フィル・ハンディ、2日間の終わりに語った神戸への想い
2026年8月4日・5日の2日間、神戸・GLION ARENA KOBEで開催された次世代育成プログラム「BLACK SAMURAI KOBE CAMP」。最終日の記者会見で、メインコーチのフィル・ハンディが、指導哲学からこの地への想いまで幅広く語った。
コーチを強くすることから
この1年間、八村塁とどのような話し合いを重ねてきたかと問われると、まず出てきたのはコーチの存在だった。バスケットボールの文化を変えるには、教える立場にあるコーチ自身が変わらなければならないという。コーチがよりエネルギーを持ち、選手と深く関わるようになれば、若い選手たちも自然と伸びていくのだという。
日本の指導者たちへのアドバイスを求められた場面では、コーチという役割の本質に言及した。リーダーでありながらも、選手に仕える立場であるべきだという考え方だ。日々のエネルギーを注ぎ、バスケットボール以外の部分でも一人の人間として彼らを知ろうとすることの重要性を説いた。信頼関係を築き、選手の成長を助けることこそがコーチの大きな責任だと語った。
なぜ日本の子供たちに教えるのか
世界的に知られるNBAコーチが日本で指導を行う理由を問われると、相手が誰であっても世界中どこへでも教えに行くと答えた。その上で、日本は彼にとって特別な場所であるとも明かした。父方の家系に日本の血が少し流れており、以前から日本の文化や人々に対して特別な愛着を持っていたのだという。
声を出すことの意味
ディフェンス時のコミュニケーションについて聞かれると、声を出すのが苦手なのは日本の子供たちだけの課題ではなく、NBA選手でも同様だと前置きした。コミュニケーションを取るほど連携は強固になり、展開の速い試合ではその重要性が増すという。ここで彼が強調したのが、「静かなディフェンスは利己的なディフェンス」という考え方だ。声を出せば出すほど、相手オフェンスにとっての脅威になるのだと説明した。
一流と超一流を分けるもの
グッドな選手、グレイトな選手、そしてレジェンドを分けるものは何かという問いには、生まれ持った才能に加え、労働倫理とコミットメントの違いが挙げられた。かつて長年指導したレブロン・ジェームズは、一度も練習に遅刻したことがなかったという。試合開始が19時で、多くの選手が17時に会場入りする中、彼は常に14時に到着し、毎試合同じ準備を欠かさなかったと振り返った。たいていの選手はその徹底ぶりを1週間も継続できないとし、この一貫した積み重ねこそが、一流と超一流を分ける決定的な差だと述べた。
基礎を教える理由
声出しや規律といった基礎的な指導を重視する理由を問われると、それは人生の質を高めるためだと答えた。プロ選手になれる子供はごくわずかであるため、スポーツを通じて学んだ規律や責任感、労働倫理といった習慣が、その後の人生のあらゆる場面で活きてくるのだという。バスケットボールは自身の人生の土台になったと振り返り、困難に対処し成功するための手段としてスポーツの重要性を語った。
名前の由来の街で
会見の最終盤、この街とコービー・ブライアントについて尋ねられると、都市としての神戸と、かつて自身が指導したコービー・ブライアント、その双方について思いを語り始めた。
コービーの名は、父親が神戸ビーフにちなんで名付けたものだという。ハンディにとって、世界的なレジェンドとなった彼の名前の起源である土地に今立っていることは、非常に特別なことなのだという。実際に訪れた神戸は美しく、天候にも恵まれ、出会う人々は並外れて親切だったと、感謝を重ねて口にした。
また、神戸牛ステーキを食べたか問われると、前夜にスタッフに連れて行ってもらったこと、ディナーは素晴らしく、食べ過ぎるほど美味しかったと、笑顔で振り返った。
彼にとって神戸は、単なる遠征先の一都市ではない。指導者としてのキャリアにおいて特別な存在から受け取ったものと、地理的にも由来的にも重なり合う、深い意味を持つ場所なのだ。
Reported by: Tomoyuki Nishikawa / SportsPressJP
Courtesy of BLACK SAMURAI KOBE CAMP