これまでもたくさんの奇跡が起きてきた。だが、それは勝手に起きるわけじゃない
日本と対戦するチュニジア、新指揮官エルベ・ルナール。わずか1日で監督が代わったチームに、彼がぶつけた言葉。これは単なる激励ではなかった。
さあ、ここから前に進むぞ 。
サッカーの世界に無駄にできる時間なんてないんだ 。
だから、もう一度気持ちを奮い立たせなければならない 。
きついのは分かっている 。
頭が休まらないせいで、体もいつも以上に重く感じているだろう 。
俺たちも現役時代にプレーしてきたから、その気持ちはよく分かる 。
だが、プロフェッショナルである以上、ここから這い上がらなければならないんだ 。
そして、今ピッチに送り出すべき『本当に強い選手』とは、メンタルが最も強い奴らだ 。
みんな、俺はここに来る間にもう一度お前たちの試合を観た 。
すべてを投げ出す必要なんてない 。
スコアというものは、必ずしも試合の内容を正しく反映しているとは限らないんだ 。
1点リードされていた場面でも、相手には(オフサイド気味の)決定機が1回あっただけで、お前たちにもチャンスはあった 。
その後、2点目を決められてサッカーの歯車が狂い、ミスが重なってしまった 。
所属クラブでこういう経験をしたことがあるかもしれないが、代表チームでは滅多になかったはずだ 。
なぜなら、お前たちは予選を無失点で勝ち抜いてきたんだからな 。
もし俺たちの前にいるのが、毎試合大量失点するようなチームだったら『あぁ、そもそもレベルが足りないんだ』と言えるかもしれないが、そうじゃない 。
だから問題はそこ(実力)じゃない 。
問題は他にある 。
だからこそ、今日は自分自身を突き動かさなきゃいけないんだ 。動くんだ 。
なぜなら、お前たちのデュエル(球際)を見ていて、少し遅れていると感じたからだ 。
意図的かそうでないかは別として、少し遅れて激しく当たってしまったり、ダイナミズム(躍動感)が足りていなかった 。
この2戦目に向けて、最高の状態を作らなければならない 。
その次の試合のことは今は話さない 。
日本戦だけに集中するんだ 。
その後に何が来るかは今の問題じゃない 。
問題は、日本戦に向けて集中し、強い覚悟を持つことだ 。
これが鍵だ、お前たちも分かっているはずだ 。
このステップを絶対に逃してはならない、乗り越えるんだ 。
3試合で行われるこのグループステージでは、まだ何だって起こり得るということをお前たちは知っているはずだ 。
サッカーでは、これまでもたくさんの奇跡が起きてきた 。
だが、それは勝手に起きるわけじゃない 。
状況をひっくり返し、流れを変え、精神状態を変えるという強い意志があって初めて起きるんだ 。
そして、これはこのユニフォームの重みの話だ 。
わざわざここまで足を運んでくれた人たちがいるのを、お前たちも痛いほどよく分かっているだろう 。
彼らがどれだけのお金を払ってお前たちを応援しに来てくれたか知っているか?
『あぁ、またそのお決まりのセリフか』と思うかもしれないし、何度も耳にしてきただろう 。分かっている 。
だが、それが真実なんだ 。
もし今日、このまま国に帰ったらどうなるか、お前たちには分かっているはずだ 。
今日帰国したらどうなるか?
そうだ、国民みんなが怒り狂う 。当然だ 。
彼らが間違っているとは言えないし、彼らが間違っているはずがない 。
これは祖国への、国家への想いなんだからな 。
だから、初戦をこれほど大きな点差で落とせば、当然人々は激しく反応する 。
だが、それを真正面から受け止め、強く立ち向かって反応しなければならない 。
俺たちはワールドカップにいるんだ 。
これは最高の大会なんだから、死に物狂いでやらなきゃいけない 。
1ヶ月前に俺がテレビ画面の前で試合を観ていたとき、画面越しにどんな思いだったか、お前たちには想像もつかないだろう 。
お前たちには今、ここにいるチャンスがあるんだ 。
だからみんな、さあ2戦目だ 。
ここからすべてをひっくり返そう(借りを返そう) 。
そしてスローガンは『俺たちは一つ』だ 。
俺は自分がやりたいことをやるためにここにいるんじゃない 。
俺はこのチームが求めていることを成し遂げるために、ここにいるんだ