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高齢になっても使いやすく安全にトイレのバリアフリー

2019.03.17 03:00

高齢になると身体機能が低下し、トイレに行く回数も増える。自立した生活を長く続けるためのリフォームのポイントは?

出入り口の段差をなくす

高齢者はちょっとした段差でもつまずきやすく、また、視力の低下により段差に気づきにくい場合がある。出入り口に段差がある場合は、床を上げたり、スロープを設置するなどして段差を解消する。


扉は引き戸がベスト

トイレの出入り口は、身体をほとんど動かさず開閉できる引き戸が最適。引き戸なら車いすでも自力で開閉できる。
内開き扉は、トイレ内で倒れたときに外からの救出が困難になるため、避けた方がよい。


立ち座りの動作を安全に

便器に座ったり、立ち上がったりする動作は不安定になりやすい。適切な位置に手すりなどを設置し、立ち座りの動作を安定させる。とっさのときにつかまれる手すりがあれば、思わぬ転倒事故も防げる。
また、便器に座った状態でかかとが浮いていると、姿勢が不安定になる。便器は、腰かけた状態でかかとが床に着く高さとする。


身体への負担を少なくする

便ふた・便座の開閉、洗浄はリモコンや自動で行えるものを選ぶと、身体の方向転換を減らせる。
また、タンク上での手洗いは、無理な姿勢になり腰に負担がかかる。手洗器を別に設置すれば、ラクな姿勢で手洗いできる。


清掃性にも配慮する

掃除の手間を少なくするために、汚れが付きにくく、掃除しやすい便器を選ぶ。
床材には濡れても滑りにくく、汚れが付きにくいものを選ぶ。


冬場はトイレを暖かく

急激な温度差はヒートショックの原因に。床や壁に断熱材を入れたり、暖房機器を導入するなどして、トイレの室温を上げ、居室との温度差を小さくする。また、暖房便座を使用して、冷たい便座に肌が直接触れないようにする。


トイレは寝室の近くに

高齢になると、昼夜を問わずトイレに行く回数が多くなり、我慢もしづらくなる。このため、トイレは寝室の近くに設置するのが望ましい。
また、夜間は照明がまぶしくならない配慮も必要だ。


【提案で心掛けていること】

クロス貼り対応下地で手すり設置に備える

身体状況によって便器の位置、出入り口の位置などの理想の配置が変わってきます。医療・介護の専門職に相談しましょう。身体状況の変化によって後日手すりが追加で必要になる場合があるので、トイレ室内の内装壁は手すりが設置できるように内装壁を合板で構成しています。最近は『地球樹Mクロス』など、クロス貼り対応の内装合板も出ているのでよく使っています。 

また、最近は、洗浄便座のリモコンがスタイリッシュなデザインになったことと引き換えに、高齢者にはボタンの位置と機能がわかりにくい、表示が見にくい、という問題が出ています。オート洗浄やふたの自動開閉などの高機能も使えない場合があります。高齢者対応の場合、慎重に選定しています。


【バリアフリートイレのポイント】

◆段差をなくす

◆引き戸にする

◆身体の上下の動きをサポートする

◆身体の方向転換を少なくする

◆腰への負担を少なくする

◆掃除の手間を少なくする

◆寝室の近くにトイレを設置する


【トイレのバリアフリーのポイント】

【プロの視点】身体状況に応じたトイレスペースを

トイレのバリアフリーを考えるとき、①自力で排泄できる人、②介助が必要な人、③車いすで介助が必要な人、とで必要となる開口幅やトイレスペースが異なる。目安は右の表の通り。身体状況や介助の仕方などによっても必要なスペースは変わってくるので、現状に合わせてスペースを確保しよう。


必要となるトイレスペースの目安