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Baby教室シオ

提案『子育てに於ける慈しみ』

2026.07.13 00:00

昨日の絵本『こころにいつくしみの種をまく』(記事はこちら)を受けて、慈しみとは何か、優しさや思いやりと慈しみはどう違うのか、幼少期に慈しみの心を育むにはどのようは働きかけをすべきなのかを記事にし、来週の提案記事で『慈しむ見立て遊び』の具体例を提案する予定です。では早速本題に入っていきましょう。

1、慈しみとは何か

慈しみとは、深い愛情をもって大切にすることや可愛がること、また労わることと辞書には書いてあります。つまり『慈しみ』とは愛情、思いやり、労り、優しさをを含んだ心のあり方といえます。相手を大切に思い、愛情を持って優しく接し、その人や生き物が安心したり幸せになったりすることを願う気持ちのことで、怪我をしている相手を見て「痛そうだ」泣いている相手を見て「かわいそうだ」という感情を持つだけではなく、相手の存在そのものを大切にし、思いやりや温かさをもって関わることを意味します。つまり優しさや思いやりという感情があるだけではなく、行動が伴うことが慈しみというものなのです。



2、慈しみと思いやりとの違い

「慈しみ」と「思いやり」は似ていますが、少しニュアンスが異なります。「思いやり」は相手の気持ちを想像し、相手の立場に立って考えることですが、「慈しみ」は思いやりに加えて相手を愛情深く大切にし、その存在や成長を願う気持ちと行動が伴うことを含みます。例えば、転んだ友達に「大丈夫?」と声をかけるのは思いやりです。その後手をさしのべて一緒に保健室へ行ったり、安心できるよう寄り添ったりする姿には慈しみの要素が含まれるのです。先述した通り思いという感情に行動が加わると思いやりから慈しみに転化するのです。



3、子育てで慈しみを育む意義

乳幼児期は人との温かな関わりの中で、自分が大切にされているという安心感を育む時期であり、人格の基礎が形成される時期です。この時期に温かな人間関係や経験がその後の生き方や人との関わり方に大きく影響し、「自分も相手も大切な存在である」と感じながら、人と関わる力や豊かな心を育てていくことになります。その経験を土台として、子どもは次第に友達や生き物そして身の回りのものへと関心を広げ、「大切にしたい」「助けたい」という気持ちを育んでいきます。

そのため子育てや保育に於ける慈しみとは、自分が愛情を受けて育つ経験を基盤に、他者や命、自然などをかけがえのない存在として受け止め、思いやりのある行動に繋げていく心です。これは人との信頼関係や共感性、社会性を育む上でも重要な資質の一つです。だからこそ乳幼児期にはこの慈しみを育てる必要があるのです。



4、慈しみを育てるためのポイント

それでは慈しみを育てるとはどのようなことをすべきかを考えてみましょう。

慈しみは1歳を過ぎた頃からできるだけ早く働きかけを行う必要があります。特に男児は力任せの行動が増えてくるが発達上出現するので、力とは真逆の優しい扱いや丁寧さ及び力を抜いた動きを獲得させておいた方が、私は強さと優しさを兼ね備えた男の子に成長すると考えます。その上で慈しみを付加して育てることが少年期や青年期を清々しさの中で迎えることができるのだと確信しています。

しかしすぐに慈しみの心が育つわけではありません。先ずは友達や相手を気遣う気持ちを芽生えさる必要があります。よって友達が泣いていたら「大丈夫?」と声をかけること、困っている友達がいたら手伝おうとしたり、小さい子におもちゃを渡してあげるなどの譲り合い、ぬいぐるみや人形を優しく抱っこして寝かせる遊びをしたり、植物に「大きくなってね」と水をあげることや生き物に餌をあげ、優しく大切に世話をするなどの気付きを育てることが望ましいといえます。相手を大切にしようと行動することが慈しみ芽生えの姿です。

つまり乳幼児期で慈しみを育てる場合には「教える」ことよりも、「経験する」「感じる」「行動を繰り返す」ことが重要です。安心できる人との関わりを基盤に、ごっこ遊びや自然や生物との触れ合い、友達とのやり取り、絵本などを通して相手の気持ちに触れる経験を積み重ねることで、子供は少しずつ「相手を大切にしたい」「理解したい」という気持ちを育んでいきます。親や保育者は、その育ちを支える環境づくりと温かな言葉かけを意識することが慈しみを育む子育てや保育です。



5、働きかけ

子育てに於いて慈しみを育てるためには、子どもに「優しくしよう」と教えるだけではなく、慈しみを実感できる環境設定や経験を積み重ねることが重要であることは、先の項目で記しました。この項目ではどのようなステップを踏んで、どのような働きかけがあるのかを記していきます。それぞれの働きかけについては来週の提案記事『慈しむ見立て遊び』でより具体的に詳細を解説していきます。そちらも参考にされてください。


① 愛着関係を築く

慈しみを育むことは思いやりや共感性、命を尊重する心、社会性など人と共に生きるための基盤を育てることに繋がります。子供は親や保育者、そして友達との温かな関わりの中で自分が大切にされる経験を積み重ね、その安心感を土台として、友達や動植物、身の回りのものへと慈しみの気持ちを広げていきます。このような経験は、将来にわたって豊かな人間関係を築く力や互いを尊重し支え合う姿勢を育む上で重要な意味をもちます。自分が大切にされていると感じる人格形成に最も重要な乳児期にしっかりと愛着形成を行なっていれば、その経験を通して他者を大切にする心が養われ、人と関わる力や豊かな心を育てていくことになります。まずはこの項目がどのような場面でも必要不可欠なものなのです。


② 見立て遊び・ごっこ遊びを充実させる

見立て遊びやごっこ遊びは相手の立場や気持ちを想像する経験に繋がります。1~2歳はごっこ遊びに通ずる前段階の遊びである「ぬいぐるみを抱っこしたり、お世話をすること」を中心に行います。

3歳児のごっこ遊びでは「遊び自体を存分に楽しむこと」が目的であると同時に、慈しみや思いやりの心、人との関わり方を経験的に学ぶことを充実させ、親や保育者は子供の行動を「できた・できない」で評価するのではなく、その行動に込められた思いや優しさを認め、言葉にして伝えることで慈しみの心が育つよう援助していくことが大切です。

4~5歳では相手の立場を想像したり、友達と相談しながら遊びを発展させたりできるようになる時期です。友達と話し合いながら役割を決めたり、相手に寄り添う方法を考えたりする経験を積む必要があります。「役になりきること」ではなく、相手の気持ちを考えながら行動し、友達と協力してよりよい関わりを作るこうした経験の積み重ねが、慈しみの心を深めると共に、就学後にもつながる社会性や協調世の基礎となる共感性や協力性、社会性も育んでいくことができるのです。


③ 相手の気持ちを言葉で繋ぐ

乳幼児期の「相手の気持ちを言葉で繋ぐ」とは、親や保育者が子供や相手の気持ちを言葉にして伝え、「相手にも気持ちがある」ということに気付けるよう橋渡しをすることです。乳幼児は自分の気持ちは分かっても、相手の気持ちを想像することはまだ発達の途中段階にあり未熟で、まだ相手の気持ちを推測したり言葉で表現したりすることが十分ではないのです。そのため親や保育者が子供の行動や相手の表情を見ながら、気持ちを代弁することが大切になります。親や保育者が「嬉しいね」「安心したね」「悲しかったね」「痛かったね」などと気持ちを言葉で伝えることで、子どもは少しずつ「相手にも自分と同じように気持ちがある」ことを理解していきます。そしてこの積み重ねが共感性や思いやり、そして慈しみの心を育む土台となります。親や保育者は子供の行動を評価するだけでなく、その行動が相手にどのような気持ちをもたらすのか、もたらしてしまったのかを丁寧に言葉にして伝えることがかなり重要で必要あることです。


④ 友達との関わりを支える

友達との関わりを支えるとは、親や保育者が子供同士の関係を一方的に仲裁したり指示したりするのではなく、子供が互いの気持ちに気付き、自分たちでよりよい関わり方を見つけられるよう援助することです。子供は友達との遊びや気持ちのぶつかり合いを経験する中で、「相手も自分と同じように嬉しい、悲しい、悔しいと感じる存在なんだ」と少しずつ理解していきます。

1~2歳児はまだ言葉で気持ちを十分に伝えられないため、親や保育者が子供の思いを受け止め言葉で代弁します。3歳児は少しずつ言葉でやり取りができるようになるため、親や保育者が子供同士の会話を支えます。4~5歳児は子供同士で話し合える力が育ってくるため、親や保育者はすぐに答えを出さず考える機会を作り、側で見守るようにします。

我々親や保育者は子供の抱えるその思いや気持ちを言葉で繋いだり、子供同士が解決方法を考えられるよう支えたりすることで、相手を大切にしようとする心や互いを認め合いそして助け合う力を育むことができるようサポートします。すると子供達は友達との関わりあいの中で多くを学んでくれるようになります。


⑤ 命や自然に触れる

命や自然に触れることと慈しみには深い関係があります。 子供は植物や生き物との関わりを通して、「育てる」「守る」「大切にする」という経験を積み重ね、「自分が世話をすると相手が育つ」「元気でいてほしい」「命は大切に守るもの」ということを体験的に学びます。その経験が慈しみの心を育むことに繋がり、やがて友達や家族など身近な人への思いやりにも広がっていきます。つまり、命や自然との関わりは相手の存在を大切に思い、健やかであってほしいと願う「慈しみ」の心を育む大切な経験といえるのです。よく幼子と犬や猫とのほっこりする動画を見受けますが、まさにこの項目の内容が展開され動物を飼うことのメリットが溢れ、動画内の子供達の慈愛の育みが自然となされていることに子供と動物の心の通い合わせの素晴らしさを私は毎回確信しています。


⑥ 絵本や物語を活用する

ずばり絵本や物語を活用し慈しみを育てるということは、登場人物の気持ちに共感し「相手を大切にしたい」「相手は今何を思い何を考えているのか」という慈しみの心を育むことに繋げていくことが行えます。これは国語力の一部にも関係してくるものなので、是非とも多くの絵本や物語を活用すべきだと考えます。絵本や物語は実際には経験していない出来事やさまざまな立場の人や動物の気持ちに触れる機会を与えてくれます。乳児期は親や保育者が登場人物の気持ちを丁寧に言葉にし、子供と一緒に考えることで相手の気持ちに共感し、大切にしたいと願う慈しみの心が育むことが必要です。

3歳児は登場人物の気持ちを一緒に考えたり、子供の経験と結び付けたりすることで慈しみの心が育まれますが、絵本を読みながら子供が気持ちに気付けるような問いかけをしてほしいと考えます。

4歳児は、3歳児よりも相手の立場や気持ちを想像する力が育ち始める時期です。そのため絵本を読むだけではなく、「なぜそう思ったのか」「どうすればよかったのか」を友達と話し合うような働きかけが効果的です。年齢によって活用する絵本も物語も異なりますが、共通して言えることは、絵本や物語の活用は子供が他者への思いやりや命を大切にする心など多くの慈愛を育むための重要な保育方法の一つといえます。


⑦ 思いやりを伝え合う経験をつくる

慈しみを育てるには思いやりを伝え合う経験をつくることです。子供が友達や親、保育者との関わりの中で、思いやりのある行動をしたり、されたりする経験を重ね、その気持ちを言葉で伝え合うことが重要です。また「してあげる」だけでなく、「してもらって嬉しかった」「ありがとう」と伝え合うことで、子供は自分の行動が相手を喜ばせた、相手にしてもらうことで感謝などを実感することができます。この積み重ねが確実に慈しみの心に繋がります。日常生活の中で、「ありがとう」「助かったよ」「うれしかったよ」などの感謝の言葉を交わす機会を大切にしてほしいと考えます。私の経験上、子供に「ありがとう、助かった」と伝えることにより、子供は俄然やる気を出して自発的に行動を起こすようになります。子供の本質の中には「人のために行動したい」との思いがあると確信しています。また感謝の無いところに慈しみなど生まれない育たないとさえ思います。自分の行動が相手を喜ばせた経験を重ねることで、子供たちは自発的に慈しみの行動を繰り返すようになるのです。またその逆で「悪いことをしてしまった。申し訳ない」という気持ちを経験することも次の行動への変化も生みます。

よって私が考える親や保育者に求められる姿勢は、保育者自身が子供や他の保護者、同僚に対して思いやりのある姿を示し行動を起こすことだと考えます。子供にとって大切なモデルとなるのは親や身近な保育者です。また子供の優しい行動を見逃さず、「お友達が困っていることに気付いたんだね」「お花が元気になるようにお水をあげたんだね」と、その行動に込められた思いを汲み取ることができるのもまた親や身近な保育者です。

今一度、子供のモデルになっているかを見直してみてはいかがでしょうか。