吉坂峠 後編
両側の尾根が狭まる明らかな峠に向かう地形。
この雰囲気はいい。
峠の最大の魅力はそこに立つ瞬間の達成感とそこにいたる直前に収斂する街道の雰囲気。
まだその姿は見えないのに、その素晴らしさが分かります。
苔の下に眠る石垣
いや、きっと眠ってなどいない。
今もなお人の通りが限りなく少なくなったこの道を守り続けているのでしょう。
あまりにも健気で、そして感動を禁じえない光景です。
苔むした倒木ときのこの巣
ここではありとあらゆるものが緑色に変色しています。
苔としだ植物が支配する世界。
恐竜の世界はこんなだったのかもしれませんね。
吉坂峠、着。
標高102m、標高のわりに峠らしい、そして街道らしい姿をした峠です。
これは美しいと言わざるを得ません。
荒廃を通り越して日本庭園のようにすら感じます。
この辺りは水気が多いのでしょう。
苔とシダが全てを包み込んでいます。
ここを通る全ての旅人を記憶していることでしょう。
・・・お疲れ様です・・・。
残念ながらお地蔵様はいらっしゃらないようです。
いらっしゃれば完璧に近かったんだけどなぁ・・・。
京都側にもしっかりと道が続いています。
・・・あれ?
轍が消えたな・・・。
ここから先には車は入っていないってことか・・・?
轍が消えたらすぐにきやがったか!!
道はある
しかし明らかに先ほどまでとは様子が違います。
さっきまではかろうじて生きながらえていましたが、ここから先はもう終わってる。
廃道区間に突入!!
完全に廃道だね。
もともと舗装もされていない道なのでよく自然に帰っていますよ。
森化が進んできてる・・・。
木が育ってるのはなかなかの放置暦ですよ。
身をよじりながらすり抜けます。
ここ路上ですからね。
悪化の一途!!
雨上がりの羊歯藪・・・。
今日は濡れていい格好して来てないんだよ!
脱出だ!!
ぬぅあああああ!!
もう限界だ!
下には現国道が見え隠れしています。
あそこまで行ければ・・・!!
生還!!!
ラブホテルの脇の藪から転げ落ちてくるおっさん。
さぞ怪しい光景だったことでしょう。
しかも腰にはカメラのおまけ付き。
私、怪しいものではございません。
福井県側から峠魔では楽勝。
そこから僅かな区間は峠の雰囲気を楽しめる良質の峠となっています。
京都側はなかなか大変ですが。
短いながら味のある峠。
また訪れたい道です。
以上、吉坂峠編
完