帰省
地元歩くに人目を気にせず。ましてや仕事を「装う」なんぞ。ランとて隠さぬ、ありふれた格好にて走るし、道で支援者に会わば二言三言。「また、ランか」と言われようともそれこそが健全。
大半がスーツにて私服の持ち合わせなく、朝のそれが意味するは。盆も近きゆえ郷里の墓参りを。が、んな時に限って。リュックを肩に駅に向かわば向こうから軽快なママチャリ。もしや。
「先輩、おつかれさまです」と元気よく声かけていただくは一向に構わぬ。こちとて、「県議こそ朝の駅頭おつかれ」とつつがなき会話となるはずが。その後に一言、「今日もゴルフですか」。それも駅前の往来多き中にあって。「も」とは何事。浴びる周囲の視線。いや、仮に図星とて否定はせぬ、が。身なり、徒歩、リュックのいづれをとってもそうは見えんでしょうに。もしや、こやつ私の落選を、なんて。
いつぞやに記した、高台に夕日眺めし葉山の邸宅はあくまでも別荘。本宅は都内の一等地だそうで。センセイや医大ゴルフ部の出身にて週イチのゴルフが娯楽の一つ。ぜひ一度、と、その日の都合を聞かれるに15時からサマーミューザとあり。ならば、スタート時間を朝イチにするゆえと。
ホームコースは県内屈指の名門のはずが、プレー料金は他と変わらぬ、いや、むしろ他よりも。さすがに安すぎはせぬか、と聞くに優待券ほか諸々のあらん限りの手立てを尽くした、とセンセイ。紹介者が介したとはいえ会うは二度目。そこまでもてなして下さるはよほどの善人か、はたまた。今の世もまだまだ捨てたものにあらず。
が、それで、終わらぬ。夜に予定されるはホームパーティー。奥様が自慢の本格インドカレーをふるまって下さるらしく。センセイはプレー後の午後から自ら診察に立たれると聞くも、それ以上に奥様なんぞ秘書兼助手、キャディに料理人と一人二役どころか。で、夜もぜひ、との誘いに、「体力の限界です」と丁重に。
浴衣が大勢を占める中にその恰好は場違いというか。目立ってなんぼのこの世界。それこそがアピールであり、議員って大変、と印象与えるには好都合。スーツで汗だく、なんて。盆踊りに欠かせぬは浴衣ならぬ酒。が、およそそんな日は重なるもので片手で足りぬ目的地。「また、呑めぬのか」との小言しばしば。最近はそれが社交辞令というよりも本気に見えたりもして。乗るなら飲むな、飲むならば。そう、ランがあるじゃないか。
ランバカゆえに身を以て知る危険性。ラン後の飲酒以上に、飲酒後のランなど。ましてや、ただでさえ酒癖よからず、失態は数知れず。途中、道に倒れようものなら。が、酒呑まばどこへやら。気づいた時には、次の会場に間に合わぬではないか。
が、やはり、んな時に限って。轟く雷鳴に突然の豪雨。断念するにいい口実になり得るも、客は退けども役員は退かず。呼ばれた以上は何としてでも。間に合いし花火は片平町会。ずぶぬれのまま挨拶を終え。あと一つ。
そこに見かけしは代議士の秘書Y君。これこそが天の救い。次の会場まで車で頼む、と行先を告げるに。そこは今さっき、順路が逆です、と役人以上につれない「答弁」を示され。走りに走ってゴールとなりし岡上小。ふるまわれし麦酒は格別。各所のもてなしに感謝。
(令和8年8月5日/3011回)