バケモノはエネルギー
先週は、雨が降ってよかったよかった、という話を書いたと思いますが一転、その一回の豪雨を最後にもう降らず、天気予報では頻繁に雨マークがつくものだからこの間にニンジンの種を蒔き、ニンジンの発芽にはどうやっても雨が必要なので頼むから降ってくれ、とつい願いたくなっちゃいますが、そんな期待は相手の思うつぼというもので、ここ何年、幾度となく裏切られ続けているので、もはや降ってくれるな、と願った方がかえって降る気がする、みたいな倒錯した気持ちをも通り越し、一応天気予報に合わせ種を蒔くことは蒔いといて、蒔いたら最後その後は全く気にせず、なにも考ず知らんぷり、あとは粛々とまき直し用の種を買い直しておくだけ、というのがここ数年で身につけた、とるべきぼくの態度です。
先週のニュースレターで、野菜作りには雨がとても重要で、いつ降るかわかったものではない雨水を悔いなく土壌にとどめておくには土の団粒構造が重要で、そうするためには微生物の働きが必要で、その微生物を増やし働いて働いて働いてもらうには、もっぱら有機物が不可欠だ、ということを書きました。有機物は何かというと色々あるけどその代表が炭水化物で、これはエネルギーの塊で、このエネルギーを微生物が食らって生きて増殖していきます。エネルギーは何かというとこれも色々ありますが、ここではつまり「くっついている力」のことです。一見すると炭水化物の炭素とか水素にエネルギーがつまっていて、それを食べて利用している気がしますが、炭素とか水素そのもののエネルギーは動物には全く使えなく、これはもはやくっつきすぎでどうやってもうまく使えずないのと同じなので勘定に入れなくてよく、それではどこにエネルギーがあるかというと、重要なのは炭水化物の「化物」の方で、ここでいう「化物」とははまさに「炭素と水素がくっついていますよ」という告白で、この化物をエネルギーとして食らっているというわけです。
エネルギーがたくさんあるところは、そこはつまりかっこうの食事処というわけですから、有機物がたくさん入った畑の土では微生物が増えに増え、この増えた微生物がなんともいい感じのネバネバの物質をだすのです。そしてこのネバネバによりうまいこと土の団子と団子がくっついて、さらに大きい団子になってはそいつも同じようにくっつきあって、すると大小さまざまな隙間をもつ団粒構造が出来上がり、これで水持ちも水はけもいいという真逆な性質を併せ持つことができるのです。
有機農業はその名のとおり有機物をいっぱい土壌に入れていこうという意気込みを表した農業で、こんなわけだから有機農業というのはけっこう捨てたものではないのです。適当にやる有機農業と適当にやる慣行農業を比較すると、同じ適当加減なら有機農業は相当いい線いくんじゃないかと思います。ただ本気の慣行農業はもはや慣行ではなく、有機農業のほとんどを含有することができるので、本気の慣行農業と本気の有機農業では言葉の定義上、どうしても慣行農業に分がある気もし、そうとなるとまた別のところでぼくは有機農業をやりつづける意義を見出したくなってもきて、つまりこういうことかもしれません。スポーツはサッカーを含有するけど、スポーツ全体は広範すぎて手にあまり、応援するにはサッカーという一分野にしぼったほうが力も入るし、結局はスポーツ全体が盛り上がるみたいなことを目指しているような気もしますが、全然そんなことどうでもいいような気もし、ひたすらサッカーが楽しいだけかもわからないです。