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桜楓会 Ohfukai Society

サブカルチャーとオーケストラ 日本編

2026.07.25 15:56

前回の「映画音楽と名門オーケストラの関係」についての記事は、「スターウォーズ」の大編成管弦楽(ジョン・ウィリアムズ作曲)から始まった一大変革が、それまで少人数バンドや小編成オーケストラが 中心だった業界に風穴を空け、その後の映画音楽に一つの方向性を与えたという内容だった。今回もその続きとして「サブカルチャー(ポップカルチャー)とオーケストラ」について述べたいと思う。中でも、1978年のスターウォーズ公開前後の日本のアニメやドラマやゲームの音楽とクラシック系オーケストラの関係について例を挙げながら取り上げてみた。
組曲「宇宙戦艦ヤマト」 言わずと知れた大人気アニメ。始まりとなったテレビシリーズ(1974)で音楽を担当したのが作曲家の宮川泰(ひろし)。彼はザ・ピーナッツや弘田三枝子、園まりなどの有名歌手たちに作品を提供し続けた歌謡界の巨匠の一人 だったが、このアニメ音楽によって新境地を切り開いたとも言える。アニメのヒット後、本人によって作られた交響組曲「宇宙戦艦ヤマト」は、本格的なオーケストラ作品としての認知度も高く、日本のオーケストラコンサートのレパートリーの1つともなっている。

https://youtu.be/q9ln6YVLMhM?list=RDq9ln6YVLMhM

「宇宙戦艦ヤマト」初期のテーマ曲(1974)1時間耐久動画

https://youtu.be/yjcebovQ_bQ?list=RDyjcebovQ_bQ

交響組曲「宇宙戦艦ヤマト」 宮川泰の指揮するオーケストラ

この動画のオーケストラは、おそらく臨時編成のものと思われるが、息子の宮川彬良(あきら)が東京フィルを指揮した動画もある。

https://youtu.be/XmHJtnEFTmQ?list=RD7nAgo2xymnk

交響組曲「宇宙戦艦ヤマト」 宮川彬良 東京フィルハーモニー 交響詩「ジャングル大帝」 

1970年代半ばにシンセサイザーを駆使して、クラシック音楽に新風を吹き込むことになる冨田勲。アメリカのビルボード誌に載るなど世界でもリスペクトされるグレートな存在だったが、初期の彼は日本のテレビ番組の作曲家としてキャリアをスタートさせていた。「新日本紀行」や大河ドラマ「天と地と」「新・平家物語」「勝海舟」やアニメ「リボンの騎士」などのテーマ曲は今でも名作の誉れ高く、他に「今日の料理」のように大人から子どもまで広く親しまれた曲もある。

https://youtu.be/iJXiuT2d45M?list=RDiJXiuT2d45M

NHK「今日の料理」テーマ音楽(1957)作曲 冨田勲

そんな彼が、日本初のカラー長編アニメ「ジャングル大帝」(手塚治虫)のためのいくつかの曲をフルオーケストラで演奏するために書いたのが交響詩「ジャングル大帝」である。これは、単にいくつかのメロディーをつなぎ合わせたものではなく、子どもたちや入門者などに管弦楽というものを教えるための作品だった。広いアフリカの大地を思わせる壮大なオープニングに先立ち、弦楽器、管楽器、打楽器などオーケストラを構成する各楽器を順番に紹介するナレーションなど、教育的な性格を持つ楽曲ではあるが、一個の交響詩としても十分に鑑賞に耐える作品である。(交響詩とは、形式や構成などに規則や取り決めの多い「交響曲」に対して、それらを持たない自由な表現の管弦楽作品を指す言葉。19世紀半ばにフランツ・リストによって考案された。)

https://youtu.be/froiPcu934s

交響詩「ジャングル大帝」(オープニングのみ)  冨田勲指揮 大阪大学交響楽団

ここで演奏しているのは、若き日の手塚治虫が医師を目指して学んだ大阪大学の学生オーケストラである。(プロ並みの腕前)
交響詩「ウルトラセブン」 これも交響詩であるが、日本のSFドラマ界に金字塔を打ち立てた番組の音楽をもとにしている。冬木徹によるテーマ曲は、ジャングル大帝と同じくホルンの雄たけびのような音など、もともとテレビ放映時からシンフォニックな響きを持っていた。しかし、このマーラーを思わせるような大編成のオーケストラ曲になったことで、さらに重厚さが増すこととなった。

https://youtu.be/I7xBu-IqlLQ?list=RDI7xBu-IqlLQ

交響詩「ウルトラセブン」冬木徹指揮 東京交響楽団 


ドラゴンクエスト 世界に数え切れないファンを持つゲームの音楽である。元々バロック的テーストの濃い音楽なので、クラシックのフルオーケストラが演奏することで、より格調高いものとなった。作曲者のすぎやまこういちは歌謡界の大御所作曲家だったが、今では「ドラクエ」の作曲者といった方が通りがいいかもしれない。彼が終生愛したといわれる東京都交響楽団(東京交響楽団とは別団体)を中心に,海外のオーケストラにまで演奏される、もはや古典的作品とさえ呼び得る楽曲である。東京都交響楽団は、1964年の東京オリンピック記念文化行事の一つとして誕生し、ドラクエの音楽は、2022年、東京オリンピックの選手入場音楽の一つとして選ばれた。アニメというサブカルチャーとクラシック音楽の団体は、オリンピックという絆で結ばれていたのである。

https://youtu.be/T8-xGd-213o?list=RDT8-xGd-213o

ドラゴンクエスト 準・メルクル指揮 東京都交響楽団
https://youtu.be/Vz5Dk0k9ZpI?list=RDVz5Dk0k9ZpI

ドラゴンクエスト すぎやまこういち指揮 東京都交響楽団