【2026年夏特集①】地下水の熱利用に弾みつける揚水規制緩和へビル用水法改正省令が7月1日に公布
◆2027年9月1日に改正省令施行:揚水規制地域でも地下水の熱利用が可能に◆
「建築物用地下水の採取の規制に関する法律施行規則の一部を改正する省令」が7月1日に公布されました。この改正省令は、地下水の熱利用促進に向けて現在、ビル用水法で用水が規制されている地域でも地下水の熱利用ができるよう規制緩和を進めるもので、2027年9月1日に施行の予定になっています。
2050年ネット・ゼロの実現に向けて地中熱の活用が期待されている一方で、地下水を揚水して熱利用するオープンループ型地中熱利用システムは、技術的基準で定められる揚水機の吐出口の断面積では業務用建築物等での空調利用に必要な揚水量を確保できないほか、一般的な揚水井の掘削深度が100メートル程度であるところ、技術的基準で定められるストレーナーの位置は最も浅くても400メートル以深に指定されており、事業の採算性の確保ができず指定地域での導入が困難な状況にあること等の課題があります。
◆地下水還元型地中熱利用システム◆
これら課題をクリアするため、「地下水還元型地中熱利用システム」のうち、地盤沈下のおそれがないものについては、全国展開に向けて必要な措置を講ずるため、建築物用地下水の採取の規制に関する法律施行規則第2条別記に定める技術的基準において、規定を新設する改正を行います。
具体的には、指定地域内において・・・
〇「帯水層からの地下水の揚水及び揚水した地下水の帯水層への還元を一体的に行うことを通じて当該地下水を冷房又は暖房の用に供すること」
〇「揚水した地下水の全量を同一の帯水層に還元する構造を有すること」
〇「当該設備の連続的な又は相当の頻度による稼働に伴う全量還元の状況を把握する措置その他の地盤沈下の防止等の観点から必要な措置が講じられていること」
以上の全項目に該当する揚水設備については、運用時に想定される揚水量、運用時に想定される揚水を行う帯水層の周辺の土質の状況等を勘案し、ストレーナーの位置及び吐出口の断面積が、当該場所及びその周辺において地下水位及び地盤高が著しく変化するおそれがないものである場合、技術的基準を満たすものとするーーとしています。
これにより、要件を満たす場合、これまで厳しい揚水規制がかかっていた東京都を含む首都圏でも熱利用のための地下水揚水が可能になります。昨今、ZEBなど高度な建築物が求められる中、熱交換効率の非常に高い地下水が使用できるようになるのは大きな一歩になりそうです。
また、この技術的基準の改正で、国家戦略特別区域制度の特例によらず当該指定地域においても地下水還元型地中熱利用システムが導入可能となるため、改正施行規則の施行に伴い、共同命令を廃止するとしています。
※記事中の図は、環境省資料より。