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【大会プレビュー】車いすバスケ日本代表、世界選手権への試金石「SUMIDA Nations Cup 2026」開幕

2026.07.07 13:48

2026年7月9日(木)、10日(金)の2日間、東京・墨田区総合体育館(ひがしんアリーナ)にて、車いすバスケットボール男子の国際親善大会「SUMIDA Nations Cup 2026 in Tokyo」が開催される。今年9月にカナダ・オタワで開幕する世界選手権を2ヶ月後に控えるなか、日本代表は世界屈指の強豪であるイギリス、トルコを国内に迎え、現在地を測る貴重な機会に臨む。開幕を前に行われた記者会見から、大会の見どころと各チームの意気込みを紹介する。

東京パラリンピック以来の国内国際大会

大会に先立ち行われた記者会見では、まず日本車いすバスケットボール連盟の田中明会長が挨拶に立ち、イギリス・トルコ両代表を東京に迎えるのは2021年の東京パラリンピック以来であることを明かした。京谷和幸ヘッドコーチ(HC)の強い要望により、世界選手権で常にメダルを争う両強豪国の招聘が実現したという。東京パラリンピックは無観客での開催だったが、今大会は多くのファンが会場で世界トップレベルの試合を観戦できる点も大きな意義を持つ。


イギリス代表のジョージ・ベイツHCは「世界選手権に向けて選考されたチームであり、この大会は素晴らしい準備になる」と述べ、グレッグ・ウォーバートンキャプテンも新体制での参加に手応えを語った。トルコ代表のジャン・アクスHC、ウグル・トプクキャプテンも招待への感謝を示し、互いの健闘を誓い合った。


日本代表は、パリ・パラリンピック出場を逃したことで9月の世界選手権が久しぶりの国際舞台となる。京谷HCは「この大会で良い課題を見つけ、世界選手権に繋げたい」と語り、川原凜キャプテンも「強豪国と戦えることは自分たちにとって非常にプラス。両国へのリスペクトを持ちながら、選手・スタッフ一丸となってプレイしたい」と大会への意気込みを述べた。


「トランジション」に「ハーフコート」を融合、新たな戦術への挑戦

日本代表の伝統的な武器は、車いすを素早く走らせる「トランジションバスケ」にある。しかし今回のチームが取り組んできたのは、それに加えた「ハーフコートオフェンス」の精度向上だ。

川原キャプテンは、世界選手権の目標である「ベスト4」に向けて「これまで強みとしてきたトランジションバスケに加え、ハーフコートオフェンスに取り組んできた。それが強豪相手にどれだけ通用するのか、安定したオフェンスを作れるのかを試したい」と語る。具体的には、リングに近い位置でのシュートにこだわらず、海外勢の高さやリーチを警戒して広いスペースからのアウトサイドショットで崩す練習を重ねてきたという。今大会に選出された村上選手らアウトサイドを得意とする選手の起用にも注目が集まる。

京谷HCも同様の課題認識を示す。「我々の最大の武器はトランジションの早いオフェンスだが、ゲームの半分はハーフコートになる。これまでハーフコートの決定率が低かった部分を、どう改善していくかに取り組んできた」。オーストラリア遠征では日本の“スピード”が通用しにくくなっている場面もあったといい、スピードを捨てるのではなく、攻守の「質と精度」をさらに高める方針を掲げる。


選手それぞれが「自立」したチームへ

今大会で注目したいのは、戦術面だけでなくチームの内面的な成長だ。川原キャプテンは自身の強化ポイントとして、積極的なシュート意識に加え、ディフェンスの運動量向上のために数ヶ月かけて約7kgの減量に取り組んだことを明かした。

そしてチーム全体の変化として挙げたのが「自立」というキーワードだ。「以前はヘッドコーチや誰かについていく姿勢が強かったが、今は海外でプレイする選手も増え、自分が責任を持ってチームを引っ張らなければならないという強い思いを全員が持っている」と川原キャプテンは語る。京谷HCも「前回の世界選手権やパリ・パラリンピックを逃した悔しさを晴らすというメンタリティができ、選手たちの取り組む姿勢が変わった。川原を中心に、誰かに頼るのではなく“自分がやらなきゃ”という自立したチームになってきている」と、若手・海外組の刺激が国内組にも波及する好循環を強調した。

チームが掲げる目標は、世界選手権での「トップ5以上」、そしてその先にあるロサンゼルスパラリンピックの出場権獲得だ。


ファンに届けたい「日本らしいバスケ」

久しぶりの国内有観客試合を前に、川原キャプテンはファンへのメッセージも語った。「日本の車いすバスケットは展開が早く、見ていて楽しいスポーツ。そこを存分に体現して観客の皆様を楽しませたい」。健常者を含め男女問わず楽しめる競技として広まりつつある車いすバスケットボールが、今大会をきっかけにさらに浸透することへの期待も口にした。


大会概要

大会名:SUMIDA Nations Cup 2026 in Tokyo

日程:2026年7月9日(木)、10日(金)

会場:ひがしんアリーナ(墨田区総合体育館)

出場国:日本、イギリス、トルコ

観戦:両日とも第1・第2試合(10:00~、14:00~)は無料観戦可、第3試合(19:30~)は有料入場


世界選手権、そしてロサンゼルスパラリンピックを見据え、若手・ベテラン・海外組が融合した新生日本代表がどのような戦いを見せるのか。開幕まであと2日、ひがしんアリーナに注目が集まる。


取材:Junko Sato / SportsPressJP