズが進化していることとも関係しています。スマートフォンゲームのみならず、コンシューマーゲームやグローバル展開を前提とした超大型IPタイトル、新規オリジナルIPの創出など事業領域が広がるにつれ、エンジニア一人ひとりの強みを活かす仕組みづくりにも力を入れるようになりました。

※エンジニア向け評価制度「JBキャリアプログラム」


———「個人の強みを伸ばす」というのは、具体的にどのような形で実現しているのでしょうか。

 一人ひとりの強みを最大限に発揮してもらうための環境づくりを大切にしています。そのため、既存の組織の枠に人を当てはめるのではなく、強みや専門性がより活かされるよう新たな組織や役割を設計することがあります。技術統括本部の中にLDX(Lead Developer Experience)※を立ち上げたり、品質保証を担当するQAエンジニアも新しく定義するなど、事業フェーズやトレンドに応じて新しい職種も日々生まれています。

 ゲーム開発に携わるエンジニア以外にも、裏側のサポートや業務効率化に強みを持つエンジニアもいるため、「ゲームエンジニア」として一括りにするのではなく、「QAエンジニア」として役割を明確にすることで、本人の専門性や強みをより伸ばせる環境をつくっています。選考過程でも「個人の志向性に応じたキャリアを積み重ねることができるんですね」と関心を持っていただけることも多いです。

 こうした柔軟な動きができるのは、現場側に大きな裁量があるからだと思います。新しい職種や組織をつくるときも、エンジニア主体で考え推進していく文化があります。

※アプリボットのエンジニア横断組織 LDX(Lead Developer Experience)について


———エンジニアに対して、次のキャリアやミッションをどう提示していますか。

 目標設定の段階で、短期目標のみならず中長期目標の双方をヒアリングした上で提案しています。年次や能力だけで役割を決めず「やりたいという意思」を尊重してミッションを決定するため、新卒一年目でもリーダーのポジションが空いていれば任せてみる、ということもあります。

 ミッションを提示するときは、本人が驚くような大きなミッションでも、「まずやってみたら?」と任せることが多いですね。本人の意思を最重視しますが、自分の得意分野ややりたいことなど「キャリアの可能性」に自ら気づける人と、提案されることで気づく人の割合は半々くらいだと感じているため、こちらからキャリアの選択肢を提案することもあります。

———本人もまだ気づいていない強みに、大洞さん側からきっかけをつくった事例があれば教えてください。

 ひとつはアウトゲームのリードを目指して入社したメンバーの事例です。一緒に働くなかで、開発の管理や推進に強みがあると見えてきたため、入社半年ほどで「管理業務もやってみたらどうか?」と声をかけました。一年ほど経った今、「マネジメントの道に本格的に進みたい」と言ってくれています。

 もうひとつは、運用プロジェクトを長く担当していたベテランエンジニアの事例です。チーム内ではリーダーを任されていたものの、本人と深く話してみると、周囲から頼られて引き受けているものの、本当のモチベーションは「チームサポートや業務効率化」にありました。ちょうどQAエンジニアを新たな職種として定義しようとしていたタイミングと重なり、提案してみたところ「ぜひ」と前向きな反応をもらい、新しい役割を担い始めています。

 どちらも、エンジニアだから、若手だから、ベテランだから、と既存の枠組みでメンバーを見ていたら生まれなかった選択肢だと思っています。本人が気づいていない強みに、マネジメント側から「新しい道もあるのでは?」とキャリアを考えるきっかけをつくる。個人の可能性を広げる動きが、結果として組織の選択肢を広げることにもつながっていると感じています。


マネジメントの道を選んで、見えてきた景色

———大洞さん自身がマネジメントの道を選んだ動機はどこにあったのでしょうか。

 ひとつのスキルを深く磨くよりも、技術的・影響範囲的に広いミッションが向いていたのだと思います。手を動かして機能をつくるより、チームの布陣を考えて、自分一人では出せない大きな成果を出すほうが、自分にとってはやりがいを感じる瞬間が多かったですね。


———マネジメントの大きな手応えを感じた瞬間は、どんなときでしたか。

 現在担当しているタイトルを、アニメ放送との同時リリースに間に合わせることができたときです。ジョインした当初は、品質的にリリースが危ぶまれる状態でした。プロジェクトの中核を担っていた人物が異動するタイミングも重なり、ミッションが一気に自分に引き継がれました。

 体制的にも人が足りない状況で、各プロジェクトからスポットで協力してくれる人を募ったり、「気づいていないけれど、向いていそうな人」へキャリアを提案しミッションを変えたり、サイバーエージェントグループ各社からの異動と採用を組み合わせたりと、既存の良さを残しつつ、足りない部分を新規メンバーで早期に補いました。

 こうして開発速度を上げて同時リリースできたことは、自分一人では絶対に出せない成果を、チームづくりを通して生み出せた事例です。

———マネジメントだからこそ感じる、仕事の醍醐味はどこにありますか。

 マネジメントの仕事は、戦略を立てて、人を配置して、それがうまく回ったときに大きな成果として返ってくる。そこに独特の面白さがあると思います。「気づいていなかったけれど向いていそうな人」に役割を提示した結果、活き活きと仕事に取り組んでいる場面に出会うと、本人にとっても新しい景色が開け、組織の成長にもつながっているように感じています。人が成長し、プロジェクトが進み、やがて大きな成果につながる——その循環を設計する楽しさがあると感じています。


スペシャリストを活かす仕組みと文化


———マネジメントとして、スペシャリストに最も期待している役割は何でしょうか。

 ひとつのプロジェクトにとどまらず、知見を活かして横断的に複数プロジェクトに関わってもらいたいですね。どれだけ技術力が高くても、一つのプロジェクトにとどまってしまうと影響範囲が狭くなってしまう。同じ能力を持った人がプロジェクトの数だけいないと開発が進まないというのは健全ではないと思っています。自分のスペシャリティを活かして複数のプロジェクトを横断的にカバーする働き方を一緒に考えてくれる方を求めています。

 そのために、技術統括本部にスペシャリストの所属を置き、必要なプロジェクトに柔軟にアサインするかたちで運用しています。スペシャリストの方にプロジェクトを超えて横断的に動いてもらうことで、複数プロジェクトで使う基盤を効率的につくり、自分の強みを最大限に活かせる場で動けるメリットがあると考えています。


———最後に、マネジメントとスペシャリストが互いに敬意を払えるチームは、どう育ってきたのでしょうか。

 エンジニアという仕事は、あくまでひとつの役割でしかないと考えています。私自身、新卒のころからゲームの企画や仕様にも意見を出すし、改善案も提案する。勝手に機能をつくってディレクターに見せに行くこともありましたが、「いいね、もっとやってみたら?」と背中を押してもらったことを覚えています。

 エンジニア一人ひとりの強みに目を向けて、気持ちよく成果が出るミッションをマネジメントが設計する。自分自身が先輩たちから受けてきたことを、今は自分がメンバーに還元していきたいです。また、代表の浮田自身がエンジニア出身で、若手のころに当時の役員陣に強みを伸ばしてもらった原体験がある。だからこそエンジニアの新しい技術への挑戦にも、経営層が説明を聞いて、納得すれば任せるカルチャーが根付いているのだと思います。

 マネジメントもスペシャリストも、結局はいいプロダクトをつくるためにある。そこに目線が合っていれば、職種を越えて信頼しあうことができる。そんな価値観を大事にしている会社だと思います。

 後編では、スペシャリストとして技術統括本部のLDXを率いる向井に、現場の視点からアプリボットでの働き方を聞いています。あわせてご覧ください。


▶ 後編:技術と知見を活かして、自分たちの手でより良い組織をつくる――「スペシャリスト」として歩むエンジニアキャリア事例


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