Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

中野人事法務事務所ブログ

経済財政運営と改革の基本方針2026

2026.07.24 01:28

2026年(令和8年)7月21日付で「経済財政運営と改革の基本方針2026」閣議決定版が公表されました。全体として、骨太方針2026は、従来の「長時間労働の是正」を中心とした働き方改革から、人材希少社会を前提に、働く人の健康を確保しながら、労働供給、生産性、技能、賃金を同時に引き上げる政策へ軸足を移した内容となりました。

労働・雇用・人事労務に関係する、企業への影響が大きいものを優先順位順に挙げると、次のとおりです。

  1. 最低賃金1,500円に向けた継続的な引上げ
  2. 裁量労働制・変形労働時間制の見直し
  3. 勤務間インターバル制度の法的位置付け
  4. 連続勤務規制
  5. 「つながらない権利」
  6. 副業・兼業者の健康管理
  7. 雇用保険制度の2026年中の見直し
  8. 男女間賃金差異と雇用管理の見直し
  9. 育児・介護との両立支援
  10. 全世代型リスキリングと処遇の連動
  11. 育成就労制度と外国人雇用管理
  12. AI・省力化導入に伴う職務・評価・教育制度の再設計
  13. 医療・介護・保育・福祉分野の人材確保と処遇改善
  14. 労働基準監督署の相談・指導方法の見直し

主なトピックスは以下の通りです。

1.賃上げ・最低賃金

① 実質賃金を年1%程度上昇させる

② 最低賃金の全国平均1,500円

最低賃金については、以下のとおりとされています。

毎年の引上げ額は、最低賃金法上の3要素に基づき、中央・地方最低賃金審議会で実態を踏まえて決定するとしています。

③ 最低賃金の地域間格差の是正

④ 中小企業の賃上げ支援

「労働供給制約社会における中堅・中小企業の『稼ぐ力』強化戦略」に基づき、以下の施策を通じて、賃上げ原資を確保する方針です。

閣議決定版では、政府が必要な予算を確保し、従来よりも力強い支援を安定的かつ切れ目なく行う姿勢が注記されています。

⑤ 価格転嫁・取引適正化

官公需について、2027年度末までに、以下制度等の導入・適用等を100%実施するとしています。

中小企業の賃上げを、単なる助成ではなく、適正な価格転嫁と生産性向上によって支える構造です。

2.労働時間法制・働き方改革

⑥ 労働時間法制の見直し

心身の健康維持と働く人の選択を前提として、柔軟で多様な働き方を実現するため、労働時間法制等について、2026年夏以降に労働政策審議会で議論するとされています。

⑦ 裁量労働制の見直し

裁量労働制については、次の濫用防止措置を前提として、対象業務等の在り方を検討します。

単純な対象拡大ではなく、健康管理・処遇・長時間労働防止をセットにした見直しです。

⑧ 変形労働時間制の見直し

変形労働時間制については、以下の観点を考慮しながら検討します。

⑨ 連続勤務規制

⑩ 勤務間インターバル制度

⑪ 「つながらない権利」

⑫ 副業・兼業者の健康確保

⑬ テレワークの活用促進

3.36協定・労働基準監督行政

⑭ 36協定等に関する中小企業支援

時間外労働の実態を踏まえ、以下の項目について、働き方改革推進支援センター、労働基準監督署、よろず支援拠点等が連携して相談支援を充実させます。

必要な体制整備については、2027年度以降も継続するとされています。

⑮ 労働基準監督署の指導方法の見直し

労働基準監督署については、以下の観点から監督指導の在り方を速やかに見直します。

⑯ 政策効果のモニタリング

労働時間制度の見直しについて、実施後の効果を検証するため、あらかじめモニタリングとデータ収集のフォーマットを作成し、厚生労働省と地方支分部局がフォローアップするとしています。

4.雇用保険・労働市場改革

⑰ 雇用保険制度の見直し

労働力供給制約下における雇用保険制度の対応について、2026年内を目途に結論を得る方針です。

具体的な改正内容は骨太方針には記載されていませんが、今後は、下記の観点などが論点になると考えられます。

⑱ 人材の流動化

⑲ 将来必要な労働力人口の検討

5.リスキリング・職業能力開発

⑳ 全世代型リスキリング

産学官が連携して、以下の施策を進め、リスキリング機会を拡充します。

閣議決定版では、これを「全世代型リ・スキリング国民運動」として展開することが明記されています。

㉑ スキルと処遇の連動

㉒ アドバンスト・エッセンシャルワーカー

㉓ 技能尊重・技能五輪

以下の施策を進めます。

6.女性活躍・仕事と家庭の両立

㉔ 男女間賃金差異の是正

男女間賃金差異の是正に向け、賃金額だけでなく、職場の雇用管理上の問題に対応します。

具体的には、以下の項目などの見直しが関係します。

㉕ 成長戦略分野での女性活躍

AI、デジタル、科学技術など、成長戦略分野における女性の就業・登用を促進します。

㉖ 仕事と育児・介護等の両立支援

育児・介護等によって就業継続やキャリア形成が阻害されないよう、両立支援を強化します。

企業実務では、以下の項目が中心になります。

㉗ 性差に基づく健康課題への対応

7.多様な人材の就労・社会参加

㉘ 就職氷河期世代等への支援

「新たな就職氷河期世代等支援プログラム」に基づき、以下の施策を進めます。

㉙ 高齢者の就業促進

㉚ 障害者の就労・社会参加

㉛ 疾病を抱える人の就労

8.外国人雇用・育成就労制度

㉜ 育成就労制度の円滑な施行

育成就労制度の施行に向け、必要な人的・物的体制を整備します。

受入れ企業では、以下の観点が重要になります。

㉝ 不法就労対策

㉞ 日本語・生活ルール教育

外国人が日本社会の一員として責任ある行動をとれるよう、以下の項目に関する教育を強化し、「日本語・生活学習プログラム(仮称)」の創設を進めます。

㉟ 外国人受入れの基本方針

9.医療・介護・福祉・保育分野の雇用

㊱ 医療人材の養成・確保

医師、歯科専門職、看護職員等について、以下の施策を進めます。

㊲ 介護・福祉人材の確保・定着

介護・福祉分野の人材について、以下の施策を進めます。

社会福祉施設職員等退職手当共済制度の在り方も検討対象に含まれています。

㊳ DX・AI・ロボティクスの導入

㊴ 事業者の協働化・大規模化

㊵ 保育士・幼稚園教諭等の処遇改善

保育士、幼稚園教諭等について、以下の施策を進めます。

10.社会保険料・社会保障制度

㊶ 現役世代の保険料率の上昇抑制

㊷ 社会保障負担率

2027年度の社会保障負担率が、2025年度と比較して上昇しないよう取り組むとしています。

㊸ 医療・介護分野の給付と負担

11.AI・省力化と雇用管理

㊹ AIを前提とした人材戦略

「AIを前提」として社会、産業、教育を再構築し、以下の施策を一体的に進めます。

㊺ 省力化投資と賃上げの連動

AI、ロボット、自動化設備の導入を、人員削減だけでなく、以下につなげる考え方です。

㊻ 地域企業へのAI導入

12.公務員・教職員の人事労務

㊼ 国家公務員の処遇・人材マネジメント

国家公務員について、以下の施策を進めます。

㊽ 教師の働き方改革

教師について、以下の施策を進めます。