第2次三重遠征第2弾 旧坂下隧道 後編
登山道と化した古道の先に待ちうけし穴。
その姿は威厳に満ち溢れています。
旧坂下隧道(さかげずいどう)
明治33年竣工、延長61.8m。
盾状迫石を有する、近代土木遺産Cランクに登録される煉瓦隧道です。
隧道前のこれは人工的な盛り土か、偶然の崩落か・・・。
これがいかにも廃隧道っぽさを醸し出しています。
そしてこの隧道で最も有名な要素の一つがこの扁額の四字。
鬼斧神鑿
(きふじんさく)
鬼が斧で切り開き、神が鑿で掘り通す。
それほどの難工事だったということでしょう。
しかしこの4字から溢れ出る中2病感凄いな。
この雰囲気と文字のコラボレーション
見事としか言いようがありません。
廃隧道の顔として、これほどまで見事な調和はそうそう無いと思います。
特徴的な盾状迫石
盾状迫石(しゅんじょうせりいし)とは5角形の石材を用いた迫石のこと。
ちなみに迫石ってのはアーチを構成する石材のことです。
三重県で多用される傾向があるこの形。
虎柄の洞内・・・。
所謂、白化現象が部分的に進んでいます。
しかしそこ以外は非常に美しい煉瓦隧道の姿が残っています。
明治道ですので、当たり前のように未舗装です。
そしてこの洞内は明治時代のままの可能性が非常に高い。
その点でも非常に貴重な隧道なのです。
現役の2代目坂下隧道が明治44年竣工、つまりこの隧道・・・、
現役区間はわずかに11年!
もちろん旧道としてしばらくは使われていたのでしょうが、それでも驚愕の短さです。
そして旧道化の後は目立った改修等は受けていないでしょう。
むしろよくここまでの道が残ってたもんだ・・・。
明治44年からの年月を物語る全面白化。
なんか骸骨にも見えてきたな・・・。
そこに何があるかが、隧道を抜ける楽しみです!
ありのままの廃道!!
こいつは素敵な道だ・・・。
西側と違い東側は気合の入った本気の明治道のようです。
このあとの探索のことも考えると、僕はここで引き返さざるを得ません。
こっちも素晴らしい面構え!
いや、翼壁なしの厳つさを鑑みればこちらのほうが好みだな・・・。
車の通行で言えば急カーブで隧道に突入する極悪線形ですが、明治の道であることを考えればそれも致し方ないですか。
車ないんだから。
太陽のように見える盾状迫石。
アーチ部のみ石材を利用した造りはピラスターや迫だしがなくても十分立派。
素晴らしい!
とはいえ気になるので少しだけ・・・。
やはり荒れ具合は比較になりません。
そもそも道だった部分が傾いています。
・・・う~ん・・・。
やっぱりここはもうちょっとじっくりと取り組みたいところだな・・・。
反対側の確認をして、ここは退くとしましょう。
ヘアピンカーブはもともと直線的な道があり、それを避ける形で作られるパターンがあるのです。
要するに・・・、
ここ!!
再び短い闇にもぐって向かうその先は、このレポ一番最初に出てきたあの隧道に決定!
再びこの変態の元に舞い戻ってきましたよ。
狙うはヘアピンの外径、そこから外れる道を探すのだ!!