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Fashion Source / Hitomi’s Log

夜中3時、マティスのポーチが爆誕した

2026.07.23 22:00

昨日の記事で「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」のことを書いた。

何かを必死に考えているときではなく、

歩いているとき。お風呂に入っているとき。ぼーっとしているとき。

意識的な思考を手放したあとに、バラバラだったパーツが勝手につながっていく、あの脳の仕組みのことだ。


大阪での濃い対話、京都でのチームラボ。

五感を刺激され尽くしたあとだったこともあり、昨日はまさにそんな「空白の一日」だった。

そして、その結果。

夜中の3時に、マティスのポーチが爆誕した。

どうしてこうなった(笑)。


そもそもの始まりは、クリムトだった

昨日やっていたのは、Etsyショップの見直し。

そこでふと、ひとつの気づきがあった。

「同じ商品でも、届ける相手が違えば、見せ方はまったく違っていいはずだ」


たとえば、私のショップで人気のクリムトのバッグ。

これまでは「アートが好き」「個性を楽しみたい」人に向けた見せ方をしていた。

けれど同じバッグでも、上質なインテリアの中で、エレガントな装いの女性が手にしていたらどうだろう。まったく違う上質なアイテムに見えるはずだ。


そこで昨日は、クリムトのバッグを「マダム仕様」へと文脈を再定義して、新しく出品してみた。

写真も、商品名も、検索タグも、想定するお客様も全部変える。でも商品は同じ。

これまでの私は「ひとつの商品=ひとつの商品ページ」と決めつけていた。

けれど、入口(コンテクスト)は複数あっていい。そう思えた瞬間、Etsyの見え方がガラリと変わった。

同じ店に、同じクリムトが二人いる。

そんなことしていいのか?

……知らない。やってみよう(笑)。


そして、平和に仕事は終わるはずだった

クリムトの「別ルート」を2つ出品し、仕事は完了。

朝のシャットダウン後、充実した一日となった。

「よし、お疲れさまでした!」で終わるはずだった。

ところが、Printify(発注ツール)を眺めていたら、見つけてしまったのだ。

……ポーチを。


「こんなのあったんだ」

バッグばかり見ていた私の視界に、初めて「ポーチ」が入ってきた。

しかも底にマチがあって自立する、横長のTボトム型。

その瞬間、私の中の「スイッチ」が入った。

「あ、横長の絵が入るじゃん」

実は以前から、縦長のバッグには収まりきらない横長の名画たちに、ちょっとしたもどかしさを感じていた。無理にトリミングすると、作品の魅力が削がれてしまうからだ。

でも、このポーチなら綺麗に収まる。

しかも表と裏で、両面に違う絵を置ける。


脳裏に浮かんだのは、マティスだった。

心斎橋のZARAで、「マティスTee」を買っていたのは伏線だろうか。

しかも、すでにPrintifyのファイルに、それらのマティスの絵をアップロードもしてあった。


片面には、アネモネを描いた静物画。

もう片面には、鮮やかで踊るような切り絵作品。


試してみた。

……かわいい。

いや、めちゃくちゃかわいい。

マティス、ポーチとの相性が良すぎる!


編集が終わると、夜中でも提出してくる

そこからは早かった。

価格を決め、市場の相場をリサーチし、サイズを展開し、商品ページを組み上げる。

気がつけば、Etsyで販売スタート。

ふと時計を見る。

夜中の3時を回っていた。

なぜ私はこんな時間に、マティスのポーチを売っているのだろう。


昼寝をしたから……だけではない気がする。

翌日、モックアップ画像もさらに整えた。

女性が手に持った姿、手のひらに乗せたサイズ感、表と裏の作品の対比。

説明しなくても、持つ人のストーリーがスッと浮かぶように。


これもクリムトと同じだ。

商品そのものは変わらなくても、「文脈」を変えると意味が変わる。

結局、これは全部「デフォルト・モード・ネットワーク」の仕業だったのだと思う。


大阪での対話と京都の光。

ジムで歩いた20分と、お風呂の時間。

机の前を離れ、脳を「余白」で満たしたあとに、点と点が勝手につながっていった。

「次に何を作ろうか」と机で必死にウンウン唸っていたら、絶対にこのマティスには辿り着けなかった。


創造は、机に向かっていない時間に起きる

体験する。

考える。

言葉にする。

そして、休む。歩く。関係ないものを見る。


何かを生み出すプロセスは、机の前にいる時間だけで完結するわけではない。

何もしていないように見える時間にも、頭の奥底では勝手に編集作業が続いているのだ。

そして編集が完了すると、こちらの都合などお構いなしに、「ほら、できたよ」と夜中3時に提出してくる。

もう少し営業時間というものを考えてほしいものだが(笑)、クリエイティブとはこういうものなのだろう。


昨日まで、私のショップにも、私の頭の中にも存在しなかったマティスのポーチ。

それが今、ちゃんと形になって世界に並んでいる。

だから最近は、「何も出てこない、空白の時間」も怖くなくなった。

それは何も起きていないのではなく、表に出てくる前の「編集待ち」の時間なのだから。


さて、次に私の頭から何が爆誕するのか。

私にもまだわからない。


👜 Art- T & Things マティスのダブルサイドポーチ