御経日(毎月1日) 住職法話 『臨終用心抄㉗』
『臨終用心抄 二十七』(総本山第二十六世日寛上人が臨終の大事とその心得えを御指南された書)
行力
(1)―臨終の一念は、百年の修行の功徳よりも勝(まさ)れる
【本文】
行力(ぎょうりき)
大論の二十四(十四)に云わく「臨終の一念は百年の行力に勝(まさ)れたり、心力決定(しんりきけつじょう)して猛利(みょうり)なるが故なり。の如く毒の如きは少なりと雖(いえど)も大事を成す、人の陣に入りて身命(しんみょう)を惜しまざるが如し(取意)」等う云々。臨終には心力猛利(しんりきみょうり)の故に仏力・法力も弥(いよいよ)顕(あらわ)れ速身成仏するなり。「譬(たと)へばよき火打ちとよき石のかど(角)とよきほくち(火口)と此の三つ寄り合ひて火を用ふるが如し」〔一三一四]云々。二十二(十四)〔六八五]
【現代語訳】
行力
『大智度論(だいちどろん)』に「臨終の一念は、百年の修行の功徳力に勝る。臨終の際の心には強い力(心力)があって、それはあたかも燃え上がるや即効性のある猛毒のようなものであり、わずか一念であっても大事を成す力がある。また人が敵陣に攻め入って、身命を惜しまず戦い大きな力を発揮するようなものである(取意)」等とある。
臨終の際には、心力に甚だしく強い力があるため、仏力と法力も一緒にますます力が顕(あらわ)れて即身成仏するのである。『法華初心成仏抄(ほっけしょしんじょうぶつしょう)』には「譬(たと)えて言えば、よい火打ちと、石のかどと、火口の三つがそろって火を起こし用いるようなものである」(御書1314㌻取意)と示されている。
[御指南を拝して]
今回は「行力(1)―臨終の一念は、百年の修行の功徳よりも勝れる」を拝しました。
前回までに妙法の四力(仏力・法力・信力・行力)中、三力(仏力・法力・信力)の御指南を拝しました。総本山第二十六世日寛上人は「妙法五字を『我本立誓願(がほんりゅうせいがん)』の大慈力(だいじりき)を以ての故に、一幅(いっぷく)の本尊に図顕(ずけん)し、末法の幼稚に授与する時、我等此の本尊を受持(じゅじ)すれば、自然に彼の自行化他の功徳を譲り与え、皆悉(ことごと)く我等が功徳と成し(中略)是れ『仏力』なり」と、御本仏日蓮大聖人様(人)御図顕の大御本尊様(法)を受持すれば仏を得られると仰せられています。
次に法力について「この本尊の力用(りきゆう)、化功広大(けくこうだい)・利潤弘深(りじゅんこうじん)なるは即ち是れ『法力』なり」と、御本仏日蓮大聖人様(人)御図顕の大御本尊様(法)に受持すれば法力を得られると仰せられています。
次に信力について「一向に唯(ただ)此(こ)の本尊を信じ、此の本尊の外に全く仏に成る道無しと強盛に信ずるを即ち『信力』と名づく」と、大聖人様御図顕の御本尊様を絶対の仏様と強盛に信じることが信力と仰せられています。
そして本日の行力については「今末法に入りぬれば余経も法華経も詮(せん)無し。故に余事を雑えず、但南無妙法蓮華経と唱うるは即ち是(こ)れ『行力』なり」と、大聖人様御図顕の御本尊様を無疑曰信(むぎわっしん)の信心で信じ、それ以外の仏(宗教)を雑(まじ)えず、唯々南無妙法蓮華経と唱えることが行力と仰せられています。
この行力をもって臨終に臨むならば「臨終の一念は、百年の修行の功徳力に勝る」と百年間修行よりも勝る功徳があると仰せられています。
しかし日寛上人は、改めて行力の功徳は、仏力・法力そして信力が正しくあってこそ行力の功徳が正しく顕れてくると誠められています。
言うまでもなく仏力と法力とは仏様の御力ですから絶対のものがあります。しかし信力と行力は我々信ずる側の力です。御法主日如上人猊下は「しかしまた、大事なことは、法は最高の教えであったとしても、この法を聞く者の信心が問題であります。この「聞く」という意味は、ただ単に取で聞くということだけではなく、身口意(しんくい)の三業(さんごう)にわたって聞くということであります。信心をしていると言っても、身口意(しんくい)の三業(さんごう)がバラバラでは信心を全うしているとは言えなくなります。私どもは、身口意(しんくい)の三業(さんごう)にわたってお題目を唱え奉(たてまつ)る時、初めて『一(ひと)りとして成仏せずということ無けん』(方便品第二・法華経118)との御金言を拝することができるわけであります」(『大白法』令和8年5月16日号)と仰せられ、唯一絶対の法(仏力・法力)が存しても、信じる我等の信心如何で功徳の差・成仏如何も差が生じるとも仰せられています。
我々は成仏得道(じょうぶつとくどう)を得られるよう、大聖人様の御教示・日寛上人の『臨終用心抄』、御歴代御法主上人猊下の御指南を素直に正直に拝し、そしてその仰せのままに素直に正直に行じて、成仏大願を果たせるよう日々に励行していきましょう。
総本山第十二世日鎮上人第五百回御遠忌 6月14日(日) 御報恩御講日奉修
総本山第五十一世日英上人第百五十回御遠忌 7月1日(水) 7月度御経日奉修
以上