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この道往けば act2

黒河林道の謎の穴 後編

2015.08.25 08:20

ついに現れた謎の穴。

その存在感、佇まいは明らかに只者ではありません。

総石積みの2連アーチ

アーチ環を構成する迫石はわずかに4つ。

要石と合わせてもたったの5つで構成されています。

まるで山羊の頭のような形状の2連アーチ。

通常、アーチで最も重要な石材はアーチ頂点にある要石です。

しかしこの2連アーチの場合、2つの要石よりもさらに重要となるのが、山羊の顔に当たる石材。

迫受石(せりうけいし)

アーチ環から側壁の直線に変わる部分の石ですが、通常は迫石とほぼ同じ形状のものが使われます。

しかしここではアーチ同士の距離が近いので、1つの迫受石と側壁を2つのアーチで共用している為、かなり特殊な形状の迫受石が使われているようです。

石工のレベルの高さがうかがえます。

何せ使用石材が少ないので若干急角度ではありますが、それでも一切の綻びのない石積み。

これは見事としか言いようがありません。

フラッシュなしだとこんな感じ。

せいぜい3メートルくらいの短い穴です。

背の高さも1.2m程度でしょうか.

しゃがみ歩きを強いられます。

埋没寸前か・・・。

反対側はなかなかえらいことになっていそうです。

もともと人用の隧道でもないので、通過する必要はありません。

反対側へはどうとでも行けそうなので、いったん退却するとしましょう。

ここを通っていたもの、それは間違いなく水でしょう。

しかしその存在理由は反対側を見てみないと何とも言え無さそうです。

しかし本当に見事な布積み。

一切の綻びは見られません。

苔がいい味出してます。


しかしいつまでも見とれていても仕方ありません。

そろそろ迂回しなければ。

よく見てみれば、こんなオブロードができていました。

この写真は進入を開始して振り返ったところ。

つまり写っているのは黒河林道です。


まぁここからは窺い知れないんですが、この後ろは・・・、

なんかえらいことに!!

薮を抜けた先がいきなり窪地となっていたので、蟻地獄よろしく滑り落ちそうになりました。

しかしこういう展開は予想済みだったので、済んでの所で回避!

それでも若干下りましたが。

これは酷い

窪地ということもあり不法投棄の巣窟となっています。

敦賀市民としては断固許せん。

不法投棄は1年間ゴミ拾いの社会奉仕を任ずる!!!

穴が穿つ土壁の上に回ってきました。

もしや埋没しかけてたのは全部ゴミの山なんじゃないだろうな。

ゴミで埋没とか悲しすぎるぞ・・・。

ここで気になるのはやはり写真左。

このT字の石材は何だ?

水門の跡だ

穴の上流側に恐らく金属製の板を落として、水流を遮断し水を貯めるか水量を調節するかしていたのでしょう。

もしかしたらこちらにゴミがたまっている理由も、増水時にはここに水が流れ込みプール状態となるからなのかも。

それはちょっと見てみたい。

ここに見られる全ての構造物は全て石造。

金属製のものはほとんど見られません。

水路隧道はもちろん、ゲートを落とす溝もそれを支える柱もすべて石。

それを取り囲む壁は全て石垣。

ゴミさえなければとても幸せな空間です。

ただしこういうトラップ随所にあるので要注意。

落ちても死なないけど動けなくなる程度の嫌な高さ。

十分な注意は必要です。

これは上流からの取水路上にある橋です。

そこにもゲートが取り付けらているので、その水門を上げ下げするための隙間だと思われます。

こちらの水門には、ここで見た唯一の金属製の溝がありました。

これは思うに、後年取り付けられたのではないかと思われます。

そうじゃないと、わざわざ上流下流で統一しない理由がありません。

これが上流側の取水路

末端まで綺麗に石垣が残っています。

さすが発電所の石垣。

堅牢さは群を抜いていますね。

ゴミの山のかき分けて、正面から撮影した上流側の穴。

いやもはや、謎の穴とは言えまい。

粟野発電所水量調節隧道

(あわのはつでんしょすいりょうちょうせつずいどう)

そう呼ばせてもらいましょう。


取水路は橋でしたが、こちらは自然地形を利用した隧道と呼んで差し支えなさそうです。

しかしやっぱり下流側の方が、味がありますねぇ。

今回の締めはやはり下流側からの1枚で締めたいと思います。

うん、やっぱいい!!

個人的評価としては・・・、

金ヶ崎隧道

小刀根隧道

阿曽隧道

この3つと並んで、

敦賀市土木遺産Aランクに認定します!!


以上、黒河林道の謎の穴編