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「ぞうさんレレブム」ビネッテ・シュレーダー

2019.03.18 09:39

今日も数冊更新しましたが、先日から「岩波の子どもの本」のシリーズの、70年代の刷りのものを、幾つか更新しております。

中には初版のものや、絶版で珍しいものもございます。この年代のものは、現在の同シリーズ(重版分を含む)とは異なり、表紙などがコーティングされていない紙が使われており「もの」として暖かい印象をより感じることが出来ますね。

勿論好みはあるかと思いますが。

こちら「ぞうさんレレブム」は、当店の在庫品は1978年1刷のものです。

作者はビネッテ・シュレーダー。

シュルレアリスムの影響を強く感じさせる、不思議に魅力的な作品を作るシュレーダーですが、このようなグラフィックデザイン的、と言うような、こんな絵も描くんですね!ちょっと驚きです。

不勉強なもので、このレレブムを見てから調べてみると、少ない数ではありますが、シュレーダーはこうしたタイプの作品も作ってはいるようでした。ですがこの「レレブム」が一番その傾向が強い作品に感じられましたが。ちなみに原書の「LELEBUM」(ドイツ語版)は絶版で高騰していますね…。

お話はぞうのレレブムが、みなとは違う自分の色(青色の象なんです!)に悩んであれやこれやと奮闘するお話です。

悩んだ末に、そうしたものを自分の個性として受け入れる、と言った筋書きは、絵本にはしばしば見られるお話かと思いますが、この主人公レレブムのあーでもないこーでもない、と言った独り相撲が微笑ましく、読者を楽しませてくれます。

レレブムの個性は、その色なんかじゃなくて、君のその楽しい性格だよ、なんて言ってあげたくもなりますが、それはリズムの良い日本語にしている矢川澄子のお陰かも知れません。このスマートじゃないレレブムを、シュレーダーがスマートな絵で描いているのも、この絵本の面白さを引き立たている気もしますね。

岩波の子どもの本のシリーズは他にも珍しいところではエッツの「海のおばけオーリー」「サリーのこけももつみ」(これらは現在は大型絵本として出ておりますが、この小さな判型のシリーズでも出ていたんですね)などもございます。


当店の岩波の子どもの本の在庫はこちらです。