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アンティーク フェルメール

『三鬼』を読みながら。

2026.08.04 19:58

小林恭二さんの小説『三鬼』を読んでいる、異色の俳人でトリックスター的存在の西東三鬼を主人公にした小説だ。とても面白いが小林恭二さんがこれで何を描きたかったのかはよく分からないままに読んでいる。本の帯には「歴史エンターテイメント」と書かれているが、本の中には京大俳句事件などや高浜虚子など実在の俳人の人間関係のことも多々書かれていて、フィクションとノンフィクションの狭間を書いてるということだろうが、こういう大変な歴史的史実を織り込んで書き「エンターテイメント」と言われると、ぼくはちょっと軽いな、一体何が書きたかったの貴方は、と思いつつ、矢張りここでも編集者の質の劣化を思わざるを得ない、詰まり編集者から作家に、何を出す(出版する)のかという積極的働き掛け(話し合い)が無いのではないかという疑念だ。作家の思うように書かせて出して著名作家の宣伝文句を帯に付けて、という流れだろう、でも本を出す、とは本来そういうものではなかった筈だ、少なくとも90年代あたりまでは。それか編集者の質の低さだろう、こういうものを出すときの立体的思考が出来ないのかもしれない、偏差値の高い大学を出ていてもこれは学べないのだ。読み物としては上出来だが読み進むに連れて背後にあるウソ、史実処理の軽薄さなどがちらつき始め嫌な気分が仄かにする。

それこそこの間トークでジャンルについて話したが、この『三鬼』などはジャンルを跨ごうとして上手に失敗した好例だと思う。兎に角一読あれ。それでも十分に面白い本です、大きな瑕疵はありますがね、、。