“アイドル”や“何者か”を目指す君への手紙 二百三十三通目『芸能と家族』
◆“アイドル”や“何者か”を目指す君への手紙 二百三十三通目『芸能と家族』
芸能の道を歩むということは、たくさんの時間をそこに使う、ということです。
レッスンがあります。ミーティングがあります。ライブがあります。家に帰ってからも、歌を覚えたり、振りを確認したり、台本を読んでセリフを覚えたり、配信をしたり、自分自身と向き合う時間が必要になります。
本気で何かを目指すということは、それだけ多くのものを注がなくてはならないということです。
でも、忘れてはいけないことがあります。
それは、君の人生には君以外の人も関わっているということです。特に家族です。
「活動を少し減らしてほしい」
「もっと家族との時間を大切にしてほしい」
そんな言葉を言われることがあるかもしれません。
その時に、「自分の夢を分かってくれない」と決めつけてはいけません。
その言葉の奥には、別の気持ちがあるかもしれないからです。
「体を壊しはしないかと心配している」のかもしれません。
「将来を不安に思っている」のかもしれません。
「最近、君との時間がなくなって寂しい」のかもしれません。
大切に思っているからこそ、出てくる言葉もあるのです。
もちろん、君が、本気で芸能の世界を目指すなら、簡単に諦める必要はありません。夢を追うには覚悟が必要なのです。
誰かに言われたからすぐにやめられる程度の気持ちなら、この先の厳しい世界を進むことは難しいかもしれません。
でも同時に、夢を理由に周りの人を大切にしなくなってはいけません。
「自分は頑張っているんだから理解してほしい」
それだけでは、人は応援し続けることができません。応援してもらう努力も必要なのです。
少し厳しいことを言います。
一番近くで君を見ている家族に、自分の想いや覚悟を伝える努力ができない人が、まだ君のことをよく知らないお客さんの心を動かすことは容易ではありません。
ステージとは、自分の想いを誰かに届ける場所です。
歌で、踊りで、言葉で、表情で。
「自分はこういう人間です」
「これを届けたいんです」
「あなたにこう思ってほしいんです」と伝える場所です。
だからこそ、まずは近くにいる大切な人にも、自分の気持ちを伝える努力をしてください。
「なぜ自分はこの活動をしているのか」
「何を目指しているのか」
「どんな未来を見ているのか」
そういったことを、きちんと言葉にして伝えることです。
そして、家族を大切に思っていることも、言葉と行動で伝えるべきです。
ステージの上の君だけが、君ではありません。
家族と過ごしている時間の君も、本当の君です。
芸能の活動は、一人でしているように見えて、実はたくさんの人に支えられています。
「送り出してくれる人」
「待っていてくれる人」
「心配してくれる人」
その存在を当たり前だと思わないでください。
長く活動を続けていくためには、家族の理解や応援は大きな力になります。
家族が一番近くで応援してくれる存在になった時、それは君にとって、とても大きな支えになります。
だから、夢か家族か、どちらかを選ぶという考え方だけにしないでください。どうしたら夢も大切な人も守れるのか。
そこから逃げずに考えてください。
本気で夢を見る人は、自分の夢だけを大切にする人ではありません。
自分を支えてくれる人も大切にできる人です。
君がいつか大きなステージに立った時。その姿を一番喜んで見てくれる人の中に、家族がいてくれたら。
それは、とても幸せなことだと思いますよ。
以上
「“アイドル”や“何者か”を目指す君への手紙 二百三十二通目」は2026年7月1日の記事
「“アイドル”や“何者か”を目指す君への手紙 二百三十四通目」は2026年7月15日の記事