シフト制の年次有給休暇の取扱い
2026年(令和8年)6月19日に「いわゆる「シフト制」により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」が令和4年版から改正されました。主な改正事項は年次有給休暇の取扱いです。
① 通常の年休付与日数の表を追加
従来版では、「6か月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した場合に年休を付与する」との一般的な説明にとどまっていました。
改正版では、次の通常付与日数が表として明記されました。
さらに、出勤率8割未満の労働者に対し、会社が任意に年休を付与することは差し支えない旨も追加されています。
② 比例付与の要件と日数表を追加
週の所定労働日数が4日以下、または年間所定労働日数が216日以下で、かつ週所定労働時間が30時間未満の労働者について、比例付与の日数表が追加されました。
また、比例付与の判定に用いる「所定労働日数」は、原則として、各年休基準日に予定されている週所定労働日数、または年間所定労働日数で判断することが明記されました。
つまり、過去の勤務実績をそのまま使用するのが原則なのではなく、まずは基準日以後に労働契約上予定されている所定労働日数を確認する、という整理です。
③ 実際の勤務日数と所定労働日数を乖離させない旨を追加
次の考え方が明記されました。
所定労働日数とは、その日数のとおり働くことを労使で約束するものであり、実際に働く日数と乖離しないことが望ましい。
そのうえで、
使用者の都合で、一方的に所定労働日数を増減させることは認められない。
と明示されています。
例えば、雇用契約上「週4日勤務」としておきながら、恒常的に週1~2日しかシフトに入れない運用や、年休付与日数を減らすために基準日前後だけ所定労働日数を減らすような運用は問題となります。
④ 所定労働日数を算定しにくい場合の算定方法を新設
あらかじめ所定労働日数を明確に定めていないことを理由に、年休を付与しないことは認められないと明記されました。
所定労働日数を算定しがたい場合は、次の日数を「基準日における1年間の所定労働日数」とみなして、付与日数を算定して差し支えないとされています。
年休の基準日(使用できる勤務実績)
- 雇入れ6か月後( 雇入れから6か月間の労働日数実績を2倍した日数)
- 雇入れ1年6か月後以降(前年1年間の労働日数実績)
例えば、入社後6か月間の実労働日数が70日であれば、年間所定労働日数を140日とみなし、週3日・年間121~168日相当として、原則5日の比例付与を行うことになります。
⑤ 「目安となる労働日数」と実績の関係を明確化
労働契約書等に「月12日程度勤務」などの目安を定めている場合についてもルールが追加されました。
目安日数を用いて算定した年休付与日数が、実績日数を用いて算定した付与日数を上回る場合に限り、目安日数を用いてよいとされています。
したがって、会社に有利な方、つまり年休日数が少なくなる方を選ぶことはできません。
⑥ 年休取得日の賃金計算を具体化
従来版は、「通常どおり勤務した場合と同等の賃金など、一定の賃金を支払う」とする一般的な記載でした。
改正版では、「所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金」を採用する場合について、次のように具体化されました。
時間給制の場合 時間単価 × 年休取得日に予定されていた所定労働時間
日給制の場合 その日の日給額
したがって、時間給制のシフト労働者について、勤務予定が8時間の日に年休を取得したにもかかわらず、一律に「平均勤務時間4時間分」などを支払う運用は適切ではありません。