3月11日 薩摩川内市[上甑島・中甑島観光]→ 長島町(52km)②
「田之尻展望所」から西側へ向かってしばらく走ると、行き止まりが桑之浦集落となる。
ドライブだけではつまらないので、車を停めて集落を散歩することに。
集落の中心を通る用水路のような川に沿って、家並みが山へと延びている。
家庭菜園の作業の帰りだろうか、通りかかった男性に挨拶すると、笑いながら「ここは何にもないよ〜」と言って去っていった。
我々も「静かなところですね〜」と返す。
家庭菜園の手入れをするお婆ちゃんたちの姿も、ちらほらと見える。
離島であることを忘れてしまいそうな、のどかな日常風景が、そこにあった。
来た道を戻り、田之尻展望所の少し先で左斜面を下ると、先ほど展望所から見下ろしていた長目浜沿いにあるナマコ池と貝池の間の小さな駐車場に辿り着く。
ここは、かつて薩摩藩が大村湾からナマコを運んでいる途中で、なまこをここに放したことから、ナマコが自然繁殖し、「ナマコ池」と呼ばれるようになったという。
この定規のように長細い池は、長目の浜の玉石の間から海水が沁みこむので、汽水状態になっている。
海の潮の干満から3〜4時間ほど遅れて水面が上下するらしい。
長目の浜の林を横切ると、
向こう側の砂浜に出たので、しばし佇む。
そこから県道352号を里港方面に進み、「長目の浜展望所」に到着。
先ほど「田之尻展望所」から見た景色とは逆方向からの「長目の浜」を撮影する。
菜の花が陽に当たって目に鮮やかだ。
車は再び、里港へ。
途中、ジャガイモ畑を発見。
この島で大きな畑を目にしたのは、このジャガイモくらいだった。
里港に戻り、今度は左に曲がって、公営ビーチの「市の浦」へ。
人一人いない、静かな砂浜である。
浜辺で貝を拾っていると、町の防災無線でアナウンスがある。
今日は、3月11日。
14時46分、一分間の黙祷のサイレンが鳴り響いた。
車は、再び里港へと戻り、港から歩いて5分くらいのところにある「武家屋敷跡」まで歩く。
丸石を積み重ねた石垣に挟まれた路地が延びている。
建物自体は昔のものではないが、当時島津藩から派遣された役人たちが住んでいた名残を感じることはできる。
入り口にある八幡神社では、毎年10月の「甑島内侍舞」に合わせ、ここで奉納相撲大会が開催されるらしい。
奄美諸島に続いて、ここでも土俵を発見。
さすが鹿児島は、相撲が盛んな土地柄。
屋根こそないが、歴史を感じさせる立派な土俵だ。
港まで戻り、これで上甑島、中甑島一周の旅も終了。
途中、こんな看板が。
離島では、密航、密輸、不審船を警戒が必要。
観光地でもない集落に、いきなりよそ者が現れたら、それは不審者。
警戒しないわけにはいかないよなぁ〜。
お爺さんが、「何もないよ〜」といった言葉の意味を、改めて考え直すKY夫婦であった。
港に戻り、レンタカーを返却し、16時30分発の高速船で川内港へ。
今度は、一番乗りで後方寄りの座席を確保し、一安心。
ところが、帰りは波が小さく穏やかで、ほとんど揺れも感じず、ウトウトしている間に着いてしまった。
行きとは大違いだ。
思いのほか元気なので、港から一気に長島町まで走り抜け、公営の長島温泉センターで入浴。
今日は、そのまま公営駐車場で宿泊するごとに。
暗くてよく分からないが、海を挟んで眼前には天草市が望まれるはずだ。