向笠峠 峠に佇む編
道が無い
利椋峠の悪夢を彷彿とさせる展開です。
そして僕にはもう一つ懸念がありました。
これ反対側も同じような状態なら、明るいうちに下山が出来なくなってしまう。
現在時刻は16時半、計画の変更と引き返しを視野に入れなければならない時間です。
斜面を横切る杣道を発見
これがあの県道の成れの果てだというのか?
俄かには信じがたいです。
この凹みは隧道崩落地ではなく炭焼きの跡です。
人が入っている証拠にはなりますが、杣道ならばどこにでもあるもの。
僕は確信が持てませんでした。
非常に薄くはありますが、この斜面には雷光型の道が通っています。
あなたにはそれが見えるでしょうか?
いかにも杣道っぽい無理やり感。
しかしこれで確かに標高は稼げます。
こいつに今回の探索の命運を託します!
道は頼りなさげに林の中を進みます。
たとえ県道であったとしても、ここは現在登山道でも作業道でもないのでしょう。
ただただ風化に身を任せています。
結構怖いんだよ・・・。
道の幅は場所によっては30cmありません。
斜面にへばりつくように越えていきます。
文句無く美しい新緑の山
そこにかすかに続く小径。
これが山の道歩きの醍醐味です。
沢から離れればそこは斜面、登るには九十九折れという武器が必要です。
道としてはあまりに頼りない。
しかしこれさえ逃せば完全に行く先をロストしてしまいます。
たまに消えるんだよ・・・。
これはゴールは近いか。
カーブを曲がるたびにドキドキする!
あそこから来たと思うと感慨深くなりますね。
道がはっきりしてきました。
そしてこうして見るとかなり規格のしっかりとした道です。
古くから丹後街道の枝道として機能していたのでしょう。
車道、杣道、そして古道。
最後にようやく、この道の在りし日の姿が見れた気がします。
あ・・・
向笠峠、着
標高324m、海に近い位置としてはなかなかの高さと言ってよいでしょう。
U字型の嫋やかなイメージの峠です。